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「東京五輪」のウラで急増中?ドライバーが注意したい「理不尽な交通違反」トラブル

「東京五輪」のウラで急増中?ドライバーが注意したい「理不尽な交通違反」トラブル

  • 現代ビジネス
  • 更新日:2021/07/22
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最近、検挙率が増加中なのが…

しっかりと安全確認をした車が横断歩道を通過した瞬間、警察官はその車に駆け寄っていく。

「えっ、私何か違反しました?」

車を運転する人の中には、これからこんなやりとりをするかもしれない。いや、もうすでにした人がいるかもしれない。

この「ん?」と思うような交通違反が特に最近増えている。「歩行者妨害」違反の取り締まりである。とりわけ信号のない横断歩道で見る機会が増えている。

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Photo by Getty Images

「歩行者妨害」違反、一般ドライバーはもちろん、筆者のようなタクシードライバーの間でも急激に増えた交通違反である。

一時不停止の取り締まり件数は近年、速度超過違反を抜いてトップに躍り出ている。そして、その一時不停止違反の中でも歩行者妨害に関する取り締まりは、2016年は11万1142件であったのに対し、2020年は29万532件とここ5年で約2.6倍に激増している(数字の出所は警察庁サイトから)。

日本の道路は、歩行者優先としながらも車優先という認識が未だに残っている。これは世界的に見れば後進的な交通モラルである。

「歩行者妨害」の検挙率増加の要因は、横断歩道付近の事故増加もそうであるが、オリンピックが開催され世界に注目されるのを機に、日本の交通モラルの良さをアピールしようとする警察の狙いもあるのだろうか。違反数増加の遠因かもしれない。

しかし「歩行者妨害」違反に関しては首を傾げるような事案がある。

タクシードライバーなど運転を稼業にするものとしては納得いかないと、怒りを露わにして異を唱える人もいる。SNSなどでも、取り締まりや法のグレーな部分が問題になっている。

一体どのような事案が問題になっているのか?

信号のない横断歩道に歩行者がいる場合

信号のある横断歩道であれば信号を基準にして考えれば何も問題はないが、信号のない横断歩道で違反の基準が定かではなく曖昧な点に問題がある。

(横断歩道等における歩行者等の優先)
第三十八条 車両等は、横断歩道又は自転車横断帯(以下この条において「横断歩道等」という。)に接近する場合には、当該横断歩道等を通過する際に当該横断歩道等によりその進路の前方を横断しようとする歩行者又は自転車(以下この条において「歩行者等」という。)がないことが明らかな場合を除き、当該横断歩道等の直前(道路標識等による停止線が設けられているときは、その停止線の直前。以下この項において同じ。)で停止することができるような速度で進行しなければならない。
この場合において、横断歩道等によりその進路の前方を横断し、又は横断しようとする歩行者等があるときは、当該横断歩道等の直前で一時停止し、かつ、その通行を妨げないようにしなければならない。

上記の道路交通法第38条にあるように、横断歩道を渡ろうとする人がいた場合は、車は停止し歩行者の進行を妨げてはならない。つまり、歩行者が横断歩道を渡り終わるまでは動いてはならないということである。

いわば信号のない横断歩道に歩行者がいる場合は、常に赤信号と同等な扱いになる。この場合、現場を取り締まる警察官も渡ろうとする歩行者がいるかいないかを判断基準に取り締まるので問題はない。問題なのは横断歩道にいる歩行者が渡る意思があるかないかが問題になってくる。

「お先にどうぞ」、「ありがとう」が命取りに

車を運転中、信号のない横断歩道に差し掛かった。横断歩道には歩行者が立ち止まり、車を通過するのを待っている。歩行者がいるので当然、横断歩道手前で停止をする。

すると、歩行者が「お先にどうぞ」というようなジェスチャーを運転者に向けたので、運転者は「ありがとう」と軽く手を挙げ横断歩道を進行した。その瞬間に甲高い笛音が響き渡り警察官が車に目掛けて走ってくる。運転者は「歩行者妨害」で検挙された。

