誰かを待つ時間、その人が来たときの第一声を考えたり、そのあとの時間に思いを馳せたり、あるいはメールチェック、SNS、携帯ゲームなど、過ごし方はさまざま。
そんな「待つ時間」にそっと寄り添う音楽をモチーフに、DJ、作詞、音楽演出など幅広い活動をしているカワムラユキさんに言葉を綴っていただきます。
神泉のコインランドリーに、真っ白なシューズと猫が粗相をした布団をぶちこんで
隣の公園のベンチに腰掛けながら、満たされた空白の時間を旅するなど
廻り続ける愛と愛、それ以外の情熱たちと、分別を付けぬままに残り香はそのままに
知る由もなかった優しさを体得する度に、君も僕も洗い立てのシャツのように真新しく
例え明日はサーカスのピエロ役の日だとしても、きっと心は1g位は余裕で軽くなって
「あぁ、おめでとう」って全神経を研ぎ澄ませて、その言葉の波動を体中の水分に響き渡らせるのだ
ジョンレノンが愛したスプリングコートの白いスニーカー、奥渋の本屋さんのPOPUPで衝動買いしたムーンスター
ブラック&ホワイトのスクリーンで踊る二つの影と影、揺れて離れて最後はひとつになって
何度でも繰り返すハッピーエンドのラブストーリーみたいに、いつだって華やかに元気だ
大切なものが日々、増えてゆくよ
SNOOPYの箸置き、Christofleのチョップスティック、WEDGWOODのマグカップ
Hirotakaのイヤーカフ、Givenchyの80’s Vintageのブレスレット
シャトルシェフでビーフシチュー、THERMOSのランチボックスと新しいフライパン、Telmontのレゼルヴ・ロゼ
もうすぐ閉館してしまう東急本店で買った洋菓子ウエストのチーズバトン、チェンマイから届いたNEO食堂の醤油麹
Shin;Kuuの10 MINUTES AROMA Canisterとstarting!、ethiqueのシャンプーバー
amritaraのサンスクリーン、THREEのアドバンスドスムーシングコンシーラーYE、JILL STUARTのムースブロウマスカラ
ランチの後は百草丸とナイアシン、朝夕のソイプロテインと重曹とクエン酸、時々は林檎酢にソーダ
パスタは全粒粉、GOYAのオリーブオイル、ハリッサとデュカで味覚の世界旅行
断捨離の後には、ただ広い草原のような気分が訪れて、新しく美しい欲望に満たされてゆく
そんな感情の展開は、とてもリズミカルで神々しい
散りばめられてゆく愛の種と可能性、春へと向かってどんな風に芽が出てゆくのかな
これからもずっと変わらない、歩幅をあわせて共に一緒に生きる、明日も明後日も相応しい風を待つだけだから

The 1975『Being Funny In A Foreign Language』(2022年、Dirty Hit)収録
カワムラユキ