Core i9-11900Kのベンチマークテストでわかった、MEG Z590 ACEはさすがハイエンドモデルと呼ぶべき確かな設計

Core i9-11900Kのベンチマークテストでわかった、MEG Z590 ACEはさすがハイエンドモデルと呼ぶべき確かな設計

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  • 更新日:2021/04/08
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先日、Rocket LakeことCore i9-11900Kのmsi×intel評価キットの開封の儀を行った。そして3月30日、ついにベンチマーク等詳細なデータが公開可能になった。CPUのレビューというよりは合わせてマザーボード「MEG Z590 ACE」がメインとなるがさっそく性能を見てみよう。

Core i9-11900Kで使える第4のブースト「ABT」

まずCore i9-11900Kから説明しておこう。Core i9-11900Kは第11世代Core i9ラインナップ中で定格およびターボブースト時のクロックがもっとも高く、iGPUを搭載しており、かつアンロックモデルである。動作周波数は定格が3.5GHz、ターボ時の最大が5.3GHz。TDPは125W、コンフィグラブルTDP-downが95W@3GHzだ。

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第10世代Coreと比較して性能がどうなのだろうか。Core i9-11900Kの8コア16スレッドは、第10世代Core i9-10900Kの10コア20スレッドよりも2コア4スレッド分少ない。それにともないキャッシュ容量も4MB少ない。

ただ、Core i9-11900Kはより新しい世代のCore i9だ。アーキテクチャの進化でIPCを向上し、一方で実動作クロックはこれまのブースト機能にもうひとつ新たなブーストを加えて性能引き上げを測っている。

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Core i9-10900KはTurbo Boost 2.0、Turbo Boost Max 3.0、Thermal Velocity Boostの3つを利用した場合、本来この倍率上限だ

Core i9-11900Kおよびi9-11900KFだけが利用できる特別なブーストが「Adaptive Boost Technology」(ABT)だ。ABTは、資料を読むかぎり、使用するコア数が少ない状態というよりもマルチコア使用時に効くブーストだ。ただし前提として冷却および電力に余裕が必要だ。電源は別として、評価キットに360クラスの水冷CPUクーラー「MPG CORELIQUID K360」が付属したのはこのためと言える。

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MEG Z590 ACEのBIOSには組み合わせるCPUクーラーの種類を選ぶ項目がある。今回はMPG CORELIQUID K360を組み合わせ、パフォーマンスを開放するためにWater Coolerを選択。PL1は4096Wで実質アンリミテッドだ

評価キットに含まれるMEG Z590 ACEにも、ベータ版のABT対応BIOSが配布された。ABTの設定は、BIOSの詳細設定、「OC」項目中にある。そしてデフォルトはDisabledだ。Core i9-11900KでPCを組む方はおそらくハイエンドCPUクーラーを組み合わせると思われるが、何らかの理由でメインストリーム級のCPUクーラーで動かすシチュエーションもあるだろう。それを想定してのDisabledだろうか。とにかく、ABTを利用するために必要なのは、ここをEnabledにするだけだ。

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Intel Adaptive Boost TechnologyをBIOSから有効(Enabled)に切り換える

8コアのCore i9-11900KがABTオンで10コアのCore i9-10900Kに並ぶ

検証環境はmsi×intelの評価キットに、メモリ、SSD、ビデオカード、電源を加えている。ABTを含め、重要な点として電源には80PLUS PLATINUMの1200Wモデルを用意した。一方、ほかのパーツはあり物で済ませたので少々古めだ。ビデオカードはGeForce GTX 1070、SSDはPCI Express Gen3 x2。昨今、ビデオカードの入手が難しい状況になっているが、ビデオカードの買い換え時に悩んでいる方が、ならば今CPUやマザーボードなどシステム側を更新したらどうかといったデータになるだろう。

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まずCINEBENCH R23を見てみよう。ABTオン時はマルチコアが16449、シングルコアが1619、ABTオフ時はマルチコアが15519、シングルコアが1603となった。どちらもABTオン時のほうが高スコアだが、シングルコア側は誤差の範囲だろう。マルチコア側は930ポイント向上しており、ABTが有効に効いていることを表わしている。なお、過去に計測したCore i9-10900Kのスコアと照らし合わせると、ABTオフではまだ到達できないが、ABTオンではほぼ横並びになる。2コア4スレッド少ないCore i9-11900KがIPC向上とブーストクロックによって10コア20スレッドの前世代CPU相当の性能を引出したということだ。

