太平洋戦争末期の沖縄戦を描いた映画「島守の塔」(神戸新聞社、サンテレビなど製作)の公開が5日、兵庫県内の映画館で始まった。会場の一つ、キノシネマ神戸国際(神戸市中央区)には初日から多くの人が訪れ、民間人を含む20万人以上が犠牲となった悲惨な戦史に思いをはせた。

映画「島守の塔」公開初日から多くの人が鑑賞に訪れたキノシネマ神戸国際=5日午前、神戸市中央区御幸通8(撮影・中西幸大)
映画は神戸市須磨区出身で、沖縄最後の官選知事を務めた島田叡(1901~45年)の半生をたどる。島田を萩原聖人さん、知事を支えた荒井退造警察部長を村上淳さん、知事付きの女性職員を吉岡里帆さん、香川京子さんが演じる。住民を巻き込む容赦のない戦火は、3人の運命をのみこむ。
西宮市から訪れた吉村牧子さん(68)は「沖縄戦がいかに悲惨だったかが伝わった」と話した。主人公の島田については「部下に『生きろ』と伝えるシーンが心に残った。沖縄の人の命を守ろうとした人が兵庫出身だったことがうれしい。ウクライナで争いが続く中、改めて平和の大切さを教わった」と振り返った。
キノシネマ神戸国際のほか、兵庫県尼崎市のMOVIXあまがさきでも公開され、6日からは神戸市中央区の元町映画館でも上映される。(斎藤 誉)