ルーマニアの珍百景?“ジプシー御殿”が建ち並ぶ「フエディン」

ルーマニアの珍百景?“ジプシー御殿”が建ち並ぶ「フエディン」

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  • 更新日:2020/10/16
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ルーマニアの珍百景?“ジプシー御殿”が建ち並ぶ「フエディン」

ルーマニアを旅していると、道中に豪華で派手な謎の建造物に出会うことがあります。通称「ジプシー御殿」!ルーマニアの少数民族であるロマの中でも、放浪型の「ガーボル・ジプシー」の家です。

フエディンはジプシー御殿が連立・密集していることで、外国メディアにも取り上げられる、知る人ぞ知る町です。傍から見てもロマの世界は、不思議と謎に満ちています。旅の醍醐味である「非日常の世界」がそこにあります。

誇り高きロマ「ガーボル・ジプシー」

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写真:小谷 雅緒

ルーマニアのロマ人口は、100万人とも200万人ともいわれています。正確に把握できないのは、身分証明書に民族記入欄がないためです。また、出自を隠すロマも多く、ルーマニア政府も公にはロマに無関心です。いずれにしても、ルーマニアはヨーロッパで最もロマが居住している国です。

一言にロマといっても、言語や文化によって、いくつかのグループに分類されます。一般的なロマは小・中規模の町村のはずれに集落を形成し、定住しています。母語は居住する国・地域の言語です。つまり、ルーマニアの場合はルーマニア語またはハンガリー系自治体に住むロマはハンガリー語が使用言語です。

写真は蚤の市で行商をするロマの女性たち。

写真:小谷 雅緒

しかし、ガーボル・ジプシーは違います。彼らはロマの中のロマ、ロマとしての伝統や習慣、血統を守り、今も放浪型生活をしています。そして、最も重要なことは、彼らはその辺のルーマニア人に比べ、はるかにお金持ちなのです!

放浪型といっても、現代的にいえば出稼ぎです。1989年以降、民主化して自由な移動が可能になり、西欧諸国に出稼ぎして、外貨を稼いだ彼らは、1990年代から成功者の証としてジプシー御殿を建てるようになりました。

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写真:小谷 雅緒

彼らの苗字はほとんどがガーボル(Gabor)、故にガーボル・ジプシーと呼ばれています。同族同士でしか結婚しないので、苗字の種類も増えません。

母語はロマ語ですが、出稼ぎ先の言葉も話せるので、最低でもバイリンガル、マルチリンガルも珍しくありません。外見の特徴もあり、男性は大きなつばの帽子に口ひげ、既婚女性は長い髪をお団子にしてスカーフを被り、延ばせば5~7メートルもあるプリーツスカートをぞろっとはいています。色彩感覚も独特です。

既婚といっても、15才くらいまでに結婚します。もちろん、法的にはずっと後に入籍します。
写真は蚤の市で談笑するロマの女性たち。

ジプシー御殿はどこにある?

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写真:小谷 雅緒

ガーボル・ジプシーはルーマニア全土に居住しているので、全国各地でジプシー御殿も存在します。しかし、フエディン(Huedin)ほどわかりやすい町はありません。人口9000人の町で、ロマが占める人口は5%程度ですが、幹線の国道沿い東側にずらりとあって目立ちます。

先述の通り、90年代から建てられるようになりますが、フエディンはクルージ=ナポカとオラデア(共に県庁所在地)の中間にあり、国道1号線はこの2都市をつなぐ幹線です。21世紀に入るころにはすっかり有名になってしまいました。

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写真:出典:INDEX(ハンガリーのポータルサイト)

フエディンには建築中も含めると、30軒程度あるでしょうか。
彼らはロマの伝統的職業でもある鋳掛屋や板金職人などの金属を扱う職人です。フエディンのガーボル・ジプシーたちは家族を伴い、イギリスやアイルランドへの出稼ぎに行き、外貨を稼いでいます。子供も英語ペラペラ、家の前には右ハンドルの車が止まっていることも。

彼らは夏にしか帰ってきません。つまり、ほとんど空き家なのです。また、建築途中の場合、留守の期間が長いため、長期間放ったらかしになっていることが多いです。主のいない派手な家が、農村地帯にいくつもあることは、シュールと言ってよいものか・・・。

まるで竜宮城!ジプシー御殿の特徴とは?

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写真:小谷 雅緒

ジプシー御殿は法律的に許可される高さ制限いっぱいに建てます。見た目のインパクトを重視するため、まずは上部を飾ることに重きを置き、下部は後回しになります。最終的に上部と比べ、かなり適当であることが多いです。

住むことよりも建てることに意義があるジプシー御殿。豪華な内装の家もあるようですが、たいてい外見とマッチしないチープなつくりであることが多いようです。

ジプシー御殿を見学する際の注意

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写真:小谷 雅緒

フエディンへのアクセスは、クルージ=ナポカからバスで、またはトランシルヴァニア地方の主要な町から鉄道でアクセスできますが、いずれも本数は多くありません。そして、駅には荷物預けはないので、立ち寄る際には注意を。

国道沿いには全国チェーンのスーパーやガソリンスタンドがあり、人と車の往来がある町です。家主はほとんどいないし、滅多なことは起こらないでしょうが、もしも家に、あるいは周囲に関係者と思しき人がいたら、写真を撮るのは控えましょう。

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写真:小谷 雅緒

フエディンのジプシー宮殿は有名になりすぎました。彼らは自分たちのことがメディアでおもしろおかしく紹介されていることを知っていて、好い気はしていません。彼らは彼らのポリシーでやっていることなので、そのような気持ちも理解できます。そして、他の住民が個性的というには奇抜すぎる建物の存在を、快く思っているわけがありません。

ロマを嫌う住民は多いし、ロマも自ら自治体に溶け込むことはありません。そもそもロマは、他のロマグループとすら交流を持つことは少なく、それが彼らの生き方なのです。

ルーマニア旅行のアクセントとして知識を持とう

ルーマニアだけに限らず、民族問題はとても複雑で、観光程度の訪問で簡単に踏み入るべき領域ではありません。しかし、正しい知識を持っていれば、見方や考え方も変わるはずですし、旅がもっと深いものになることでしょう。

それにしてもスゴイ・・・。竜宮城からインスパイアされたような、突拍子もないデザインです。実はジプシー御殿は、専門の建築業者がいるわけではなく、DIY以上プロ未満、時々プロの技術を持つ仲間内で建てるため、図面通りに完成できず、だんだんと当初と異なるものになってしまうそうです。

それにしたったスゴイ・・・。世界は広くて、いろいろな考え方の人がいるのですね。

2020年10月現在の情報です。最新の情報は公式サイトなどでご確認ください。

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