『仮面ライダーゼロワン』杉原輝昭監督がシリーズを振り返る - 高橋文哉は「彼が主役でよかったと心の底から思える役者」

『仮面ライダーゼロワン』杉原輝昭監督がシリーズを振り返る - 高橋文哉は「彼が主役でよかったと心の底から思える役者」

  • マイナビニュース
  • 更新日:2020/10/18
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●視聴者を引き付け続けたキャラクターの魅力

『仮面ライダーゼロワン』高橋文哉「或人は社長として、僕はライダーとしての責任がある」- 映画でもう一度創り上げた或人像

2020年8月に最終回を迎えた特撮ドラマ『仮面ライダーゼロワン』の映画『劇場版 仮面ライダーゼロワン(仮題)』が、12月18日に公開される。映画では、テレビシリーズでメイン監督を務めた杉原輝昭氏がメガホンを取る。

杉原監督は、『快盗戦隊ルパンレンジャーVS警察戦隊パトレンジャー』(2018年)のメイン監督として作品の骨子を築き上げ、魅力あふれるキャラクター描写や斬新なカメラワークによるアクションカットなど、意欲的な演出で注目を集めた気鋭の演出家。"令和"初となる仮面ライダーシリーズ『仮面ライダーゼロワン』(2019年)では、人工知能「AI」といった今日的なテーマをとりあげ、AI搭載人型ロボット=ヒューマギアと人間との関わりを中心にしたリアリティのあるSFドラマを志向。新時代の仮面ライダーと呼ぶにふさわしい作品を優れたスタッフ・キャストと共に創造した。

そして、9月18日から22日にオンライン開催された「ゆうばり国際ファンタスティック映画祭2020Powered byHulu」では、「京楽ピクチャーズ.PRESENTS ニューウェーブアワード」を、俳優・山田裕貴(男優部門)、女優・奈緒(女優部門)と共に「クリエイター部門」で受賞したことも記憶に新しい。

ここでは杉原監督に、『仮面ライダーゼロワン』(2019年)のメイン監督として突っ走った1年間の"振り返り"と、12月に公開が予定されている『劇場版 仮面ライダーゼロワン』への意気込みを訊いた。

――このたびは「ゆうばり国際ファンタスティック映画祭/ニューウェーブアワード」受賞おめでとうございます。

ありがとうございます。最初「受賞したよ」と聞かされたときはよく分からなかったのですが、今をときめく錚々たるメンツの中に入れていただいて光栄です。

――『仮面ライダーゼロワン』は放送第1回から、ゲストのなかやまきんに君さんが演じたお笑い芸人型ヒューマギア「腹筋崩壊太郎」がTwitterのトレンドに上るなど、幅広い世代からの注目度が高い作品でした。毎週、放送終了後には感想ツイートやキャライラストなどがアップされ、1年間常にホットな話題を呼び続けただけに、今回の杉原監督のニューウェーブアワード(クリエイター部門)受賞も納得という感じですね。

『ゼロワン』は意識的に新しい要素を採り入れた仮面ライダーシリーズですし、「AIは人と同じように心を持つのか」といった、なかなか扱いづらいテーマで果敢に"攻めた"作品でした。そういうところがみなさんの興味を引いたのではないかと思っています。「腹筋崩壊太郎」じゃなくて「腹筋崩壊太郎ロス」がトレンドになったんですよね(笑)。スタート時点から話題になり、拡散されていったのは本当にありがたいことでした。

――テレビシリーズの第1、2話で『ゼロワン』の作品世界を築き上げた杉原監督は、次に冬の劇場版『仮面ライダー 令和ザ・ファースト・ジェネレーション』にて、仮面ライダーゼロワン/飛電或人(演:高橋文哉)の"誕生"にまつわる物語を描かれました。そしてこの次は第21、22話と、ストーリーがかなり進んだ状態での参加となりましたが、それまでの展開は把握済みでしたか?