なぜだ。横断歩道に歩行者がいたのできっちりと停止した。歩行者が先を譲ってくれたので進行した。これのどこが歩行者妨害になるのか。

警察官の言い分としては、お互い譲り合いタイミングを逸して事故になるかもしれない、実際そういった事故もあるというが、今回はタイミングを逸するようなシチュエーションでもない。運転者に先を譲った歩行者も心配し警察官に事情を説明したが、結局覆ることはなかった。

また、こういった事例もある。

横断歩道で歩行者が立ち止まりスマホを操作していた。運転者は横断歩道手前で停止し、歩行者の横断を待ったが、歩行者は依然スマホを操作し渡る気配もない。車と歩行者との距離も十分あり安全を確認した上で横断歩道を進行したが、現場近くにいた警察官に「歩行者妨害」で検挙された。

その車を検挙した警察官の見解はこうである。

たとえその時は歩行者に渡る意思がなくても気が変わり急に走り出して渡るかもしれない。そうなれば横断歩道を渡ろうとする歩行者を妨害することになる。

横断歩道にいた歩行者は結局横断歩道を渡らずにその場を立ち去って行ったが、運転者は歩行者の行動を予測するだけではなく、歩行者の意思までも予測しなければならないのか。

こんな事案がまかり通るのであれば、これほど理不尽な交通違反はない。

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Photo by iStock

時と場合によっては、理不尽極まりない悪法となる

警視庁の交通相談に、横断歩道にいる歩行者に先を譲られたらどのように対応すべきかを問い合わせたところ、「譲られたら譲り返せ」との返答であった。なおも譲り返されたらさらに譲り返せということである。

そもそも信号のない横断歩道に歩行者がいる限りは赤信号であることを強調するばかりで、納得いく回答は得られなかった。首を傾げるような違反に異議があったとしても、判例や条文に注釈がない限り原文のまま取り締まるということである。

つまり、現場の警察官の判断をそのまま尊重するということであろう。その現場の警察官の判断というのが「歩行者妨害」がグレーな交通法規と言われる所以である。

歩行者妨害をすると、どのような処分を受けるのか。

【横断歩道等における歩行者等の優先の違反】
・罰則:3月以下の懲役又は5万円以下の罰金
・反則金:大型車 1万2000円、普通車 9000円、二輪車 7000円、原付 6000円
・基礎点数:2点

違反金もさることながら、違反点数はタクシードライバーのみならず車の運転を稼業にする者にとっては死活問題である。

街の至る所に信号のない横断歩道は存在する。人通りが少ない道路では問題ではないが、繁華街や駅前など人通りの多いところなどはどうすればいいのか。途切れない人並み、歩行者が渡り切るのを待っていたら延々に渡ることなどできない。

そういったところを狙ってか、警察官や白バイが横断歩道から少し離れて見張っていることがある。交通整理をしてくれれば、事故も違反もなくなると思うのだが……。

検挙のための取り締まりか、事故を未然に防ぐ取り締まりか、後者の取り締まりを願うが実際そうではないところが見える。警察にとっては、「歩行者妨害」が今一番熱い交通違反ということは、急激に増えた検挙率でわかる。

人の善意が仇とならない交通社会に

信号のない横断歩道は、運転者も歩行者もどのような状況になったら「歩行者妨害」違反になるのかを認識する必要がある。いくら歩行者優先と言えど、まだ不届き者のドライバーも存在する。安全確認は怠らずに横断歩道を渡ってもらいたい。

横断歩道付近の事故対策や渋滞緩和のために左折専用信号も以前に比べだいぶ増えているが、根本的な解決に至っていない。問題はハード面ではなくソフトの面なのだ。
今の状況では歩行者の善意が運転者の仇となってしまう。

「お先にどうぞ、ありがとう」の気持ちを踏みにじり否定されない、理不尽極まりない悪法と言われないような明確な基準を示してもらいたい。

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