安藤勝己の「3歳牝馬番付」。激戦のクラシックは「2強」で絶対か?

安藤勝己の「3歳牝馬番付」。激戦のクラシックは「2強」で絶対か?

  • Sportiva
  • 更新日:2021/04/07

3歳牝馬クラシック第1弾となるGI桜花賞(阪神・芝1600m)が4月11日に行なわれる。

今年は、2歳女王決定戦となるGI阪神ジュベナイルフィリーズ(12月13日/阪神・1600m)で勝ち負けを争った、1着ソダシ(牝3歳)、2着サトノレイナス(牝3歳)が有力視されて「2強」を形成。人気のうえでも抜けた存在となっている。

◆桜花賞の激戦ぶりがよくわかる「3歳牝馬ランキング」

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GI阪神JFでは激闘を演じたサトノレイナス(左)とソダシ(右)

ただし、いずれも今回は阪神JF以来、およそ4カ月ぶりのレースとなる。その間のさらなる成長は見込めるものの、ぶっつけで大一番に臨むこととなり、レース勘が鈍った状況であれば、思わぬ取りこぼしがあっても不思議ではない。

そうなると、その後のトライアルや前哨戦で台頭してきた新勢力が「2強」の間隙を突く可能性も大いに考えられる。まさに激戦模様といえ、どの馬が頂点に立つのか、まったく予想がつかない。それは、牝馬クラシック第2第となるGIオークス(5月23日/東京・芝2400m)においても同様だ。

そこで今年も、競走馬の分析に長(た)けた元ジョッキーの安藤勝己氏を直撃。牝馬クラシックに挑む面々の実力について診断・分析をしてもらい、独自の視点による「3歳牝馬番付」を選定してもらった――。

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横綱:サトノレイナス(牝3歳)
(父ディープインパクト/戦績:3戦2勝、2着1回)

今年はトライアルレースのレベルが高くなかった。例年強い馬が集まるチューリップ賞も、今年は低調だった。

そこで、中心となるのは昨年末からの"ぶっつけ組"となる、阪神JFの上位馬だ。勝ったのはソダシだが、個人的には2着だったサトノレイナスのほうが能力的には上と見ている。

阪神JFのレースぶりを見ると、いかにも子どもっぽいというか、あれこれ気を遣って走っているという感じだった。まだぜんぜん全力を出し切っていない。

それでも、最後は勝ち馬とハナ差の接戦に持ち込むのだから、力はある。この馬には、まだまだ奥があると思っている。それを見込んでの"横綱"評価だ。

血統的にも上に重賞馬のサトノフラッグ(牡4歳)がいるし、馬格もある。前哨戦を使わなかったのは、「成長を促す」という意味と、直行でも「桜花賞とオークスは勝ち負けできる」という自信があるからではないだろうか。

桜花賞を勝てば、オークスもいけるのではないか。

大関:ソダシ(牝3歳)
(父クロフネ/戦績:4戦4勝)

この馬のいいところは、完成度が高いこと。阪神JFでは道中じっと我慢して、直線で馬群から抜け出すという大人びたレースを見せた。この時期の2歳馬にしては、完璧なレースだった。

デビュー当時からレースがうまくて、いつも思いどおりのレースをして勝っている。"乗りやすい馬"という感じもする。実績的には大関以下には落とせないし、クラシック本番でもきっといいレースをすると思う。

ただその分、伸びしろがどうか。また、個人的な好き嫌いを言えば、完成度の高さだけで結果を出し続けているタイプというのは、どうも好きになれないというか、どこか物足りなさを感じてしまう。

競走馬も若いうちは、いろいろなレースを経験して、失敗や成功を重ねながら成長していくべき。そのなかで、さまざまなことを試して、引き出しを増やしていくことが大事。

常に思いどおりの完璧なレースをして、これといった課題も見せずに勝ち続けていると、"ここ一番"という時に思いどおりにならないことがある。その結果、コロッと負けてしまう。競馬には、そういうことがよくある。

これまでが余りにも完璧すぎるから、この馬については、そんな心配を抱いてしまう。

関脇:アカイトリノムスメ(牝3歳)
(父ディープインパクト/戦績:4戦3勝、着外1回)

