【SDGs】時代を切り開く若者たち (1)祖母の家が消滅の危機に

【SDGs】時代を切り開く若者たち (1)祖母の家が消滅の危機に

  • CREA WEB
  • 更新日:2021/06/09

WORLD DREAM PROJECTの市川太一さん、平原依文さんが中心となって編纂した「WE HAVE A DREAM 201カ国202人の夢×SDGs」(いろは出版)。

この本から、世界の若者のSDGsについての考えをピックアップします。

この若者たちは、ワン・ヤング・ワールド・サミットのアンバサダー。

190以上の国からやってきた代表者で、社会的影響力を加速させるために活動する優秀な若い才能が集まります。

【パナマ PANAMA】ディウィグディ・ロドリゴ・バリエンテ・アブレゴ

「私のルーツを消さないために」

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子どもの頃、祖母はさまざまなハーブや樹皮、花とともに、私を入浴させました。私に守護と霊的な強さを授けようとしたのです。私は祖母の伝統的な療法を信じており、古の歌は大人になっても私を祝福し、守ってくれています。しかし、祖母、そして祖母の家、コミュニティ、文化の伝統は、気候変動による海面上昇のために消滅の危機にさらされています。

私は、中央アメリカの先住民族グナのコミュニティの出身です。パナマ北岸沖の島、プラヨン・チコで育ちました。人口約3,500 人のこの島は、パナマで最も海面上昇の影響を受けている場所の一つです。私の生きている間に、グナが住む島々は海面上昇によって消滅し、世界で最初の気候変動難民を出す可能性が高いです。グナの子どもたち(burwigans)は、気づかないうちにすでに犠牲者たちなのです。

私たちの文化が直面する危機を知り、Burwigan Projectを立ち上げました。私たちのコミュニティを本島へと移すための資金を集めるため、アートを通じて喫緊の課題に対するパナマ政府や国際組織の意識を高めるとともに注目を集めるのです。私たちは、島々へのアートツアーを企画し、持続可能な開発の原則に基づいた観光業への道を開いてきました。

私たちのアートツアーは、世界のさまざまな地域や分野のアーティストと、グナの子どもたちや女性たちを結びつけています。ツアーではアーティスト、教師、子どもたち、そしてコミュニティが一緒にプロジェクトに取り組み、環境保護について学びます。プラスチック汚染や気候変動が島々に与える影響を作品として記録し、各アーティストの作品を街のいろいろな場所に展示します。プラスチック汚染と気候変動にまつわる活動を周知し、活動へ巻き込み、行動のきっかけとするのです。

写真や映像、物語、音楽、ファッション、インスタレーションなど、それぞれのアーティスト独自のアプローチで、複雑なデータがシンプルな視覚表現に置き換えられ、人々はすぐに共感して理解できます。同時に、グナのみんなにも認識を広めることもできるのです。アートに加えて武道のワークショップも開き、型にとらわれない指導方法を使って子どもたちに力を与えて、プラスチックと闘うclimate warriors(気候変動と闘う戦士)にしました。私たちの活動はメディアの注目を浴び、廃棄物処理のエンジニアや下水処理の専門家たちと協力する機会を持つことにつながりました。これは、他の分野、例えば水へのアクセスについての問題解決や、し尿を生物処理するシステム構築などで活動するための道が開かれました。

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私は、観光業を通して人々をまとめることで、気候変動の影響を軽減することに貢献したいです。これはコミュニティを経済的、社会的に助けることになると同時に、気候変動によって避難した人々がきちんと移住できるように意識を高めるのに役立つことになるでしょう。移住を望まないグナの人々は島に住み続け、自分たちの文化を維持することもできます。観光業は、私の夢を実現する特別な方法だと信じています。

