BTSのビルボード1位、韓国内で「アーミーの操作行為・音源総攻撃」と懐疑論浮上のワケ

BTSのビルボード1位、韓国内で「アーミーの操作行為・音源総攻撃」と懐疑論浮上のワケ

  • Business Journal
  • 更新日:2020/09/16
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『BTS official(@bts.bighitofficial) • Instagram写真と動画』より

韓国出身の7人組人気アイドルグループ「BTS」が8月21日に発売した新曲「Dynamite(ダイナマイト)」で、韓国人アーティストとして初めて米ビルボード・シングルチャートの1位に輝いた。アジア出身歌手でビルボード・シングルチャートで1位を獲得したのは坂本九さんの「上を向いて歩こう」以来で、韓国国内は大きく湧き上がっている。BTSの快挙の背景に何があったのか。日本国内の一部メディアが手放しでBTSを賞賛する一方、韓国国内のメディアからはファンのあり方や昨今の音楽業界のあり方をめぐる懐疑論も噴出している。

トランプ大統領が体現する旧来の価値観を否定?

朝日新聞デジタルは9月13日、記事『BTS、全米1位の理由 マッチョでワイルドからの変化』で、ハーバード・イェンチン研究所客員研究員で慶應義塾大法学部(アメリカ文学、ポピュラー音楽研究)教授の大和田俊之氏や北海道大大学院メディア・コミュニケーション研究院准教授の金成玟氏らの見解を紹介している。

同記事で、自身もBTSのファンという大和田教授は次のように分析する。

「アメリカ社会でアジア系男性に対するステレオタイプ(単純化されて固定化されたイメージ)が変化していることが影響していると思います。1980年代以降、アメリカでは黒人やヒスパニックなどの少数派の人口が増え、多文化主義が進みました。その波はエンターテインメント業界にも広がり、ドラマや映画でアジア系俳優の活躍も目立ち始めました。

(中略)

メンバーが醸し出す『繊細さ』も、アメリカで受け入れられた理由の一つです。アメリカ社会では長く『マッチョ(がっちりした体格)でちょっとワイルドな白人男性がかっこいい』とされてきました。ですが、価値観が多様化し、かっこいい男性像は見直されています」

そのうえで同記事では、大和田教授が「トランプ大統領が象徴する旧来の価値観にあらがうことで支持を得たと分析する」とまとめる。

ファンたちの度を越した販促支援に韓国でも疑問の声

実は、このBTSのビルボード・シングルチャート1位獲得に関し、物議を醸した記事があった。東亜日報日本語版が8月31日、イム・ヒユン記者の署名で公開した『「音源総攻撃」Kポップの危険な影』がそれだ。

記事では、Twitterの英語アカウント「BTS on Billboard(@BTS_Bilboard)」が最近共有した投稿「Dynamite Survival Kit」の一部を紹介した。この“キット”には、アップルミュージック、タイダル、アマゾンミュージック、ユーチューブのようなグローバル音源ストリーミングプラットフォームをどのように活用すればビルボードチャートに最大限の影響力を与えられるかについて詳細に記されていたという。具体的期には次のような手順だ。

「無料アカウントで聞けば、有料アカウントストリーミングの3分の2のみ反映される」

「有料アカウント無料体験イベントは、このリンクに入って登録」

「Dynamiteだけを繰り返して聞けばカウントが少ないので、他の曲をいくつか挟んだプレイリストを生成して聞き、周りに共有」

「itunesでDynamiteをプレゼントするときは、ビルボードチャートへの反映のためにギフトカードを活用する」

ビルボードチャートの評価基準を踏まえた上で、最も有効な「支援活動」のあり方をレクチャーしている。中でも目を引くのが、ギフトカードを使った販促だ。イム記者はその手法を次のように解説する。

「募金と資金支援のためのアカウントである『@fundsforbangtan』(フォロワーは5万3000人)もある。

サバイバルキットは、米国アーミー(編注:BTSのファンのこと)に『Dynamite音源を買うためにお金が必要な場合は、@fundsforbangtanにコンタクトせよ』とし、米国外アーミーには、『米国内でのDynamite販売量増大のために、@fundsforbangtanに寄付しなさい』と促している。このアカウントでは、音源購入、領収書送付、補償手続きまで案内する」

AKB48やハロープロジェクトといった日本国内の有名ユニットにも、熱狂的なファンがいる。日本では一人のファンが、“推しのメンバー”のシングルチャートや人気投票の順位を押し上げるために同一作品の音源を多重購入することなどが一時話題に上っていた。だが、韓国ではファン活動が各個人にとどまらず高度に組織化されているようだ。イム記者はこうしたファンの活動に関し、次のように苦言を述べる。

「業界の専門家たちは、『国内の一部のアイドルファンの音源総攻(音源消費総攻撃)の文化が、海外にも伝播されたのだ』と口をそろえた。様々な『総攻』『募金』のアカウントは数えきれないほど多い。BTSだけでなく、いくつかの有名K-POPアイドルのファンの一部が、このようなアカウントを運営する。

専門家らは、『他の歌手にも被害を与える操作行為だ』とし、『今後K-POPのイメージに打撃を与え、ビルボードチャートの公信力にまで影響を与えることができる』と懸念を示す」

「アーミーの友人の募金要請を断ったらラインブロックされた」

実際、BTSのファンたちはこうした状況をどう考えているのか。韓国の延世大学から早稲田大に留学中の女子学生は次のように語る。

「私もBTSのファンです。曲もダンスも洗練されていて、時折見せる、はかなさみたいなものがあってとても好きです。しかし、アーミーと言われる“ガチ勢”の人たちはちょっと……。例えば、今回のビルボードチャートの件でも、韓国のアーミーの知人からギフトカード募金に参加するよう求められました。

そこで『みんなが個人で音源を買えばいいんじゃない?ビルボードチャート1位にする必要ってあるのかな』と質問したら、LINEブロックされました。世間的な評価がどうあれ、自分たちが好きならそれでいいと思うんですが、ダメみたいです。友達を無くしたかもしれません」

ビルボードチャートに一連のファンの支援活動がどれほど影響したのかは定かではない。すでにK-POPは世界的なコンテンツだ。BTSをはじめ各グループ、ユニットの一挙手一投足が世界中の若者の音楽や服飾、美容やライフスタイルなどに影響を与えている。少なくとも新曲がリリースされれば、無理な支援をしなくても多くの若者が手に取るのではないだろうか。

(文=編集部)

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