現役時代、「競馬は血統やな」と思うことが時々あった。特に重賞とか、大きなレースでこそ、そう思うことが多かった。

例えば、人気のうえでも、能力的にも、同じくらいの馬が何頭かいたとして、それらの中から抜け出してくるのはなぜかわからないけど、たいてい血統馬。血統馬には、やはり血統の後押しがある。

ゆえに、血統馬は大舞台に強い。そこに至るまで、あまり目立たなかった馬でも、重賞とか大きなレースになると、それまでとは見違えるような、すごいレースをしたりする。

クイーンCのアカイトリノムスメを見て、改めてそう思った。最後、ゴール前で他馬に迫られても抜かせなかった。それこそ、血統の力だと思う。

お母さんのアパパネも勝負強い馬だった。この馬は、大事な時期を迎えて、どんどん血統のよさが出るようになった。関脇評価だけど、横綱、大関との差は、ほとんどないと見ている。

小結:シゲルピンクルビー(牝3歳)
(父モーリス/戦績:3戦2勝、着外1回)

この馬は、フィリーズレビューのレースぶりがよかった。好スタートから一度下げて内に入れ、直線を迎えて馬群の真ん中を割って伸びてきた。なかなか味なレースだったよ。

しかも時計が速くて、勝ち時計(1分20秒7)はレースレコードをマーク。馬場差があるので一概には言えないけれども、この時期、芝1400mのレースを1分20秒台で走れる馬はそう多くはない。力がある証拠だ。

阪神JFでは惨敗(17着)を喫しているから、(実力的に)わからない部分もあるが、それを除けば2戦2勝。一度の惨敗で見限るわけにはいない。

それに、姉のシゲルピンクダイヤ(牝5歳)も桜花賞2着など、結果を残している。姉に比べると、性格がよさそうだし、操縦性もいいように見える。1600mにも十分に対応できるだろう。

フィリーズレビュー組は、本番の桜花賞での実績は乏しいけど、この馬は面白いと思う。

前頭:エリザベスタワー(牝3歳)
(父キングマン/戦績:3戦2勝、着外1回)

チューリップ賞は1着同着。もう1頭のメイケイエール(牝3歳)が引っかかり通しで、「本番でどうだろうか?」という疑問がある分、こちらのほうを上と見る。

実はこの馬、デビュー当時から素質の高さを評価する声が、あちらこちらから聞こえてきた。調教の動きからして、他の馬とは違ったらしい。その評価が結果に結びついたのが、チューリップ賞だったというわけだ。

とはいえ、自分の目にはチューリップ賞でもまだ本気で走っていないように見えた。現に手綱を取った川田将雅騎手もレース後、「ぜんぜん力を出し切れていない」と話していた。それでも勝つのだから、能力は高い。

本当によくなるのはまだ先かもしれないけれど、素質がトップレベルなのは間違いない。本番までにどこまでよくなるのか、それ次第で上位争いも十分に考えられる。

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今年は、昨年のように抜けた存在がいない。一応、横綱から前頭までランク付けはしたけれども、それぞれの差はほとんどなくて、どの馬にもチャンスがある――そう考えるのが、正解だと思う。

あと、個人的な感想として、桜花賞が阪神・芝1600mの外回りコースで行なわれるようになってから、以前にも増して、桜花賞の結果がそのままオークスに直結するようになっている気がする。ゆえに、桜花賞の結果次第ではあるけれども、オークスになっても桜花賞で示したランク付けはあまり変わらないと踏んでいる。

もしオークスで番狂わせを起こす馬が出てくるとすれば、別路線組だと思う。今はまったく下馬評にも挙がっていない馬が、オークスで主役に躍り出る。今年はそんなシーンがあるかもしれない。

安藤勝己(あんどう・かつみ)
1960年3月28日生まれ。愛知県出身。2003年、地方競馬・笠松競馬場から中央競馬(JRA)に移籍。鮮やかな手綱さばきでファンを魅了し、「アンカツ」の愛称で親しまれた。キングカメハメハをはじめ、ダイワメジャー、ダイワスカーレット、ブエナビスタなど、多くの名馬にも騎乗。数々のビッグタイトルを手にした。2013年1月31日、現役を引退。騎手生活通算4464勝、うちJRA通算1111勝(GI=22勝)。現在は競馬評論家として精力的に活動している。

新山藍朗●取材・構成 text by Niiyama Airo

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