当初の打ち合わせの中で、事前に聞いていた方向性には沿っていましたが、ストーリーが進行して登場人物のポジションも変化していたので、とまどいみたいな気持ちは確かにありました。知らないところで、こんな話になってたのか!とかね(笑)。でも、これまでのオンエアもチェックしていましたし、ここに至るまでの登場人物の心情もある程度つかんでいたので、演出する分には問題ありませんでした。

――或人役の高橋文哉さん、秘書型ヒューマギア・イズ役の鶴嶋乃愛さんも、早いうちからご自身のキャラクターをつかまれていたようで、毎回の或人とイズのコミカルな掛け合いが作品の大きな魅力となっていきました。杉原監督からも、お2人の成長がうかがえるような出来事はありましたか。

『仮面ライダー 令和ザ・ファースト・ジェネレーション』のときから、文哉くんとは或人の人物像をどう表現すればいいか、こういった場面ではどんな演技をしたらいいか、よく話をしました。あの映画では、文哉くんと鶴嶋さんの2人に重要なウエイトを置いていたこともあり、テレビ放送回を担当していない期間も、毎日のようにずっと顔を合わせていました。なので、久しぶりに会って「おっ、上達したな」という印象ではなく、日に日に上手くなっていくのを見ていた感じです。

――第21、22話はZAIAエンタープライズの天津垓(演:桜木那智)と或人との「お仕事5番勝負」の3回戦「裁判」対決が行われたエピソードでした。これには「弁護士ビンゴ」役で南圭介さんがゲスト出演されましたね。

『宇宙戦隊キュウレンジャー』で、南圭介さん演じる鳳ツルギ(ホウオウソルジャー)の初登場回を演出したのは僕なんです。その時にお芝居についていろいろ話をしていたこともあり、裁判対決の回ではもう任せっきりというか、こちらから大まかなことを伝えたら、あとは好きにやってくださいと(笑)。南さんも楽しんで演じてもらえたと思います。

――そして杉原監督が次に手がけられたのが、お仕事5番勝負の最終戦となる「選挙」対決の第28、29話ですね。5番勝負ですが、飛電インテリジェンス=或人側のヒューマギアが善戦するものの、ZAIA側が卑劣な手を使ってくるのでなかなかスカッと勝利することができず、視聴者の方々もわりとモヤモヤすることが多かったと思います。

ラッパーのMCチェケラ役で副島淳くんに出てもらった回ですね。このあたりのエピソードでは、視聴者の方々の天津垓に対する"憎しみ"が募ってきて、観てるだけで辛いという声をよく聞きました。このエピソードで飛電インテリジェンスがZAIAに負けちゃうんですけど、後のエピソードで或人がふたたび「社長」であることを自覚する場面につながっていくので、この敗北は大事だったと思っています。"勝負に負けた"ときに或人が何を思い、何を学ぶのか……次につながるような負け方であればいい、という話を文哉くんとよくしていました。

●なくなった6話分のストーリー
――仮面ライダーバルカン/不破諫役の岡田龍太郎さん、仮面ライダーバルキリー/刃唯阿役の井桁弘恵さんも、役の立ち位置が進行と共に変化しながらも、決してブレずに芯を貫き通していたように思えます。お2人についての印象はいかがでしたか。

岡田くんは彼なりに何かしら演技について考えていることがあるようで、それを現場に持ってきてくれて「じゃあそれでいこう」みたいに打ち合わせをすることが多くありましたね。

井桁さんの演じる刃は最初、「ヒューマギアは道具だ」みたいに言っていたんだけど、天津社長から自分が道具のように使われていたと改めて気づいたことで、自分の存在意義について苦悩するシーンが多くなっていきました。井桁さん自身もどう演じたらいいのか、この場面にどうして自分がいるんだろう……と悩んでいて、現場で相談されたこともありました。あのころは、不破や刃を道具のように扱う天津垓がどれだけ"悪い"奴なのか、という部分を視聴者に見せつけるため、刃に辛い思いをさせているんだと説明しました。

――新型コロナウイルス感染拡大にともなう「緊急事態宣言」での自粛期間があり、『ゼロワン』を含むすべてのテレビドラマ、映画の撮影が一時的にできなくなった影響で、5月17日から6月21日(第35.5話)までの6週間は「総集編」的エピソードでつなぐことを余儀なくされました。総集編そのものは各回創意工夫に満ちた内容で非常に面白かったのですが、ストーリーの進行がさまたげられたのは、スタッフさんたちにとって厳しいものだったと思われます。

確かに、6話ぶんがなくなるというのは1年間のストーリーを描く上で、本当に大変なことでした。プロデューサーの大森敬仁さんも脚本の高橋悠也さんもかなり悩まれたのではないでしょうか。しかし、田崎竜太監督(※田崎監督の「崎」の正式表記は立つ崎)と一緒に入った最終4話(田崎監督は第42、43話、杉原監督は第44、45話を演出)では、当初の構想どおりのストーリーを一気に突っ走ったので、もしかしたら"コロナ禍"がなければあそこに至るまでのエピソードを6回分かけて、積み重ねていけたのかもしれませんね。

