アニメ『アオアシ』声優 武内駿輔インタビュー「明確な悪」は声にも現れる

アニメ『アオアシ』声優 武内駿輔インタビュー「明確な悪」は声にも現れる

  • KAI-YOU.net
  • 更新日:2022/05/18
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TVアニメ『アオアシ』の放送が4月9日からスタート。毎週土曜日18時25分からNHK Eテレのほか、各種ストリーミングサイトでも配信中です。

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原作は小学館『ビッグコミックスピリッツ』で2015年から連載中の小林有吾さんが描くサッカー漫画。最新27巻の発売時点では累計発行部数1100万部を突破。KAI-YOU.netでも「2021年ガチのオススメ漫画10選」に取り上げました。「熱く泥臭いドラマとロジカルなスタイリッシュさが同居する絶妙なバランス」を持ち、サッカーの知識が少なくとも楽しめる作品です。

『アオアシ』の舞台は、Jリーグを目指す高校生年代を育成する「ユース」チーム。愛媛から上京した主人公・青井葦人(あおい アシト)が入団したサッカークラブ「東京シティ・エスペリオンFC」のユースチームで幾度もの挫折を経験しながら、成長していく姿を描きます。

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TVアニメ『アオアシ』キービジュアル

本作はアシトを取り巻くチームメイトにも、一癖あるキャラクターが多く登場。仲間でありライバルでもある彼らは、アシトと時に衝突し、時に理解し合っていく関係だけに、演じる側にも主人公同様の熱量の高さが求められるといえるでしょう。

今回、KAI-YOU.netでは、そんなチームメイトの面々を演じる声優4名──加藤渉さん(朝利マーチス淳役)、榎木淳弥さん(本木遊馬役)、熊谷健太郎さん(竹島龍一役)、武内駿輔さん(阿久津渚役)──へインタビューを実施。記事最後にはサイン入り色紙のプレゼントキャンペーンもあります。

【画像】武内駿輔さん撮り下ろし写真

取材・文:長谷川賢人 写真:原哲也編集:恩田雄多

武内駿輔は「リアリティのある悪を持つ人間」をどう演じた?

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武内駿輔さんが演じる阿久津渚:アシトの一学年上の世代で、唯一のセレクション合格者。1年時から1軍のレギュラーに選ばれる実力を持つディフェンダー。ストイックで気性が荒く、チームメイトと衝突することも多い。セレクション時に対峙したアシトのことが気に食わず、入団後も事あるごとに突っかかり、潰しにかかる。

今回、インタビューに応じてくれたのは、阿久津渚役を演じる武内駿輔さん。

阿久津は、主人公のアシトより一学年上の世代で、アシト同様にセレクション合格者として入団した選手。確かな実力の一方で、ストイックで気性が荒く、時にチームメイトとぶつかることも。また、アシトのことが気に食わず、折に触れて衝突します。しかし、物語が進んでいくほど、『アオアシ』という作品で大きな意味を持ってくる一人でもあります。

武内駿輔さんは「毎回、チャレンジの精神で挑んできました」と、阿久津という「アシトに立ちはだかる壁」を演じたといいます。アシトに対して、劇中で唯一と言っていい明確な敵意を向けるキャラクターと、どのように対峙したのでしょうか。

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──阿久津というキャラクターは、原作でも「扱いが難しい」といいますか……かなり難しい役どころだったのでは、と感じます。

武内駿輔 自分の中でも挑戦的というか、チャレンジの精神を持って毎回挑ませていただいていますね。というのも、単なるフィクションとは違うような、「リアリティのある悪を持つ人間」をどう演じたらよいのか、すごく悩んでしまって……。

これまで悪役を演じることがあっても、フィクションやファンタジーといった世界で描かれるのは「明確な悪」でした。現実世界には明確な悪はなかなか少ないものですし、『アオアシ』も現実的な題材なだけに、フィクションとリアルのバランス感を持った「悪」を演じるにはどうすればよいのかが難しかったんです。

オーディションを経て阿久津役に決まったのですが、スタッフの方々の前で演じる段階から、阿久津という人物像についてのご意見をうかがうこともありました。

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そこで、監督のさとう陽さんや、音響監督のはたしょう二さんとお話したのは、阿久津には阿久津の流儀や考え方が芯にあって、それらが行動に出ているということです。つまり、ただの気性が荒いクズな人間ではないんですよね。

アシトに対して嫌なことをするのも、その裏に思いがあるという「理由」が付いてくる。それが監督たちからの言葉によって明確になった時に、阿久津への理解が深まりました。自分が持つ様々な引き出しを使って、阿久津を具現化できたのではと思っています。

──武内さんから見て、阿久津の人物像や性格はどのように映りましたか?

武内駿輔 すごく不器用な人間です。内面は自分の感情に素直ではありながら、周りの人間に対しては素直になりきれていないところもある。見た目も実力も「とはいえ10代の青年なんだ」とは感じます。『アオアシ』はアシトだけではなく、阿久津の成長する様子も描かれていきますが、まだまだ伸びしろのある原石ですね。

阿久津というキャラクターの「魂」は声にも現れる

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──『アオアシ』は「サッカー」が主軸にありますが、ご自身に経験のないものをテーマとするような作品で演じられるとき、どういったアプローチを取りますか?

