なぜ『グーニーズ』は今なお愛され続ける映画なのか?

なぜ『グーニーズ』は今なお愛され続ける映画なのか?

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  • 更新日:2021/06/11
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映画『グーニーズ』(1985)より<画像をもっとみる>

金曜ロードショーで『グーニーズ』が放送されるとの一報にSNSが湧いた。ツイッターではトレンドワードとなり、「子どもの頃から大好きな作品」あるいは「何度見ても楽しい」など期待の声が高まっている。『グーニーズ』は、海賊が隠した宝物を探す少年少女たちの冒険を描いた作品。DVDや配信でいつでも観られるような環境にあるとはいえ、地上波のゴールデンタイムでの全国放送が、実に28年ぶりであることも影響している。劇場公開から36年が経過した今なお、世代を超えて映画ファンを魅了し、愛されている理由をいくつか考えてみた。

【写真】少年少女たちの大冒険が蘇る! 『グーニーズ』(1985)フォトギャラリー

●『グーニーズ』は『バック・トゥ・ザ・フューチャー』のライバルだった

『グーニーズ』が日本で劇場公開されたのは1985年12月7日、いわゆる<お正月映画>だった。実は、この同日に公開されたのが『バック・トゥ・ザ・フューチャー』(1985)。つまり『グーニーズ』と『バック・トゥ・ザ・フューチャー』は、興行的なライバル関係にあったのだ。この2本がどのくらい当たったのかというと、『バック・トゥ・ザ・フューチャー』は36億5000万円を稼ぎ出して1986年度の洋画年間配給収入(現在は興行収入で算出されている )で1位、『グーニーズ』は19億5000万円を稼いで 年間3位となるほどのヒットを記録した。

そしてこの2本には、ある共通項があった。それは“スピルバーグ印”と呼ばれた作品だったこと。『ジョーズ』(1975)や『E.T.』(1982)などをメガヒットに導いたスティーヴン・スピルバーグ監督は、1980年代に入って<製作総指揮>としてクレジットされる作品が急増したという経緯がある。例えば『グレムリン』(1984)や『ヤング・シャーロック/ピラミッドの謎』(1985)など。自身は監督をすることなく製作者として参加した作品が、興行的にも当たるようになっていたのだ。『グーニーズ』公開当時のポスターを見てみると、全キャスト・スタッフの誰よりもスピルバーグの名前が大きく掲げられていることがわかる。“スピルバーグ製作総指揮”と記すだけで、映画がヒットする時代になっていたのだ。

●実は2世スターが共演したという点でも話題だった

“グーニーズ”の仲間たちを演じた俳優のうち、マイキー役のショーン・アスティン、彼の兄であるブランド役のジョシュ・ブローリン、ステフ役のマーサ・プリンプトンの3人には、とある共通点があった。それは、彼らが2世俳優だったという点。後に『ロード・オブ・ザ・リング』シリーズでサム役を演じることになるショーン・アスティンの母親は、『奇跡の人』(1962)のヘレン・ケラー役でアカデミー助演女優賞に輝いたパティ・デューク。また、『アベンジャーズ』シリーズのサノス役でも知られるようになったジョシュ・ブローリンの父親は、『カプリコン・1』(1977)の俳優ジェームズ・ブローリン。『モスキート・コースト』(1986)と『旅立ちの時』(1988)でリヴァー・フェニックスと共演し、私生活でも交際していた時期のあったマーサ・プリンプトンの父親は、俳優・歌手のキース・キャラダイン。公開当時は「芸能一家の子どもたちが共演した作品」という文脈でも話題となっていたのである。

また脚本のクリス・コロンバスは、前述の『グレムリン』や『ヤング・シャローック/ピラミッドの謎』で脚本を手掛け、少年少女を描く筆致に対して高い評価を得ていた時期。その評価が、後に『ホーム・アローン』(1990)や『ハリー・ポッターと賢者の石』(2001)という子どもが主役のメガヒット作品を監督することへとつながってゆくのである。そして、後に『リーサル・ウェポン』シリーズを監督することになるリチャード・ドナーとスピルバーグとの間にも、キャリア上での共通点があった。

スピルバーグが影響を受けたテレビ番組のひとつに、1959年からアメリカで放送されたドラマ『トワイライト・ゾーン』が挙げられる。その1エピソード「二万フィートの戦慄」(第123話)を、若き日のリチャード・ドナーが監督しているのだ。このエピソードは、スピルバーグが製作・監督したオムニバス映画『トワイライトゾーン/超次元の体験』(1983)で、ジョージ・ミラー監督にリメイクさせているほど。ドナーはテレビの演出家から映画監督へ転身し、『オーメン』(1976)や『スーパーマン』(1978)といった大ヒット映画を世に送り出したというキャリアがあるが、当時はまだテレビと映画の世界に大きな壁があった時代。かつてテレビの世界から映画の世界への転身を図ろうと苦心していたスピルバーグにとって、ドナーは尊敬すべき存在なのである。

●『グーニーズ』は“子どもの理屈”で描かれている

シンディ・ローパーによる主題歌「グーニーズはグッド・イナフ」のミュージックビデオは、『グーニーズ』の姉妹編のような作りになっている。“グーニーズ”の仲間たちはもちろん、スピルバーグ本人が登場するというお遊びも話題となった。この36年間、『グーニーズ』続編の噂は何度も流れては消え、リチャード・ドナー監督が続編の噂を否定するというニュースが流れてきたこともあった。ちなみに筆者がこの映画を映画館で観たのは15歳の時。つまり、“グーニーズ”の仲間たちは同年代の少年少女たちだった。当時は『レイダース/失われたアーク《聖櫃》』(1981)の子ども版といった趣で製作された文脈もあったことから、『グーニーズ』のような「屋根裏から始まる冒険」は、自分たちにも可能ではないか?と思わせた点も大きな魅力だった。

だからこそ思うことがある。それは、親の知らない秘密、冒険、宝探し、悪者をやっつけるという、誰もが子どもの頃に夢見ていたことを、『グーニーズ』は描いているということだ。そういう意味で、この映画が“大人の理屈”ではなく、“子どもの理屈”で描かれている点がとても重要なのだ。確かに、不動産買収や負債といった“大人の理屈”はある。だが、『グーニーズ』における全ての行動原理は“子どもの理屈”を中心に描かれていることが窺(うかが)える。映画の技術面で作品が色褪せることがあったとしても、描かれている精神が色褪せることがないのはそのためだ。そういった姿勢の映画は意外と少ない。それゆえ。普遍・不変とも言える“子どもの理屈”こそが、公開から36年経過しても変わらず愛されている理由ではないかと思わせるのである。(文・松崎健夫)

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