【ヒューマン GWスペシャル】市川海老蔵、2児の父として「親が諦めちゃいけない」

  • SANSPO.COM
  • 更新日:2021/05/04

歌舞伎俳優、市川海老蔵(43)が自らの名を冠にした「海老蔵歌舞伎」を29、30日に東京・明治座、来月4~13日に京都・南座で開催。長男、堀越勸玄(8)と34年ぶりに古典「実盛物語」での成田屋親子共演を実現する。海老蔵は「子供たちには良い意味で争わない程度に競わせる」と説明。演目選びの裏には、勸玄や舞踊家で長女、市川ぼたん(9)への海老蔵ならではの子育て論も隠されていた。(ペ ン・栗原智恵子、カメラ・福島範和)

知勇を兼ね備えた平家の武将、斎藤実盛に焦点を当てた「実盛物語」と成田屋親子の歴史は1956年にさかのぼる。

当時、海老蔵の祖父(十一代目市川團十郎)と父(十二代目團十郎)が、実盛と、物語の鍵を握る太郎吉役で親子共演。87年には、9歳だった海老蔵が父と演じた。

海老蔵は「(演出で父と)馬上に乗ってぐるぐる回ったのがすごく楽しかった」と懐かしみつつ、「舞台上では演じることに集中しているので、父がどうとかではなく実盛と太郎吉として存在していました」とプロ意識を口に。今回、太郎吉に挑む勸玄については「彼にとって一生に一度のチャンス」と思いやった。

海老蔵の演目選びは、観客に歌舞伎の魅力を伝える構成であることはもちろん、ぼたんと勸玄の道標にもなっている。

子育ては「平等」が信条。「お互いが伝統文化に携わることで触れ合いたいということであるならば、麗禾(れいか=ぼたんの本名)には麗禾、勸玄には勸玄の場所を作ってポイント、ポイントで刺激を与えることは必要」と説明する。

歌舞伎が続けば舞踊を取り入れるなど工夫。今年1月の東京・新橋演舞場「初春海老蔵歌舞伎」では、ぼたんが「藤娘」で藤の精、勸玄は「橋弁慶」の牛若丸役を堂々と披露。海老蔵は、歌舞伎舞踊屈指の大曲を踊り切った愛娘について「親だからではなく、いち芸人、役者としてたいしたもんだ、というできでした」と称賛した。

3月下旬、ぼたんの四代目襲名披露を行った熊本・八千代座では当初、ぼたんの演目前に自身が出演する「弁天娘女男白浪」を上演予定だったが、「それでは緊張して(父の)芝居が見られない」と順序を交換。細やかな配慮が功を奏し「最終日には(子供たちがせりふの)『知らざぁ言って聞かせやしょう』を言っていましたし、『浜の真砂』ってどういう意味?って聞いてきました」と成田屋の芸以外の演目に興味を示したことを喜んだ。

一方で、「せがれにも(姉の姿を)見せ、感じさせる。くだらない劣等感や優越感が生まれているわけですが、次はせがれに『実盛』を持ってくる。良い意味で争わない程度に競わせる」。

また、親として環境づくりも大事に。「コロナ禍で子供たちにしてあげたくてもできなかったことはいっぱいある。それをしっかり調整しないと。親が諦めちゃいけない。親がすることは環境づくりで、あとは(子供が)やるといえばやる、やらないといえばやらない」と子供の気持ちを尊重する。

昨年10月には自主公演の間を縫い新潟で行われた稲刈りに参加。「食品ロスの問題がある中、自分の食べるお米はどうやってできるのか。その前には植樹で土に触れながら、自分たちが植えたものがどう成長していくか。生態系を知らないと」と妻の小林麻央さん(享年34)と始めた植樹などで自然に触れる大切さを説いた。

コロナ禍で昨年5月から予定していた海老蔵の十三代目市川團十郎白猿と勸玄の八代目市川新之助の親子襲名は延期になった。そんな中でも海老蔵は、感染予防対策を徹底して地方巡業を計21都府県で行い、「どこの地域も感動に飢えていたり、楽しむことにハングリーなことが伝わりました」と体感してきた。

コロナ禍の逆境も歩みを止めず過ごした1年。たくましさを増した海老蔵が舞台で輝く。

◆画期的新作も初公開

「実盛物語」とともに上演される新作歌舞伎舞踊「KABUKU」は、SNS音声アプリ「Clubhouse」がきっかけで製作。音声だけでコミュニケーションを図ることに興味を持った海老蔵が、実際にアプリで2~3000人の意見を聞きながら、構想をまとめていった。詳細は未発表だが、時間軸を超える壮大な物語になる予定で、「日本の方々もさることながら、日本の文化を世界の方に楽しんでいただけるような企画にするのが、ひとつのゴール」と意気込んでいる。2009年の「石川五右衛門」でタッグを組んだ人気漫画家、樹林伸氏が作、海老蔵は主演・演出を担う。

十一代目市川海老蔵(いちかわ・えびぞう、本名・堀越孝俊=ほりこし・たかとし)

1977(昭和52)年12月6日生まれ、43歳。東京都出身。屋号は成田屋。83年5月に「源氏物語」の春宮で初舞台を踏む。85年5月「外郎売」の貴甘坊で七代目新之助、2004年5月に十一代目海老蔵を襲名。94年のNHK大河ドラマ「花の乱」で青年期の足利義政を演じ、03年には同「武蔵 MUSASHI」で主演。映画は06年「出口のない海」、11年「一命」、13年「利休にたずねよ」に主演した。

この記事をお届けした
グノシーの最新ニュース情報を、

でも最新ニュース情報をお届けしています。

外部リンク

  • このエントリーをはてなブックマークに追加