現金以外で支払う、キャッシュレス化が進んでいますが、子どもたちがお金の価値や使い方を身につけるには今も「現金での買い物」がためになっているようです。現金で学べることや、おすすめのおこづかいの渡し方など、取材しました。
鹿児島市のセンテラス天文館です。今月5日、たくさんの荷物を持った親子連れが集まりました。
開かれたのは「キッズフリマ」。商品を売るのも買うのも子どもだけのフリーマーケットです。現金でのリアルな売買を通して、お金や経済について学び、ものを大切にする心を育んでもらおうというものです。
お店を出すのは小学3年生から6年生まで。買い物できるのは小学生以下です。子どもの自主性にまかせ、保護者は外から見守ります。
「店の主」の子どもたちは出店料300円を支払い、大切にしてきたおもちゃ、本、服などを売り利益を目指します。一方、客の子どもたちはおこづかいを手に店を見比べながら、商品を選びます。
売買は現金のみ。店主は、合計金額やおつりを間違えないよう慎重に計算していました。
1時間のお店経営を終えた子どもたちは。
(小学6年生)「(途中までで)1700円くらい売れた。(Q.お金はどう使う?)貯金して将来のために使おうと思う」
将来、自立する子どもたち。生活するうえでお金の使い方はとても大切です。
子どもの頃に身につけてほしい金銭感覚について、親の思いは。
(親は)
「ものの価値がお金でちゃんと、子どもの頃から分かるのは大事」
「子ども(自身)がいくらのものにどれだけ使ったか分かるためには、現金でやりとりするのが大切と思う」
広く使われるようになったキャッシュレス決済。便利な支払い方法ですが、発達心理学の専門家は、小学生くらいの子どもには現金の方がお金の価値を感覚として理解しやすいと話します。
(鹿児島大学学術研究院発達心理学 島義弘准教授)
「リアルなものが子どもの中で大きな位置を占める。例えば、100円のものを(現金で)買えば自分の財布から100円が無くなる、代わりに(買った)そのものが自分の手元にくる。」
「電子マネーだと数字だけという形になる。100円がどのくらいの価値があるかということは、現金のほうが(感覚として)つかみやすい」
(記者)「ショッピングセンターにある駄菓子屋さんです。たくさんのお菓子があり子どもたちが夢中になって選んでいます」
安いものは十数円で買える駄菓子。子どもたちが次々とやってきます。
(買い物をした子どもの父親)「(買い物で)お金の重みや大切さなどを頭の中に認識していってくれるのかなと思うと、すごく貴重なお店」
(だがし夢や 吉満小百合さん)「(会計時に)予定の金額内に収まると喜んでくれる子が多い。その笑顔や楽しそうな姿を見るとうれしくなる」
子どもにとって楽しみなのが、おこづかいやお年玉。島准教授は、子どもがお金を持ちすぎないようにすることが大切とアドバイスします。
(島義弘准教授)
「お金が十分にあると、欲しいものは何でも買えるという感じになってしまう。ちょっと足りないくらいの金額だと、今持っているお金で何が買えるのかとか、『ふたつ欲しいものがあるけど、どっちもは買えない、それならどっちを選んだほうが幸せなのか』とか(子どもが考える)」
「親が口出しをしすぎると子どもは考えなくなる。(子ども)自由に使って、多少の失敗もあると思うが(おこづかいなどを)渡していければ」
支払い方法が多様化する中、子どもが日頃から現金で買い物をすることは、金銭感覚を養ううえで意義のあることだといえます。

子どもとお金 キャッシュレス時代の金銭感覚どう育てる
MBC南日本放送