なぜ山本一太群馬県知事は「ランキング44位」に激怒したのか 調査会社は「理解できません」と反論

なぜ山本一太群馬県知事は「ランキング44位」に激怒したのか 調査会社は「理解できません」と反論

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  • 更新日:2021/10/14
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山本一太群馬県知事(C)朝日新聞社

民間シンクタンクが公表した都道府県魅力度ランキングで、群馬県が44位(前年40位)に沈んだことに、法的措置をちらつかせた山本一太知事の姿勢が議論を呼んでいる。群馬県民からは「県民に失礼だ」と知事に賛同する意見もあるが、「器が小さい」「相手にしなければいい」などと冷ややかな声も出ている。山本知事はなぜそんなに怒っているのか。それに対して調査会社はどう感じているのか。県と業者の双方に話を聞いた。

【2021年都道府県魅力度ランキングの全順位はこちら】*  *  *
ランキングは民間シンクタンク「ブランド総合研究所」(東京)が毎年行っている「地域ブランド調査」に基づくもので、今年で16回目。毎年、多くのメディアがこの結果を報じ、風物詩のようになっている。

群馬県は昨年の40位からダウンして、今年は44位だった。これに対して、山本知事は12日の会見で「根拠の不明確なランキングで県民の誇りを低下させ、経済的損失につながる」などと怒りをにじませ、法的措置も検討していると明らかにした。

以前から不満を示していた山本知事だが、なぜそこまで怒っているのか。

県の担当者に聞くと、「県としては、ランキングには問題点が三つあると考えています」と知事の意図を代弁した。

一つ目は、「どの程度、魅力を感じますか」という、たった一つの質問しかしていないという点だ。

同ランキングは、「以下の自治体について、どの程度魅力を感じますか?」という質問について、「とても魅力的」を100点、「やや魅力的」を50点、「どちらでもない」、「あまり魅力を感じない」、「全く魅力的でない」を0点としてカウント。都道府県ごとに100点満点に換算してランキング化しているという。

群馬県はこの調査方法に対して疑問を持っているようだ。

「一つだけの、しかも具体性がなくイメージを問うような質問では、憧れの街や有名な観光地のある自治体が上位に来るのは当然だと思います。たった一つの質問の答えにすぎず、さまざまな角度から分析されたものではないのに、『魅力度』としてランキングを公表すること自体が問題だと思います」(担当者)

二つ目は、5段階の回答で集計している点だという。

「昨年のランキングを見ても、北海道など上位の自治体は明らかな点数の差がありますが、20位あたりからは点差が少ないんです。こういうアンケートは必ず誤差が生じますから、点差が大きい上位だけを公表するのはまだ良いとしても、点差が少ないその下の自治体を、細かく47位まで示す意味がどこにあるのでしょうか」(同)

今年の1位は北海道で73.4点、2位の京都は56.4点で17点差、5位の大阪府は42.0点で1位とは31.4点開いている。だが、下位30自治体は15点差以内、下位20自治体に限ってみれば10点差以内に収まっており、差は確かに小さい。

そして最後の問題点をこう説明した。

「三つ目は、結果に対する生データが示されていないという点です。なぜそういう結果になったのか、原因の部分が示されていないので、県としても何をどう評価されているかが分かりません。ランキングを参考にしようがないんです」(同)

これが、山本知事が激怒した理由のようだが、法的措置についてはあくまで検討段階で、具体的な手法や、実際に法的措置をとるかについても決まっていないという。

「多くのメディアに報じられているランキングですので、影響力はあります。怒っている県民の方がいることもあり、まずはランキングの実態を周知し、問題提起することが第一の目的だと考えています」(同)

県に寄せられた地元民の声やネットでは「群馬県民に失礼だ」と怒りの声がある一方で、「知事は器が小さい」「あんなランキングに意味はない」「法的措置までしなくても」という知事の姿勢への疑問の他、「これを機に県をアピールすれば良い」という前向きな声もある。

ランキングの順位に怒った首長は以前もいた。

昨年、初の最下位になった栃木県。県の関係者からランキングの信用性に懐疑的な見方があり、福田富一知事がブランド総合研究所をわざわざ訪問して、評価項目などの変更を求めた。その一方で最下位を逆手に取り「47(そこ)から始まる栃木県」と題し、ゆかりの著名人らを起用したPR作戦を展開した。

おととしまで7年連続の最下位だった茨城県も、同様の自虐戦略を取ったこともあったが、2019年は台風19号で県内に死者が出るなど被害を受けたさなかでのランキング発表だったため、大井川和彦知事が不快感をあらわにした。

今年はまた最下位に返り咲いたが、「(同社が)そういうシナリオを描いてくると思っていた。一番面白いから。最下位は痛くもかゆくもない」と、ランキングを相手にしない余裕をみせた。

今回、山本知事が法的措置までちらつかせたことについて、ランキングを発表した「ブランド総合研究所」はどう捉えているのか。同社の田中章雄社長は、「驚いています。まず、群馬県の魅力度の結果については、点数は前年の13.4点より今年は15.3点と上昇しています。ただし、他にさらに伸びが高い県が多かったことから、相対的な順位は残念ながら下がってしまいました。したがって、『結果が下がった』ではなく、『魅力度自体は高まっているが他にはもっと高まった県が多かった』というのが正しい結果となります」と、群馬県の魅力自体が低下したのではないと説明した。

さらに法的措置については、こう見解を示した。

「そもそも、われわれは調査を行い、その結果を発表しているだけです。調査結果の発表を押さえつけようという発言であれば、それは報道の自由に反することでもあり、世の中のすべての調査結果の公表、公開を妨害するということになるのではないでしょうか。まさか、そのような考えとは思えませんので、この発言の意図が理解できません」

はたして、本当に法的措置に踏み切るのか。振り上げたこぶしを下ろすのか。山本知事の対応が注目される。(AERA dot.編集部・國府田英之)

國府田英之

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