心の緊急事態まで解除してくれた武蔵小杉の立ち飲み屋「H」

心の緊急事態まで解除してくれた武蔵小杉の立ち飲み屋「H」

  • @DIME
  • 更新日:2021/10/14

■連載/カーツさとうの週刊★秘境酒場開拓団

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(写真はイメージです。本文とは関係ありません)

オヤジナリティー ★★★
家計貢献度    ★★★
エルドラ度    ★★

2021年10月。ついに解除されましたね、緊急事態宣言。

東京でまん防だの緊急事態宣言だのが解除されたのって、ほぼ半年ぶりだってさ。

あ~これで街の酒場も、時間制限だの人数制限はあるけれど、ついでにマスク飲食的な自己防衛もしなきゃいけないだろうけども、とりあえずは呑める!!

もう一回書く。

とりあえずは呑めるッ!!

今まで半年以上、この原稿も「このご時世にこんな記事を書いていいのか?」と自問自答を本気でしつつ、なんか心ココに在らず状態でしたが、やっと心落ち着いて書けるなぁ~と、解除された10月1日その日。仕事で出かけた帰りに、前から気になっていた武蔵小杉の立ち飲み屋に喜び勇んで行ってみた。

『H(仮名)』という店である。今年の初夏頃に、今まであった立ち食い蕎麦屋が立ち呑み屋になっていた。まぁよくこんな時期に呑み屋を始めるなと、そのインディジョーンズ魂は気になっていたんだけど、気にしている間に非常事態宣言で店も休業になっちゃって行けず仕舞い。呑める日が来たら「行かねば!」とチェックしていた店である。

そして店の前に到着。

なんとやってないッ!! 時間も午後6時頃だっつうのに、シャッター閉まってる。

そして、その前日にやってたニュースを思い出した。

「『酒の提供を許可します』なんて急にいわれても、仕入れもあれば、バイトの人手も確保しなきゃいけないわ、すぐに店なんかはじめられませんよ」

的なことを、新橋あたりの居酒屋の主人が話していた。

そういうことかなのか?

ガッカリしつつ、もう一軒気になってた店があったんで、そこに行くと、そこもやってない。もう一軒、行こうと思ってた未踏の店があったことを思い出し、そこに行くと、そこもやってない!

気になってたけど行けてない店、3軒連続でやってない!!

冒頭に『とりあえずは呑めるッ!!』なんて能天気に書いたけど、実際は全然呑めてないッ!

ウンチクありそうに物事を007で例えてみる

ようするに酒を提供することをメインでやってきた飲食店は、緊急事態宣言の解除を手放しで喜んでるかと思いきや、実態にはなかなか複雑な事情があるんですね。

007シリーズ前作の『スペクター』で、ジェームズ・ボンドがミスターホワイトに、

「君は嵐の中でもがく凧だ」

みたいなセリフを言われるシーンがあるんだけど、飲食店も政府の政策の中でもがく凧みたいな状況ですよ。なんてことをジクジク書いているオレもまた嵐の中でもがく凧だよ。

で、その後。ウチの近辺では一番旨いと思っているヤキトン屋さんは営業開始してたんで入店。考えてみりゃこの店はこの記事に書いたことなかったなァ~、この店のこと書くか! なんて思ったんだけど、呑んでてうまくないんですよね。いや、酒もヤキトンも本当にこの店はウマイんだけど、ウマイ酒もウマイ料理も、嵐にもがく凧状況の飲食店を見た後には、にがく感じちゃう。

ようするに、世間の緊急事態宣言は解除されたけど、オレの心の緊急事態宣言は、まったく解除されていない!

こりゃもう最初に行こうと思って行けなかった立ち呑み屋で呑まない限りは、オレの緊急事態宣言は解除されない!!

