ニコン「Z 5」レビュー後編 欲しかったのは「フルサイズ版のZ 50」だったのだけど...

ニコン「Z 5」レビュー後編 欲しかったのは「フルサイズ版のZ 50」だったのだけど...

  • マイナビニュース
  • 更新日:2020/10/16
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前回の「ニコン『Z 5』レビュー前編 高画質の裏に潜んでいた予想外の“あれれ?”」に続き、ニコンの中堅フルサイズミラーレス「Z 5」の濃厚レビューをお送りします。Z 5を手にして一番最初に撮影した「DSC_0001.JPG」の描写にゾッコン惚れてテンションが上がった落合カメラマンですが、使い込んでいくと「あれれ?」「おや…!?」と感じることが増えてしまったそうです。

ニコン「Z 5」レビュー前編 高画質の裏に潜んでいた予想外の“あれれ?”

高倍率の24-200mmはZ 5との相性バツグン

Z 5に対し、早期に「おっとこりゃZ 50のフルサイズ版かぁ? 欲しくなっちゃいそうじゃーん」と手前勝手に心躍らせたのには、ひとつヘソの曲がった理由があった。Z 5の存在を知る前にNIKKOR Z 24-200mm f/4-6.3 VRを手に入れていたのだ。ナンのため? 愛機Z 50で使うためにさっ!!

NIKKOR Z 24-200mm f/4-6.3 VRはFXフォーマット用のレンズである。それをDXフォーマットのZ 50で使う(得られる画角は35mm判換算で36-300mm相当になる)のは、とても贅沢なこと。そこがいい。まぁ、DXフォーマットのNIKKOR Zに高倍率ズームが存在しないから……という一面もあるにはあるのだけど、常用する標準系ズームレンズに長焦点側の余裕ある画角を求める(より望遠に強い方がウレシイ)私には、現時点ドンピシャの使い心地が得られる唯一、かつ魅惑のコンビネーションでもあるのだ。レンズ内手ぶれ補正も入っているしね(Z 50にはボディ内手ぶれ補正がないのでココ重要)。

そんなレンズを「本当の意味でちゃんと使いきれそうなモデルが出た!」……Z 5に対しては、そちら方面からも興味を引かれていたということになる。なので、今回は軽量な24-50mmだけではなく24-200mmもガッツリ使ってみた。ちゃんとフルサイズで使ったときのこのレンズの実力を知っておきたかったんですわ。なんせ、ほら、私はZ 50でしか使ったことがなかったもんで(笑)。

で、その結果、周辺画質に若干の甘さを感じることはあるけれど、アラ探しに近い見方をしない限りは気にならず、高倍率ズームレンズとしては写りは相当にイイことを確認! このレンズ、買って正解。当面、Z 50で使い倒すことになりそうだけれど、いつかフルサイズZを手に入れた日には「正しいコンビネーション」を存分に味わってやるぅ! なんて気になれた。その日が来るのとコロナ禍が過ぎ去り平穏な生活に戻れることのどちらが早いのか皆目、見当がつかないけどね……。

ただし、24-200mmを装着したZ 5は、これっぽっちも小型軽量じゃなくなります。いや、そもそもが小型軽量な「Z」なので、それなりに小さく軽くまとまってはいるのだけど、Z 6やZ 7に同レンズを装着しているよりも軽いってことはありません。バッテリー&メモリーカード込みのボディ質量、同じですからー。

薄暗いだけで腰砕けるAFに驚かされる

あと、キットの24-50mmを装着しているときには気づきにくかったZ 5の弱さが24-200mmでは出やすかったような気もする。当初は快適さを感じるのみで進めることができていたZ 5による撮影なのだけど、時を経るごとにけっこう「あれれ?」って思わせることが増えてきたのだ。で、それが最初に気になりだしたのは24-200mmを使っているときだった。使用頻度が高かったから、たまたまそうなっただけなのかもしれないけれど。

一番、気になったのはAFの挙動だ。暗所……いや、暗所とは呼ばないであろうちょっぴり薄暗い状況で早くもAF動作時のゲインアップが目につき始め、同時にAFスピードが目に見えて遅くなることに驚かされた。AFが暗さや低コントラストに対し弱音を吐くに至る閾値が異様に低い感じなのだ。え? この薄暗さでもうダメなの? という感じ。