武内駿輔 「共通すること」から探ります。サッカーでいえば「スポーツ」という共通点から、そこで向上していくためにはどういったプロセスを経て、どのように取り組んでいけばいいのかを見てみます。スポーツ選手は取り組む競技が異なるだけで、成長マインドの持ち方などの根本的な部分は似ているところがあり、そこから補えるのではないか、と。

幸いなことに『アオアシ』が主題とするサッカーは情報も豊富でしたから、サッカー選手の方々のインタビューやドキュメンタリー動画を視聴したり、どういった思考を持つ人がサッカー選手に多いのかを調べたり。あとは、ユース世代の物語ですから、プロを目指す学生たちは、どういった姿勢で夢に向かって取り組んでいるのかを見たりもしました。

──サッカーついて様々な領域を調べた結果、役に取り入れられそうなことはありましたか?

武内駿輔 共通して感じたのは、スポーツはフィジカルやセンスが大事だと思われがちですが、やはりトッププレイヤーの方々は、みなさん頭が良いですね。自分に足りないものを見つめて練習メニューを組むなど、成長のためのプロセスを構築できる。

あるいは、目標を達成するために好き嫌いのマインドを持たずに、実際の行動に移すことができる。そういう人がプロには多いと感じました。そういった「地頭の良さ」は阿久津にも反映できたら、とは思っています。

ただ、これはトップにいるプロの話で、『アオアシ』に出てくるキャラクターたちは、その途上にいる存在です。好き嫌いという感情が前に出てしまうこともあり、反抗心や反発心なども見えてくる。そういった「青い感情」も逆算して考えると、キャラクターを捉えやすくなります。

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──セリフとはいえ、キャラクターにも各々の人間らしさがあり、「なぜその発言するのか」といったことが表面的には描かれずとも裏側ではつながっている。それがわかると、発声にも影響がありそうですね。

武内駿輔 そうなんですよね。魂の部分というのか……それがわかると、意外と声って変わるんですよ。

セリフは、音程が全く同じでも違うように聞こえることがあるから不思議なんですよね。その理由は、バックボーンをちゃんと考えられているか、セリフをちゃんと理解して言えているのか、といった精神的な部分によって全然変わって聞こえる。だから、なおさら気をつけなくちゃいけないなと思います。

歌手と声優には通ずるところがある

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──武内さん自身「精神的な部分」の重要性に気づかされた瞬間が、過去にあったのでしょうか?

武内駿輔 自分の出演作を見聞きするなかで、というのもありますが、歌が最もわかりやすいですね。歌は、芝居と違って音程やリズムが決まっていて、全く同じになりそうなものですが、人によって「悲しげに聞こえる」「熱量が高く思える」ということが起きる。そういうところに起きている変化を聴き比べるためにも、歌は良い題材です。

他業種の方を参考にすることはありますね。たとえば、今の自分とは全く違う感情を引っ張ってきて、それを言葉に乗せてアウトプットするという意味では、歌手と声優には通ずるところがある。素晴らしい表現力を持つ歌手の方もたくさんいらっしゃいます。

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あとは、その感性に気づけたら、トレーニングを積むだけです。もちろんセンスに依る面もありますが、プロの現場でミキサーさんに意見をうかがって、良いと言われたテイクから情報を収集したり、周囲から教えてもらったりすることで、自分の耳も鍛えられていきます。他の人からの気づきがあれば、自分にも取り入れて試してみることもします。

一般の方からすれば、聞き比べてもわからないほどの変化かもしれません。でも、確かに音が違うものになっていく。その違いをわかるようになるために、自分でも努力していくことは心がけていますね。

阿久津は演じ方の「正解」を決めるのが大変なキャラクター

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──武内さんは公式サイトで「キャラクターが持つパワーに負けぬよう」とコメントされていましたが、実際の収録で負けないように声色や口調など意識した点はありますか?

武内駿輔 パワーの強さでいうと、阿久津は演じる側としては「正解が多い」キャラクターなのだと思います。これが、アシトなら「少年っぽい声」だけれど「女性寄りではない」といった道筋が見えやすいのですが、阿久津は僕よりも声が高い人が演じても、ハマりそうな気がして。

先行して公開されたPVなどから視聴者の方の反応を見ていても、阿久津に対して「もっと高い声を想像していた」「いや、このくらいの低さが良い」といったように、評価が分かれる。見る人によって正解が変わるキャラクターは、いろいろな可能性を秘めている、ある種の強いパワーを持っていると僕は思うんです。

そういったキャラクターの正解を自分が決めるのは、やはりすごく大変。そこは今もトライアンドエラーですね。心情の変化もそうですし、どういった音圧で迫るかもそう。当たって砕けるチャレンジを続けています。阿久津を演じてはいますけれど、気持ちとしてはアシトみたいにがむしゃらです(笑)。

──そういう意味で阿久津というキャラクターは、武内さんにとって大きな存在になりそうですね。

武内駿輔 「どういうふうに演じようか」と考えさせてくれるキャラクターに出会えるのは、なかなか得られない機会です。自分と対話して、相談して、それを現場へ持っていくという時間を、阿久津は与えてくれています。

近年、たくさんの素敵な役をいただいてきましたけれど、その中でもありがたいと思える役の一つですね。僕も、阿久津と一緒に成長していけたらな、と思います。

武内駿輔さんのサイン入り色紙プレゼント

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アニメ『アオアシ』声優 武内駿輔(阿久津渚役)サイン色紙

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May 14, 2022
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©小林有吾・小学館/「アオアシ」製作委員会

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