ではABTはどのような動作だろうか。CINEBENCH R23のマルチコアテストをHWiNFO64から確認してみると、ABTオン時は全コア5.1GHz動作、ABTオフ時は全コア4.8GHz動作だった(Intelの資料どおりの動作)。930ポイントの向上をもたらしたのは300MHzのブーストというわけだ。

続いてPCMark 10 Extended。OverallはABTオフ時が8952、ABTオン時が9057。ABTオン時のほうがよいように見える。ただし内訳を見ると有効なテストとあまり効果が得られないテストがある。

PCMark 10はマルチスレッドテストであるが、CINEBENCH R23のマルチコアテストのようにCPUスレッドを100%使い切るようなものではない。効果が高そうなのはDigital Content Creation(DCC)のようなシナリオとゲーミングだ。DCCシナリオには3つのテストがあるが、どれもABTオンのほうが高スコアだ。GamingシナリオはCPUテスト的なPhysicsテストでABTオン時が大差を付けているほか、Graphicsテストも少しABTオンの効果があるように見える。また、Essentialsのようなホーム用途も、多少は効果があるように見える。ただし、Productivityシナリオに関しては明確と言えるほどのスコア差が出なかった。

ここからは常にABTオンとして検証していこう。まずは3DMark。

3DMarkは主にGPU性能のテストだが、CPUテストもあり高性能なCPUであるほどスコアは向上する。GPUがGeForce GTX 1070なのでスコア自体は平凡だが、フルHDゲーミングするには問題ないスコアと言えるだろう。

ほか、ASSASSINS CREED VALHALLAのフルHD、最高画質は平均77fps(低位1%50fps)、Tom Clancy's Rainbow Six SiegeもフルHD、最高画質で260fps(最低195fps)。このあたりは旧世代ハイエンドGPUを搭載するPCで、CPUを最新世代へと換装した際の目安としていただきたい。

MEG Z590 ACEの電源&ヒートシンク設計はABT Ready!

さて、この評価キットのメインはMSI MEG Z590 ACEだ。MSI MEG Z590 ACEの性能というものを示さなければならないだろう。定格運用の環境において、数値でマザーボード性能を評価できるものと言えば、ヒートシンク設計が試されるVRM温度だろう。そこでHWiNFO64を用い、各ベンチマーク中のログを取得してみた。当然、ABTオンの状態だ。

まずは全コアに100%の負荷がかかり続けるCINEBENCH R23のマルチコアテストだ。グラフの赤いラインはCPUのみの消費電力(右)で、ベンチマーク開始するとすみやかに上昇し300W近辺に達する。この消費電力のラインはおおむね負荷率ととらえてよい。

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CINEBENCH R23 Multi Core実行中の各部温度とCPUの消費電力

では温度について見ていこう。温度は電力ほど瞬間的に反応するものではない。最初はまだ冷えているがベンチマーク開始とともに温度が上昇するため、右に行くほど数値が高くなるラインだ。ただ、CPUに関しては追従性が高い。ベンチマーク開始から急速に上昇し、75℃を超えたところからじょじょに上昇するラインを描く。ベンチマーク後半、最大温度は82℃に達した。ただし、この温度は危険域という感じではない。MPG CORELIQUID K360の性能がよいこともあると考えられるが、Core i9-11900Kの仕様上、Tjunctionは100℃だ。十分なマージンがある。

一方、MEG Z590 ACEのVRMは開始時が38℃で、ベンチマーク開始から少し遅れてじわじわと上昇、最大で44.5℃を記録して終了した。CPUクーラーのMPG CORELIQUID K360のポンプ部分には小径のファンが搭載されているので、そのエアフローが多少VRM冷却にも貢献していると思われるが大した風量ではない。そのほかにファンは用意せず、ほぼ自然の対流に任せている。ABTオンで5.1GHz動作、CPUに最大302.5Wの電力を供給していながらさほど高温にもならずこうしたゆるやかな温度上昇で収まるというのは、MEG Z590 ACEのVRMヒートシンクが優れている証拠と言えるだろう。

