「予防医学は報われない」 “腐女医”のさーたりさんがコロナ禍で伝えたいワクチンの“実態”

「予防医学は報われない」 “腐女医”のさーたりさんがコロナ禍で伝えたいワクチンの“実態”

  • 文春オンライン
  • 更新日:2021/04/08

「これからCOVID-19はどうなる?」「日本のワクチンはまだ?」“腐女医”のさーたりさんが、専門家の父に聞いてみたから続く

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感染症やワクチンに関心が高い今こそ、ウイルス、ワクチンについて知ってほしい。そんな思いから、『腐女医の医者道』シリーズなどの著書がある消化器外科医のさーたりさんが、ウイルス専門の小児科医の中山哲夫さんと、感染症やウイルスについてマンガで解説した書籍が『感染症とワクチンについて専門家の父に聞いてみた』だ。実の親子でもある2人のやり取りを通じて学べる同書より、ワクチンの“光と影”を紹介する。

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新型コロナウイルス感染症

2019年の暮れ中国で「謎の肺炎」が流行っているような情報がありました。当初は重大なことになるとは思いませんでした。驚いたことは数日のうちに遺伝子情報が解読され2002年から2003年に流行したSARSに近いウイルスとわかり新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)と名付けられたことでした。春節を前にした民族の大移動の映像を見て大変なことになりそうな予感がありました。

感染が拡大し、特異的な治療薬やワクチンもなく素手で戦っている現状は、まさにスペイン風邪の流行した時代と同じです。当時のその時代、内務省からの流行性感冒予防心得によると今でいう密集・密接・密閉の3密を避けマスクをつけるようにと勧告されています。

新たなウイルスが出現してくる危険性

世界的に感染が拡大する中で社会経済活動を続けながら感染をコントロールするためにワクチンの開発が進められています。通常のワクチン開発には最短でも数年かかります。健康な人たちを対象に広く接種されるワクチンにはその有効性・持続性と共に医薬品以上の安全性が要求されます。

今、開発されているDNA、mRNAワクチンは接種された体の中で感染防御に必要な抗原蛋白(たんぱく)が作られます。組換えウイルスベクターワクチンは遺伝子治療に使われているアデノウイルスを使っています。アデノウイルスのDNAの一部を欠損させて新型コロナウイルスのスパイク遺伝子DNAを挿入しています。接種されると細胞に感染しますが増殖することはなく蛋白を発現し免疫応答を期待するものです。現在までに報告されている副反応は従来のものと比べると発熱、倦怠感の全身反応や局所反応も強いようです。

免疫能の持続、長期間の有効性や安全性の確認が必要となります。どのワクチンがいいものかはまだわかりませんが、失敗してもその原因を科学的に検証し改良のためのデータを解析し次に備えるようにして欲しいものです。

コロナウイルスの元祖となるコロナウイルスは紀元前8000年頃にヒトが農耕生活を始めたころ牛、馬、イノシシなどの野生動物を家畜化したころに登場したと思われます。その後、哺乳動物に感染するα、βコロナウイルス、トリ型のγ、δウイルスに分かれて行きました。

コウモリは哺乳類の中でもげっ歯類(ネズミのグループ)に次いで多い動物種です。コウモリは進化の過程でたくさんのコロナウイルスを受け継いでおり、コロナウイルス以外にも、さらにニパウイルス、エボラウイルスといった病原ウイルスの貯蔵庫です。コウモリは食用にもされるようですが武漢の海鮮市場では取引されてはなかったようです。コウモリは口から超音波を出して位置確認しますが、その時に唾液の飛沫などでウイルスがばらまかれ中間宿主に感染して広がったと思います。

森林の開発や地球温暖化によりコウモリの好きな果実ができなくなったり、野生動物は餌場がなくなることでヒトの生活圏に入ってきます。人里離れた森の奥でヒトに接することなく循環していたウイルスがこれからも新たに出現してくる危険性があります。ウイルスと宿主のしのぎあいだけでなくこれからの感染症対策には社会経済、自然環境、動物の生態環境の変化にも考慮することが必要になります。

(さーたり,中山 哲夫)

さーたり,中山 哲夫

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