――最終回に至るまでの4本のエピソードで、まず衝撃的だったのは田崎監督の第42話において、イズが滅の攻撃を受けて"命を失う"ことでした。それをきっかけに、或人から今までの陽気な笑顔が失われていきます。最終回にもつながるお話なのであえて杉原監督にお尋ねしますが、人気キャラに成長したイズを"死なせて"しまうというのはかなり思い切った決断だったのではないでしょうか。

個人的には1年もの間ずっとかわいがってきたキャラですから、田崎組と合同でホン(脚本)打ち合わせをしたとき「ああっ、死んじゃうんだ!?」という動揺がありました。

――『ゼロワン』の最終展開は暗く重々しいドラマが続きますが、魅力的な各キャラクターそれぞれがどのような結末を迎えるのかが気になりすぎて、日曜の朝からかなり緊張感をもってテレビを観ていた方も多かったと思います。

確かに。次の『魔進戦隊キラメイジャー』が底抜けに明るいムードでやっていますから、最終回近くの『ゼロワン』との温度差がすごいことになっていたかもしれません(笑)。それだけ『ゼロワン』に興味を持ってくださり、キャラクターの行く末を心配してくれた方がたくさんいらっしゃったのは、本当にありがたかったですね。

●或人VS滅、決闘の舞台裏
――最終回で見られた或人と滅の"決闘"シーンは、テレビを観ながら言葉を失うほど、2人の感情のぶつけあいが激しかったですね。あのシーンを撮られたときの雰囲気はどんな感じだったのでしょう。

或人と滅の最後の対決シーンは最終回のキモだったので、撮影に入る前も入った後も、文哉くんと変身後の縄田(雄哉)くん、そして滅の砂川(脩弥)くん、変身後の高岩(成二)さんと込みで、現場でお昼ご飯を食べながらよく話をしました。シーンを追って、ここの気持ちはどうなんだ、という部分まで細かく決めて、最後のカットに持っていくまでにどういう気持ちを乗せていくか、じっくりと話し合ったんです。そこまでしっかりした打ち合わせがあったからこそ、僕としてはスムーズに、或人、滅の感情の起伏を見せられたかな、と思っています。

あの対決のくだりは、文哉くんから「気持ちが切れないように、ラストカットまでぶっとおしで撮影してほしい」と言われて、殴り合いながらセリフを言うとか、かなり激しい芝居があるのに、2人とも息も絶え絶えになりながら、感情をむき出しにして演じてもらいました。もうお互い、涙は出るわ鼻水は出るわ……。その結果、どこを切り取っても"使える"カットばかりになり、ありがたかったです。感受性豊かな2人が激しい感情をむき出しにしてくれたからこそ、迫力のあるアクションシーンが作れました。

――最終回のラストは、復元されたイズに或人が決めゼリフの「アルトじゃ~~ないと!」をラーニングさせる……といったものでしたが、あのシーンは高橋さんと鶴嶋さんによるアドリブ演技を長回しで撮っていらっしゃったとうかがいました。お2人の最後のカットを撮られたときの、杉原監督の思いを聞かせてくださいますか。

1年間、よく頑張ってきたなあとしみじみと思いました。彼らは早い段階から、自分たちの役柄を理解して、独自に芝居を作ることができると思っていましたから、しっかりしたものを最後に見せてもらったという実感がありました。これからは「仮面ライダー」を卒業して、別の世界へと旅立って活躍していくでしょう。でもここまで育てたのに、別の人の手に渡ってしまうのは残念というか、一抹の寂しさがありますね(笑)。

――『ゼロワン』は或人、イズをはじめ不破、刃、天津社長、滅亡迅雷.netの4人(滅、亡、迅、雷)など、キャラクターそれぞれの動きが魅力的で、多くのファンの心をつかみました。メイン監督を務めた『ルパパト』でもキャラクターの魅力が際立っていましたが、杉原監督が各キャラクターを演出する上で、特に気をつけていることとは?