何世紀にもわたって、グナの人々は自分たちの文化の独立を守るため、政府の圧力に反抗しながら避難し、闘ってきました。何世紀にもわたって、世界中で私たちのような先住民のコミュニティが、世界の西洋化に伴う消滅の危機にさらされてきました。そして今、気候変動によって一挙に消滅してしまうかもしれません。私は、愛する海にそんなことをさせないために、海の健康を守りたいです。その力が社会的なネットワークにはあると、私は信じています。

【トンガ TONGA】ダイアモンド・ビア

「希望の涙」

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私は今、トンガの首都のラジオ局でジャーナリストとして働いています。私はトンガ初のトランスジェンダーのジャーナリストではないかと思います。しかし、大切なのは、私が誰かと違うということではありません。私は他のジャーナリストと変わりません。誰を、どうサポートするのか。愛と真実と平和を通して、自分の声を使って人々に伝え、教え、楽しませるために私は立ち上がり続けるということです。

小さい頃、自分自身に困惑していました。男の子のおもちゃに興味を持たなかったし、女の子役をしたいと思っていました。いいえ、困惑どころではなく、本当に苦しかったです。両親は教会の聖職者でした。私は聖職者の息子としての役目を果たそうと努めましたが、みんなが期待するような人になるのは大変なことでした。私たちの暮らしていた保守的な文化のなかでは特に。

私に何の価値があるの? ありのままの人生を進んでいいの? それとも私ではない誰かになるべき? こうした疑問を何度も自分に問いかけました。でも、ついに小学校の先生たちが、トランスジェンダーとしての私を受け入れてくれました。私はブリトニー・スピアーズの大ファンでしたが、先生たちは私を立ち上がらせ、ブリトニーの歌を授業の間中、歌わせてくれました。最高の思い出の一つです。

当初は幼すぎて自分を受け入れられなかったけれど、ついに自分を若きトランスジェンダーだと理解する段階までたどり着けました。正直に言うと、まだ内心「なぜ?」という疑問が抜けません。自殺を考えた日もあったけど、私を愛してくれる人たちの悲しみを想像したとき、踏み留まれました。

そして、ありのままの自分でいるためにトランスジェンダー美人コンテストに出場し、ミス・ギャラクシークイーン2015 に輝きました。美を表現するためだけでなく、トランスジェンダーのコミュニティに恩返ししたいという強い想いの結果でした。でも、クイーンだった2 年間、SNS で嫌がらせを受けたり、面と向かって批判されたり、傷つくようなことをたくさん経験しました。けれど、ありのままの人生を歩いていくと決めたんです。強い気持ちで自分を支えられる限り、若い人々がより良い未来へ進めるよう手助けしたいです。

私のことを心から愛してくれた両親、いつもそばにいてくれた友人たちにとても感謝しています。彼らがいたから、大変な人生でも歩き続けることができます。“Malo!”(ありがとう)。この世界が憎しみと悲しみではなく、愛と喜びと夢にあふれる場所になりますように。私は今ここで、希望の涙とともに、あなたを励ましています。

『WE HAVE A DREAM 201カ国202人の夢×SDGs』

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これまでにない夢×SDGsの本。
これまで世界中の誰もが夢を抱いてきたように、これからの時代、みんなが夢と同じように共有していくものってなんだろう。
その一つは、SDGsではないでしょうか。私たちは、2015年に世界の国々が結んだ未来への約束に注目しました。
「SDGsネイティブ」と言われるZ世代を中心に、SDGsの達成に取り組む世界の若者たちはどんな課題を見出し、解決に向けて行動し、その先にどんな未来を夢見ているのか。
彼らの夢から明らかになったのは、SDGsとは「何をするか」ではなく、「どんな未来を夢見て、今を生きるか」。SDGsに取り組むためのマインドに焦点を当てた、これまでにない一冊になりました。

WORLD DREAM PROJECT

https://world-dream-project.com
Instagram:@worlddreamproject

文=「WE HAVE A DREAM 201カ国202人の夢×SDGs」編集部

「WE HAVE A DREAM 201カ国202人の夢×SDGs」編集部

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