
縦に長ーい日本列島。最南端の沖縄ではプロ野球のキャンプが真っ盛り。一方、最北端の北海道では、2月16、17日の2日間、暴風雪が吹き荒れました。そんな北海道の「ザ・冬」の象徴ともいえる絶景写真をお届けします。
体育館並みの大波がドカンドカンと!
2021年2月17日の留萌市黄金岬の波です。
北海道の日本海側では、16日から17日にかけて数年に一度の爆弾低気圧が接近し、大荒れになりました。
台風並みの暴風雪が吹き荒れ、一時はまったく視界がきかないホワイトアウトの状態でした。
17日の午前中、ほんのつかの間、雪が止んだので、海岸に出てみると、立っていられないほどの暴風が吹いていました。押し寄せる波の高さはなんと8m!
波ははるか沖の方からせり上がり、うなりながら打ち寄せています。波は、学校の体育館ほどの大きさで、岩場にぶち当たってドカンドカンと轟音を響かせています。

留萌の黄金岬に押し寄せる大波。まるでそびえ立つ壁です

同上

2017年には、港に立つもう一本の灯台が荒波にたたき折られました
留萌は、冬になると風が強いことで有名で、年に何度かは暴風雪に襲われ、ホワイトアウトになるのにも慣れっこですが、さすがに今回のような台風並みの暴風雪が吹き荒れることはめったにありません。
2日間、小平〜留萌間の国道は海からの大波をかぶる状態となって通行止めに、小中学校は休校、午前中で仕事を切り上げたオフィスも多かったようです。
ホワイトアウトでは、写真をとってもただ真っ白な絵になってしまうので、押し寄せる大波をお届けしました。
氷点下10度以下の日、海に現れる幻想的風景
もうひとつの留萌の真冬の風物詩といえば、「けあらし」があります。
放射冷却現象で氷点下10度以下まで冷え込んだ、風のない朝、冷たい空気が海に流れ込み、海面から霧が立ち上る現象です。「けあらし」という言葉は留萌地方で生まれたとされています。

留萌黄金岬に出現した「けあらし」

「けあらし」とオオセグロカモメ

「けあらし」のなか、出港して行く漁船
北北海道は、ものが凍らないように冷蔵庫に入れるような土地柄ですが(暖房が効いていない玄関先にオリーブオイルを置いておいたら凍っていたことがありました)、こんな冷え込んだ朝には、水道が凍結してしまうので、水道屋さんが大忙しです。
撮影地まで行こうにも車のフロントガラスが凍り付き、エンジンをかけて30分温めても溶けない日もあります。極寒の絶景を撮影しに行くときには、それを考慮に入れて、早起きしなければなりません。
ちなみに、最近北海道では、車のキーについているエンジンスターターで、家の中から遠隔操作でエンジンをかけ、出かける前に十分車を温めておくというのが当たり前になってきてますが、本州以南ではどうなんですかね。

暴風雪の翌朝、凍り付いた車
「けあらし」は、発生する量によって表情が異なります。氷点下20度まで冷え込むような日には、海がミルクを流したような霧に覆われ、中から精霊でも現れそうな幻想的な風景が広がります。

「けあらし」のなかに浮かび上がる暑寒別岳

凍り付く岩場の向こうに沸き立つ「けあらし」

湯気が立って温泉みたいに温かそうに見える海ですが、この季節の水温は5℃くらいです
コロナが収まったら、本州以南では味わえない北海道の「ザ・冬」をぜひ体験しにきてください!