どんな役柄に関しても、一番大きな道筋を役者に説明していくようにはしていますね。文哉くんに対しては、最初に「或人はピエロなんだよ」と話しました。いつもニコニコしていて周りを楽しませようとしているけど、自分が悲しいときにはその気持ちを顔に出さない。そういう人でいてください、って……。他の出演者にも、君はこういう人なんだ。だから最後まで、そういう部分を貫いていたらいいねと、ひとりひとりにイメージしやすい言葉で説明しています。そうすると、みんなは自分の役について自分なりに考え始めてくれるんです。

『ルパパト』のときも、役者はみんな僕たちスタッフと真剣に話してくれるので、どんどんアドバイス的なことをこちらから発信したりしていました。役者ひとりひとりが自分の役に真摯に向き合ってくれたからこそ、キャラクターが魅力的になっていったんじゃないかと思っています。

――役者さんを演出していて「ノッてきたな」とはっきりわかった瞬間などはありましたか。

ありますね! ひとつのシーンを撮っているとき、急に"ハネ"たりするときがあるんです。『仮面ライダー 令和ザ・ファースト・ジェネレーション』のラストシーンなんて、まさにその瞬間でしたね。僕らがまったく思ってもみない、とんでもなく良い表情が見られたとき「あ、こいつら"来た"な!!」って思いました(笑)。自分たちの役を理解して芝居をしているから、僕が思っている以上のもので返してくれたりする。そういうのを見ると"ハネた!"と感じます。

――杉原監督の演出についてお尋ねします。変身シーンやキャラクターアクションのシーンではエフェクト満載、カメラアングル自由自在と派手なビジュアルで攻められるのですが、そうでない人間同士の会話シーンや、前回映画におけるレジスタンス兵士の戦闘シーンなどでは極めて現実的な、リアリティを重んじる画面作りに努めているように思えます。ああいったリアル演出は意識的に入れ込まれているのでしょうか。

僕が単純にリアル路線が好き、というのが大きな理由です(笑)。人間が変身すること自体が"ファンタジー"寄りですから、あまり現実離れな描写をしすぎても違うかな、と思いました。『ゼロワン』はAIをテーマにした"リアル"寄りの設定なので、すべてがファンタジックになってしまわないよう、リアルっぽい部分をとことん描写していけたらいいなと思いつつ演出していました。一方で、ゼロワンに変身してからは敵との戦いをダイナミックに、今までの仮面ライダーシリーズで見たことのないような画面作りをしてみたいと思って取り組んでいました。

――『ゼロワン』全体を通じて、特にここはうまく行ったと思えるビジュアルを挙げるとすれば、どのシーンになりますか。

第1、2話のアクションシーンですね。第1話は作品世界に引き込めるかどうかの"つかみ"の部分なので、思いっきり楽しい画面作りにしてみようと意気込みました。人間の芝居パートはリアル寄りにして、変身後のアクションに入ったら、できるだけアニメ的な表現を入れ込みつつ、どう"本物"っぽく見えるかを追求した感じです。

第2話では、2人のライダーの戦いを同時進行で見せながら、最後に2人が出会うのがアクションの流れです。今まであまりなかった、挑戦的なアクションシーンを作るべく、アクション監督の渡辺淳さんと一緒に知恵を絞って考えました。ゼロワンのキックも、ジャンプして一発キックして敵が爆発して……で終わるのではなく、3発ほど連続でキックするまでがひとつのライダーキック、コンボ技のように見せられたらいいなと思って、淳さんと相談しながら作っていきました。

――「ライジングインパクト」をはじめとするゼロワン(や他のライダー)の決め技の文字が、画面上にデカデカと出てくる演出にも凄くインパクトを受けました。

あれは完全に僕の趣味ですね。子どものころ見ていたアクションアニメ、たとえば『北斗の拳』(1984年)だと「北斗百烈拳」とか、画面にテロップがちゃんと出るじゃないですか(笑)。ああいうのを見てきた影響が強いのと、戦いの中にああいうカットをはさみこむことで、異質なテンポに持っていけたらいいな、と思って試みました。

第1話の印象がすごくよくて、他の監督も同じような文字演出を踏襲してくださったこともあり、やってよかったと思いましたね。仮面ライダーサウザーの必殺技には「(C)ZAIAエンタープライズ」って小さく入ったりして(笑)。合成チームの方々が楽しんで、いろいろ凝ってくれたからできたことなんです。

『ゼロワン』に関しては、今までの仮面ライダーシリーズでやっていないことを、どれだけ盛り込めるか、というのが勝負でした。令和一発目のライダーを強く意識して、特にビジュアル面のアイデアを一生懸命出しながら、画にしていきました。

