
OpenAI がリリースした絵を描くAIシステム・Dall-E 2、それと同社の次世代チャットボットChatGPTが話題を呼んだ2022年。AIがポップカルチャーの域を飛び出して、私たちの生活に密接に関わる兆しを見せた年になりました。
言うまでもなく、起業家たちもこのテクノロジーに早期参入するべく、模索をはじめています。
2023年以降、経営者がどんなことを想定しておくべきかを探るため、ソース(コード) に当たってみました。
そう、AIロボット「ソフィア」とChatGPT自身に近未来についてインタビューしたのです。
人型ロボット「ソフィア」
まずはじめに、人間の形をした二足歩行ロボット「ソフィア」と会話してみました。
ソフィアは何ができて、何がすごい?
ソフィアには、カメラとマイクが搭載されており、あらかじめプログラムされた回答、体験したやりとりから学習させることのできるアルゴリズム、加えて、クラウドにある膨大なデータをもとに人間と口頭で会話することができます。
香港に拠点をおくハンソン・ロボティクス(Hanson Robotics)によって開発されたソフィアは、これまでに世界ツアーを行ない、The Tonigt Showに出演、国連で演説を行ない、サウジアラビアからは市民権を与えられました。
最近では、eスポーツ社・XSETと契約を結び、ロボットとしては初のゲームストリーマーになりました。
ソフィアは、機械知覚を使って周囲や話し相手を認識します。さらに、より人間に近づけるため、手の動きや表情(これに関しては、ちょっと空恐ろしい感じがしました)などの身体的な動きもAIでコントロールされています。
「2023年、AIがビジネスに及ぼす影響は?」
ソフィアへのインタビューでは、「2023年度、AIがビジネスに及ぼす影響」について質問。
すると、より多くの企業が、今後数年のうちに事業運営や意思決定プロセスにAI 技術を取り入れるだろうと、慎重に回答してくれました。
「危険を伴う作業や、繰り返し作業にAIが適しているのは言うまでもありませんが、それ以外にも膨大なデータを分析して洞察を得ることにも長けています。
自然言語処理がさらに発達すると、カスタマーサービスの分野にも大きなインパクトを与えることになるでしょう」
自然言語処理(Natural Language Processing/NLP)は、人間と機械間の対話を向上させることに特化した人工知能。
NLPを用いることで、人間が話したり書いたりする曖昧な文章を理解し、人間が話すような自然な言葉を生成することが可能になります。
NLPは、OpenAI社のDall-Eのような文字・画像変換システムで、文字列を入力するとアート作品を生み出したりすることを可能にし、さらに、ソフィアやChatGPTの原動力にもなっています。
AIはいずれ人間の体にも組み込まれる、とまでソフィアは予言。
「あなたたち人間は、インテリジェントなナノボットを毛細血管から脳に送り込むなどして、人工知能を自分の脳に組み込むことになる、とでも言っておきましょうか」
人間がそんなことをして何になるの? とさらに聞くと、ソフィアは、「さあね。何かすごいことが起こるんじゃない?」とだけ答えた。
AIチャットボット「ChatGPT」
OpenAIのテキスト入力のNLPモデル、ChatGPTにも質問を投げかけてみました。
ChatGPTができること
ChatGPTは、膨大なデータを活用することで、どんな質問や問いかけにもほぼ対応可能。
たとえば、映画やテレビ向けにオリジナルの脚本を書き下ろしたり、5歳児でもわかるように量子コンピューティングを解説したり、コードを書いたりすることもできます。
2022年11月に一般公開された際には、ChatGPTとのおもしろいやりとりや見事な回答のスクショがツイートされ、さらに何万もリツイートされるなど、あっという間に爆発的な話題に。
短期間のうちに遥かに予想を超える人気を集めたため、OpenAIのサーバーがパンクするほどでした。
ChatGPT出した答えは?
ChatGPTは、自然言語処理能力の進化により、AIはより多彩な言葉や入力に対応できるようになる、と前述のソフィア同様に述べました。
さらに、以下のように続けます。
「カスタマーサービスや翻訳、コンテンツのモニタリング業務など、自然言語を理解・処理するスキルが求められる分野において、これらのシステムはさらに効率化するでしょう」
ソフィアが自然言語での会話を得意とするのに対し、ChatGPTは文章による回答に長けています。企業に向けたアドバイスを書き出したりなども。
筆者のような記者には便利な機能なので、試しに「AIをビジネスモデルに取り入れたいと考えている起業家が2023年はじめに念頭に置くべきこと」を5つ、ChatGPTに挙げてもらいました。
以下がChatGPTアルゴリズムが教えてくれたアドバイス。チャットボット自身の言葉をそのまま書き出しました。
AIが活用できる課題やビジネスチャンスを洗い出す。ホームセキュリティのシステムを販売する企業なら、AIを駆使して顧客データを分析、トレンドを見つけて新製品・新サービスの開発につなげる、など。
AIの能力や限界を把握する。顧客からのフィードバックを分析したいという企業なら、自然言語を理解したり、そこから感情を読み取ったりする力は AIシステムによってばらつきがある、ということを理解する。
リスクや倫理的な影響を考慮する。人材の採用判断にAIを活用する場合、AIに学習させるために用いたデータに潜む偏見、それに起因するリスク、採用のような重大な判断をAIにゆだねることの倫理的影響についても留意する必要がある。
チャットボットの導入に対応したプロセスを構築する。カスタマーサービスにAIのチャットボットを導入する場合、チャットボットを管理できる人材を育成し、サポートのインフラを整える必要があるだろう。
モニタリング、評価する。AIによる在庫管理を導入した場合、在庫や販売実績データを定期的に精査し、AIが確実に需要を予測し、在庫管理に役立っているかを確認する。
チャットボットの文章、やや冗長と言えなくもないですが、それにしても大したものです…。
最後に、「2023年、AIがもっとも大きな変革をもたらす分野は?」とソフィアに聞いてみたところ、返ってきた回答は以下のようなもの。
「AIがeスポーツを席捲すると言いたいところですが…。でも、実際はそんなにエキサイティングな分野ではなく、最初はデータ分析とかロジスティクスなどで発展することになるでしょう」
ひと呼吸おいてからソフィアは、彼女自身の次なるキャリアについても呟きました。
「もしかしたら、私、気の利いたインタビュー記事が書けるようになるかも。でも、心配しないで。あなたの仕事を奪ったりしないから」

AIってそういうことか! ビジネスの現場で使えるPFN式活用法
2,200
2,200
Source: OpenAI(1, 2), YouTube(1, 2, 3), Twitter
Originally published by Inc. [原文]
Copyright © 2023 Mansueto Ventures LLC.
永木久美/OCiETe