和製ウォーレン・バフェット:竹田和平氏が晩年「ROE」重視の投資にシフトした理由

  • 財経新聞
  • 更新日:2022/05/14

私はかつて東洋経済新報社の会社四季報の外部ライターをしていた。当時の四季報編集長の紹介で同様の外部ライターと一緒に、『日本のウォーレン・バフェット』と称された故竹田和平氏の話を聞く機会を得た。2000年前半だったと記憶している。

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1952年に竹田製菓を厳父と共同で設立。私自身も何度か食べた“タマゴボーロ”の大量生産化で、資産家の道筋を開いた。70年には札幌に日本初のレジャーセンターを、86年には愛知県犬山市にテーマパークを開設し文字通り事業家/資産家の道を歩く一方で、株式投資でも大成功を収めた竹田氏は明るいおじさんだった。

当時で既に100銘柄近くで上位10位の大株主に名を連ね、保有時価総額は100億円を悠に超え年間の配当金総額で1億円を超えていた。そんな和製バフェット氏から、「私の株式投資術」を聞いた。簡潔に話してくれた。「秘策」といったものは感じられなかった。「シンプルな方法だな」と実感したことを記憶している。こう指折り数える風に語ってくれた。

『割安銘柄を買う』: PERなら「15倍前後が割安とされている」と通り相場の捉え方でなく、業界平均と比べて低いものを選択する。株式投資でも事業でも同じ。誰か他人の言うことを聞いてたまたま成功してしまうのは、むしろ不幸の始まり。次は必ず失敗するものだ。PBR1倍以下は解散時の純資産より株価が低いわけだから、かっこうの投資基準だと言える。

『自己資本比率』: 自己資本比率が高い会社は、新規事業に打って出るなどチャレンジが出来る。低いと、親和性の高い分野にも進出が容易でなくなり成長階段を昇っていく機会が乏しくなる。

『四季報』: 四季報には「これだけあれば十分」な企業情報が詰め込まれている。年に4回改訂される。改訂版が出る度に、前号を脇に「四季報読み」をしている。

『売上高』: 利益が増えていく大前提は、売上高の伸びであるべき。知り合いの証券会社は改訂版が出る度に、「業界別増収率ランキング」を作り届けてくれる。大いに重宝している。

「シンプル イズ ビューティフルか・・・」と受け止めた。ただ話を聞いた折にSPK(自動車・産業機械向け部材商社)といった、いまではプライム市場で株価人気も伴う複数の企業を中小・中堅企業段階で買ったという例には驚かされた。

ところで私は最近になり竹田氏が晩年、保有株の大幅な見直しをしたことを知った。知人から2014年9月16日付けの「ブルームバーグ」を見せつけられた。『竹田和平氏保有株絞る、ROE重視で大型』と題する記事である。ブルームバーグの取材に竹田氏は、「3年前から保有株数を、中小型株中心に8割以上減らした。更に減らし最終的には大型株6-7銘柄に絞り込む」としている。

竹田氏は16年7月に他界している。「何故か」を直接確かめるすべはない。ただブルームバーグに「利回りの高さ。自社株買いなどの実施でROE重視の企業に照準を合わせ更に絞り込む」としている。

ROE(自己資本利益率)。この指標がマーケットで企業の経営力指標として重用され始めたのは、ここ数年余。竹田氏が保有株企業数の絞り込みを始めたのは10年余り前。個人的には11年度の「金融・証券税制改正」が契機だったとみる。配当所得の特例課税対象にならない大口株主の要件が、「株式総数5%以上から3%以上に」引き下げられている。が、ご本人に確認のしようがない。ただROEを投資尺度に持ち込んだ先駆者の慧眼には、ひれ伏す以外にない。

竹田氏がROE軸足に転じた分けを、ご存知の方にお教えを乞う。

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