●映画では"イズの今後"にも向き合う
――例年なら「夏の劇場版」が8月に公開されるはずでしたが、これも新型コロナの影響で撮影が延期となり、仕切り直しで12月公開に向けて製作中だそうですね。

そうなんです。夏の映画としてテレビシリーズの終盤と同時進行で企画が進んでいて、さあ撮影するぞ!というくらいのタイミングで"自粛要請期間"に突入してしまったんです。テレビの最終展開と共に、映画を撮る気まんまんでしたから、あのときはちょっと肩透かしを食らった感じでした。

公開が延期になったことによって、夏映画のために作った台本を、けっこう各部分にわたって書き直しました。もっとも大きな修整は、作品の時系列です。最初の台本はまだテレビシリーズが完結していない時期だったのに対し、今回の映画では最終回のあと、3か月が過ぎたという設定になっています。

――テレビシリーズ最終回で、謎めいた登場をした伊藤英明さん演じるエス/仮面ライダーエデンがどういう行動を取るのか、にも期待が集まっていますね。

伊藤さんはすごくカッコいい役柄で出ていますので、ご期待ください。アズ(演:鶴嶋乃愛2役)も衣装を変えて心機一転で活躍します。

――アズといえば、あの「髪の長いイズ」というべきアズのキャラクターは、杉原監督が演出した『ゼロワン』のオープニング映像(第2話より)に出てくる "謎"の存在でしたが、5月17日放送の「プレジデント・スペシャルPART.01」から、まさかの実体化を果たしました。そもそもあのオープニングでのアズはどのようにして生まれたのですか。

オープニングで、或人が大勢のヒューマギアから囲まれるというビジュアルがありましたが、あれはいくつもある選択肢をミスった場合の未来で"おこりうる世界線"といったイメージだったんです。どこかでボタンをかけちがえたら、ああいう世界にもなるんじゃないか、というイメージ。オープニングを撮るとき、大森さんに「こういうのを出しますけど、いいですか」と聞いたら「いいですよ」と言われて「ああ、いいんだ!!」と思いながら出してみました(笑)。その後、テレビ劇中にもアズとして出てきたのには驚きましたね。

――今度の劇場版は『ゼロワン』テレビシリーズのムードを受け継いでいるでしょうか、それとも映画として独立したストーリーになりますか?

僕はテレビシリーズの"後日談"というイメージで作っています。最終回を観た方がいちばん心配しているであろう"イズの今後"にもしっかり向き合う台本です。新しいイズはあのときのイズではないので、彼女がこれからどういう成長をしていくのか、そして過去のイズはどうなっちゃうのかというところも、少し描かれているかもしれません。

――映画ならではの見どころは、どんなところですか。

今までにないアクションの"見せ方"に挑んでいます。ご覧になったら、ちょっと客席が"ザワッ"とするんじゃないかっていうくらいの、挑戦的なビジュアルを楽しんでほしいです。ロケ地になかなか行くことのできないこのご時世で、スタッフが頑張ってすごくいい場所を探してくれました。とんでもないロケ地で撮影していますから、本当に楽しみにしてください。こんなところで撮っていいのかなって場所が、ふつうに出てきます。コロナ禍以前でも、撮影できないんじゃないの?って言われそうなところが、何か所も出てきます。「映画」の規模だからできる、ロケ撮影の成果にご期待ください。

――映画ならではの、或人の「一発ギャグ」は出ますか?

出ます! 或人のギャグは"お約束"なので、出ると宣言しておいても構わないでしょう(笑)。ただ、爆笑になるか、不発になるかはわかりません。映画ならではのギャグが飛び出しますので、こちらもどうぞお楽しみに(笑)!

――最後に、『仮面ライダーゼロワン』の主役で1年間がんばられた高橋文哉さんの"ここがスゴイ"という部分を聞かせてください。

現場で僕たち監督が「こういう芝居をやってもらいたい」と説明するとすぐに理解して、100を求めているとさらに"上"を返してくれるところです。こちらもどんどん要求を高くしているんですが、それにもちゃんと食いついて、いい結果を残してくれるんです。文哉くんと仕事をしていて、本当に面白かったですね。彼はこの1年間でもっとも伸びたのではないでしょうか。芝居が出来るだけじゃなくて、ものすごく普段の気遣いができる男なんです。『ゼロワン』キャスト陣の先頭に立っているという"自覚"と"責任感"がものすごくあって、こいつが主役でよかったな……と心の底から思える役者でした。

秋田英夫

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