次はPCMark 10。長時間のテストになるのでゲームシナリオがないStandardのデータになる。おおむねグラフを3分割してひとつ目がEssentials、2つ目がProductivity、3つ目がDCCである。CPU負荷率はEssentials、DCCが比較的高く、Productivityはそこまででもない。Essentialsは激しく上下するラインであるように、CPU負荷は継続的なものではなく、どちらかと言えばDCCのほうが継続的であるようだ。また、CPU負荷率が低いProductivityだが、ある程度の負荷が継続的に続く傾向のテストというように見える。

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PCMark 10実行中の各部温度とCPUの消費電力

少しアイドル時間が長かったため低めの32℃というVRM温度でスタートするが、Essentialsシナリオ終了時点で36℃まで上昇した。次のProductivityシナリオではCPU負荷率のとおりCPUを酷使しないため36.5℃あたりで推移する。そしてDCCシナリオは再びCPU負荷率が高くなり最高38.5℃まで上昇した。つまり普段の一般的なPC操作においてはこのテストで40℃を超えないあたり、VRM温度は何も気にする必要なく低めの温度に保たれそうだ。

続いて3DMarkのFire Strikeのデモ中で計測したデータ。CPU負荷はそこまで高くはなくピークでも150W(※CPUのみ。システム全体の消費電力ではない)程度で、VRM温度もフラットに近いラインになっている。そして45℃を超えることはなかった。PCMark 10と比べるとCPU負荷率が高く継続的に高負荷がかかり続けるようだ。VRM温度もこれが反映されたラインで、43.5℃という今回の検証ではやや高めの温度で推移した。ただし、VRM温度自体は低めであり、さらにヒートシンクで覆われているため、その表面に触れてもほんのり温かいかなという程度の感覚だ。

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3DMark Fire Strike実行中の各部温度とCPUの消費電力

では実際のゲームのベンチマークではどうだろうか。ASSASSINS CREED VALHALLAもRainbow Six Siegeもそこまで大きく変わらないが、CPU負荷率は3DMarkよりもピークが高く200Wに迫り、そのほかもあまりCPUが休めるシーンが多くはないようだ。VRM温度の最大はASSASSINS CREED VALHALLAが44.5℃、Rainbow Six Siegeが44℃。3DMarkと比べるとわずかに高かった。ただしこちらもよく冷却できているなという印象だ。右肩上がりとはいえ、このくらいゆるやかな上昇であれば長時間プレイも安心だ。

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ASSASSINS CREED VALHALLA(フルHD、最高画質)実行中の各部温度とCPUの消費電力

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Rainbow Six Siege(フルHD、最高画質)実行中の各部温度とCPUの消費電力

なお、MOSやCPU Packageといったデータのほかにも温度関連のログを取得しているが、高温になってフラグが立つといったことは当然なかった。CINEBENCH R23では302.5Wという電力がCPUだけで消費しているというデータだったが、MEG Z590 ACEの電力供給能力には十分な余裕がある。

ABTオン時のVRMへの負荷は高い!優れたVRM設計の「MEG Z590 ACE」がオシ

第11世代Coreの最上位であるCore i9-11900Kが前世代からコア数を減らしたという事実は、Intelがメニーコア化競争で苦戦をしていることを表わしている。しかし、新たなアーキテクチャ、新たなブースト機能によってパフォーマンスは10コア20スレッド相当であることを示している。

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ABTオンでの挙動はグラフのとおりだ。全コア5.1GHz、最大300W。高性能CPUクーラー、そして大出力電源が必要だ。そしてVRMの設計とヒートシンクも重要である。エントリー向けマザーボードでもCore i9-11900K自体の動作には問題ないと思われるが、ABTをオンにするとなると高効率で発熱を抑えるVRM、すみやかに放熱するヒートシンクといった設計が重要になる。この点で、MEG Z590 ACEはさすがハイエンドモデルと呼ぶべき確かな設計だった。ABTオンのみならず、OCを含め、Core i9-11900Kの性能を引出したい方が選びたいマザーボードと言えるだろう。

MEG Z590 ACE詳細ページMSIサイト

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石川ひさよし

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