「紀州のドン・ファン」元妻が入手した覚せい剤ルート 新たに詐欺容疑で刑事告訴も判明

「紀州のドン・ファン」元妻が入手した覚せい剤ルート 新たに詐欺容疑で刑事告訴も判明

  • AERA dot.
  • 更新日:2021/05/02
No image

和歌山県警に逮捕された須藤早貴容疑者(C)朝日新聞社

2018年5月、「紀州のドン・ファン」と呼ばれた和歌山県田辺市の資産家、野崎幸助さん(当時77)の怪死事件で逮捕された元妻の須藤早貴容疑者(25)。事件から3年近くを経て凶器となった覚せい剤の入手ルートが明らかになりつつある。

【写真特集】須藤容疑者は野崎さんと愛犬、イブちゃんも手にかけたのか…

「和歌山県警は野崎さん急死後、全国の警察に宛て、野崎さんの事件で使用された覚せい剤に関与がありそうな人物が逮捕されたら、何でもいいから情報提供してほしい、という依頼をしていました」(捜査関係者)

約2年半前に覚せい剤関連事件で、近畿地方のある警察で逮捕された元密売人がこう話す。

「覚せい剤売買の疑いで逮捕された時、取り調べ中に『和歌山のことは知らないか』『野崎さんの絡みで、妻に覚せい剤を売ったりしていないか? その売買にかかわった密売人は知らないか』と何度も聞かれました。私の事件は処分保留で釈放となったのですが、その後も何度か警察から電話で同じ内容のことを聞かれました。一人、噂になっていた密売人の情報を得たので、警察に伝えました」

こうした捜査の成果もあり、和歌山県警は須藤容疑者の覚せい剤の入手経路や日時を特定することができたという。

須藤容疑者は野崎さん急死の直後、覚せい剤の密売人とやり取りしたSNSを削除。インターネットで覚せい剤について検索した履歴も消していたことが、和歌山県警の捜査でわかっている。

「事件後すぐに須藤容疑者の携帯電話を任意提出してもらい、調べていた。そこから、密売人や検索履歴の削除がわかった。削除していた検索履歴には、病死や事故死に見せかけるなどという検索用語も含まれていた。その当時から犯行は須藤容疑者でほぼ間違いないとみていた。しかし、密室の事件で証拠がない。捜査を進め、須藤容疑者が覚せい剤を密売人から買ったことが特定できたので逮捕となった」(前出の捜査関係者)

野崎さんが急死した同じ時期、和歌山県警は携帯電話の検索履歴が重要証拠となる事件の捜査を手掛けていた。

2017年7月、和歌山県白浜町の海水浴場で水難事故を装い、妻の野田志帆さん(当時28)を溺死させたとしたとして和歌山県警は18年4月に夫の野田孝史被告(29)を逮捕。AERAdot.で既報のように3月に野田被告へ懲役19年の判決が言い渡された。

和歌山地裁は野田被告が<シュノーケリング死亡事故><事故死 保険金><完全犯罪 海水浴>などの検索を繰り返していたことを、実刑判決の決め手の一つと認定していた。

野崎さんの事件との共通点は、目撃者がいないこと、携帯電話の検索内容が犯行と酷似していることがあげられる。

「確かに野田被告の殺人事件は、須藤容疑者の逮捕の参考になった」(別の捜査関係者)

逮捕前から「私は疑われているが、やってない、私は知らない」と一貫して容疑を否認していた須藤容疑者。野崎さんの会社の元従業員はこう証言する。

「やってないと言いつつ(野崎)社長の預金がいくらあるかとか、所有する貴金属類はいくらで売れるかなど、怪しい言動もあった。須藤容疑者がやったのかと思いつつ、社長に覚せい剤を盛って殺したら、そんな話を人前でできないのではないかとも思った。須藤容疑者はどこか抜けた感じがあった。AVに出演していたことも社内でみんな知っていた。須藤容疑者が逮捕されて、やっぱりあの女の仕業と思う反面、本当に一人で考えて犯行に及んだのかとも疑問を感じます。誰かに入れ知恵されたのではないでしょうか」

だが、和歌山県警は今のところ、須藤容疑者の単独犯で協力者はいないとしている。

須藤容疑者は怪死事件後、野崎さんが経営していた2つの会社の社長に就任し、会社の口座から約3800万円を現金で引き出していた。この件で昨年6月、野崎さんの会社の元監査役が須藤容疑者を詐欺容疑で刑事告発していたことも新たにわかった。

覚せい剤の入手ルート、携帯電話の履歴の捜査、野崎さんの会社資金の流用問題と外堀が確実に埋められつつある須藤容疑者。

野崎さんは生前、自身の遺産、約13億5千万円を地元の田辺市に寄付する意向を示していた。だが、妻だった須藤容疑者は、その2分の1にあたる約6億7千万円を受け取る権利があると主張していた。

田辺市が作成した「故野崎幸助氏による遺贈に関する報告書」という内部文書に野崎さんが残した有価証券の中に「芝浦機械」「三菱地所」「三菱UFJフィナンシャル・グループ」の3銘柄が含まれるという記載があった。3つの銘柄とも今年になって株価は上昇。野崎さんは株式以外にも投資信託なども保有し、金融商品の評価が上がれば、受け取れる遺産が増える可能性もある。

しかし、須藤容疑者が野崎さんを殺害したと確定すれば、相続する権利を失うこととなる。和歌山県警は、今も須藤容疑者の認否を明かしていない。

「白浜の保険金殺人でも自供は得られなかったが、検索履歴がポイントとなり、裁判で実刑判決を勝ち取れた。こちらは3年近くも捜査をしており、須藤容疑者の自供がなくても起訴できる材料を十分に揃えて逮捕している。取り調べで材料を出して行けば、須藤容疑者はいつまでも否認はできないと思う」(前出の捜査関係者)

事件の全容が解明される日は来るのか。(今西憲之)

今西憲之

この記事をお届けした
グノシーの最新ニュース情報を、

でも最新ニュース情報をお届けしています。

外部リンク

  • このエントリーをはてなブックマークに追加