要するに、ローライトAF(デフォルトでオンになっている。AF-S時に作動)の発動タイミングがやたらに早いってこと。さらに、ローライトAFが動作しているときのファインダーorモニター表示は「スローシャッターで切り取った画をゆっくりコマ送りで見せられる」感じのコマ落ち表示になるのは他のZも同様も、そのときのファインダー(モニター)表示が視覚に与える違和感(扱いにくさ)はZ 5が目立って大きいという一面もある。

しかも、そのような多大な違和感を感じさせてまで真剣に一生懸命ピントを合わせてくれようとしているのに、ローライトAFが動作しているときは結局ピントが合わせられずに終わることが多いというトホホな現実も。AF補助光が有効な範囲ではそうはならないけれど、その“好条件”にハマることは現実には少なく、AF補助光を光らせたくない(あえてOFFにする)ことも現実にはままあるものだ。

いやはや、少しばかり暗い場所で撮ろうとしているだけなのに、まさかここまで負の連鎖を感じることになるとは……。本当に暗いところではもちろん、普通の蛍光灯照明がある室内でもスムーズに撮れないことがあるというのは、初心者に優しいとは言い難く、ベテラン陣にも納得は得にくいのではないだろうか。高感度画質も1世代前の味わいだし。

ひとことで「フルサイズの24MPセンサー」といってもグレードはさまざまなのだろう。わかりやすいところでは、Z 6やZ 7とは違いZ 5のセンサーは裏面照射タイプではないし、その他の要素、例えば読み出し速度とか感度にも「お値段通り」ともいえる何かしらの違いがあるのかもしれない。ミラーレス機のAFはイメージセンサー頼り。いや、ミラーレス機は、AFのみならず“すべて”をイメージセンサーの能力に掌握されているといっても過言ではないのである。

うーん、ジツに難しい。Z 5は、基本いいカメラだ。低感度域の画質も24MP機の中ではトップレベル。ナチュラルかつリアルな質感描写を後ろ盾とするとてもよい画を紡いでくれる。でも、AFに関しては、シビアにユーザーを選ぶカメラであるという大どんでん返し。

ちなみに、今回の試用では「AF-S+シャッターボタン半押しによるフォーカスロック」を行っての撮影で、1コマレリーズした後も半押しを維持する(撮影後のシャッターボタン戻しを半押し位置までにとどめ次のレリーズを行うという手順を踏む)撮影を行っても、1コマ撮影後に即、再度のAF動作が行われてしまう動作に終始。おかげで、シャッターボタン半押しによるフォーカスロックを行ったままの連続的な撮影が思い通りにできなかったのだけど、聞くところによると仕様上は「シャッターボタンの半押しを維持すればフォーカスロックも維持される(Z 6やZ 7と同様の動作が行われる)」ハズとのことで、試用した個体に特有の挙動だった可能性も。そんなこんなを含め、AFに関しては、どうにもこうにもあまり良い印象が得られていないというのが正直なところなのだ。

ってな感じの複雑な感情を捨てきれないまま判断するならば、私なら、そうだなぁ、もう少し頑張って予算を確保し、性能が高いレベルで安定しているZ 6を買うことにするような気がするなぁ。Z 5をきっかけにZ 6の購入に踏ん切りがつくって、なんだかウマく誘導されちゃってる気がしないでもないけれど、「Z 6 II」と「Z 7 II」の影響で初代Z 6は実勢価格面でも魅力をグーンと増すハズ(希望的観測)。なぁんてことを秋の夜長に考えていたら、なんだかホントに買っちゃいそうな気がしてきたんですけど~。すでにZ 24-200mm f/4-6.3 VRを所有しているってのがデッカイ墓穴になりそうなんですけどぉ~~(笑)。

落合憲弘 おちあいのりひろ 「○○のテーマで原稿の依頼が来たんだよねぇ~」「今度○○社にインタビューにいくからさ……」「やっぱり自分で所有して使ってみないとダメっしょ!」などなどなど、新たなカメラやレンズを購入するための自分に対するイイワケを並べ続けて幾星霜。ふと、自分に騙されやすくなっている自分に気づくが、それも一興とばかりに今日も騙されたフリを続ける牡牛座のB型。2020年カメラグランプリ外部選考委員。 この著者の記事一覧はこちら

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