そして1週間後。またまた出かけた帰りに店の前に行ってみた。

やってた!! これがウルトラオレ好みの店だった。ようするにシンプルに安く酔える店ってことですよ。

もう一回店名を仮名だけと書いとく。『H(仮名)』。臆病者とか、根性なしとか、そんな意味の言葉。人間だけじゃなくて、物に対しても使う言葉で、張りがなくなっちゃった時にこんな表現するね。あと、オナラをプーなんてこいちゃう意味もある。屁を垂れることね(大ヒント)。それはともかく。

なにしろ全ツマミ、全酒がオール300円! チェーン系ではこういう店もあるけど、どっからどう見ても独立系の店だしね。コロナの最中にこういう店を出す根性がスゴイ! 店名と逆!!

ツマミは全部で多分50種類くらいはあると思うんだけど、いくつか書くと、ししゃも、鯖竜田、ハムカツ、ごぼう揚げ、油淋鶏、ピータン、キムチ、マカロニサラダ、アジフライ、魚すり身揚げ、軟骨、腸詰め、雲白肉、メンマ、よだれ鶏、スパムなどなど。

エロくないのに昇天サービス!!

もちろん漬物に柿の種、ミックスナッツなんていうシンプルなメニューもあるんだけど、同じ価格ってことを考えると、貧乏性のオレなんか、肉だったり魚入ってる方がお得な気がしちゃうんで、そんな中で頼んだが『揚げ餃子』。

なんてかっつうと、揚げ餃子だけソースというかタレが10種類から選べるのよ。全部書くと、岩塩、山椒塩、味噌マヨ、スイートチリ、麻辛ソース、シラチャーソース、タルタル、ハニーマスタード、梅ソース、粉チーズ。

お店は一人で回してるんで、さっき書いたメニューで気付いた人も多いと思うけど、熱加える料理は揚げ物をメインにして、おそらく業務用のヤツを揚げることでオペレーションをシンプルにして、その分、価格を押さえてるんだと思うのね。

だけどその分、揚げ餃子はソースを10種から選べるバリエーションは入れましたみたいな、低価格重視の中に光る真心サービス! オレはこういうのが一番うれしい。

シラチャーソースってタイ料理でよく使う辛口ソースで、それもすごい心惹かれたんだけど、大好きな麻辛ソースで頼む。中には『麻辛』の読み方判らない人いるかも知らないんで書いとくと『マーラー』ね。

で、この揚げ餃子の麻辛ソースがイケてた!! 皿に麻辛ソースが一面敷かれ、の上に揚げ餃子が5つ鎮座してるんだけど、なにしろ麻辛ソースは、中国から輸入してきた本物で花椒のビリビリ感は低周波治療器のマックス状態! 『麻辛』というより本場的に『麻辣』って書いてほしいくらい!

酒がなにあるかっつうと、ビールがモルツにレモンサワー、チューハイ類各種、ホッピーが白・黒、日本酒、角ハイボールに、ジンのソーダーに、麦と米の焼酎、ワインにテキーラもあって、全部300円! あ、ホッピーのナカだけは200円!

で、オレの好きな店のナンバーワンパターンである“ホッピーのナカ大量”! 最初はタンブラーの半分くらいだったのが、2杯目からは4分の3くらい入ってる。

お店の人に「ありがたいすね~」っていったら、お店のご主人曰く、

「ホッピーのソト一本で何杯くらい呑みそうかを見てて、それに合わせてナカの量を加減してる」

とのこと。そんなのオレみたいな安く酔いたい人にとっては天国サービスじゃん! で、ホッピーを4杯呑んで、もうオレは有頂天で米焼酎を氷抜きの水と1対1で割ってくださいってお願いした。

で、焼酎と水が1:1だから、全体量はたいしたことないと思ってたんだけど、なんとこれがチューハイ用のタンブラー満杯できた! ようするに米焼酎の量は氷も抜きでタンブラーの半分!! おもわず、

「これも300円でいいの?」

って聞いちゃったよ。そしたら「いいの!」だって。これは天国サービスの行き着く先の昇天サービスですよ。

オレの中の緊急事態宣言、完全に解除されました!

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文/カーツさとう

コラムニスト。グルメ、旅、エアライン、サブカル、サウナ、ネコ、釣りなど幅広いジャンルに精通しており、新聞、雑誌、ラジオなどで活躍中。独特の文体でファンも多い。

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