秋の行楽はこれで決まり!!! 独断で選ぶ「神7」もご紹介 カーマニアのための「現存天守閣」12城ガイド

秋の行楽はこれで決まり!!! 独断で選ぶ「神7」もご紹介 カーマニアのための「現存天守閣」12城ガイド

  • ベストカー
  • 更新日:2022/09/23
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みなさんは、お城のプラモを作ったことはないだろうか? お城はミニカー同様、男の子にとってロマンそのもの。憧れの存在だ。

中学生の時、生まれて初めて訪れた城は姫路城だった。あの時の感激が忘れられない。それは、チビッコ時代に空き地に作った「基地」の超巨大版。濠や石垣、塀や門を抜けた先に聳える大天守が、男子の脳ミソを直撃した!

「城は好きだけど、天守なんて権力の象徴だろ。興味ないね。俺が惹かれるのは実戦で鍛えられた山城や石垣だ」

そううそぶく城好きも多いことだろう。何を隠そう、成人後の私がそうだから。

しかしそういうセリフは、日本に12城残る現存天守(江戸期以前に建築され現在も残る天守)をすべて巡ってから言うべきだ。

男なら、まずは行け、現存天守へ! 愛車に乗って突撃しろ! そのうえで、「俺が好きなのは濠だ」とか「縄張以外興味ない」とか、各自の趣味に進めばいい! だから声を大にして言う。行かずに死ねるか現存天守!

※本稿は2022年7月のものです
文/清水草一、写真/清水草一、Adobestock、ベストカー編集部
初出:『ベストカー』2022年8月26日号

【画像ギャラリー】各城の歴史もご紹介! 清水氏厳選の12城をギャラリーでみる。(13枚)

■現存天守城郭はこう見よう「天守とは、たたずまいのみである!」

天守には、「望楼型」と「層塔型」、そのほか独立式や複合式など、学術的にはいろいろな分類がある。

しかし我々シロウトは、そういった細部にこだわる必要はない。見て、感じればそれでいい!

なぜなら現存天守は、中身はカラッポのがらんどう。物見櫓としての機能を除けば、単独では攻撃力も防御力もほぼゼロ、居住性すらない。人に見せ、畏怖させることだけを目的とした建造物なのだ!

だから少し離れて眺め、味わえばそれでいい。クルマで言えば、グリルのデザインに近い。が、実はそれが意外と大事だったりするのである!

最初の本格的な天守は、織田信長が作った安土城(1579年)だと言われる。安土城天守は内部も豪華絢爛で、信長自身、天守に居住していたらしいが、わずか3年後、本能寺の変の直後に炎上し、灰燼に帰した。その後、豊臣秀吉が建てたゴージャスな天守たちも残っていない。

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安土城天守が築かれてから、大坂の陣後に「一国一城令」が出され、新たな天守の建設が禁じられるまで、わずか40年ほどだった。天守の建設は実に短い歴史しかないのだ。それもロマン(画像はイメージです)

江戸期に入ると、質素を好んだ徳川家康の影響もあり、天守の目的は「権力の象徴」に絞られるようになった。つまり見た目だけが勝負。中身はカラッポなので、無視してもいいのである!

西洋の城には、防御機能のない宮殿も多い。女性も、お城に住むお姫様を想像してもウットリできる。しかし日本の現存天守はほぼハリボテ。兜で言えば、中央に突き出た「前立」みたいなものである。

極論すれば、現存天守を訪ねても、内に入る必要はない。そこは装飾性ゼロで、すべてがむき出しの舞台裏みたいなものだ。最上階に上って周囲を眺めたくはなるが、現存天守に関しては、城主が天守に登る機会はなかったかもしれない。最上階から眺めを味わったのはお殿様ではなく、留守役なのだ!

繰り返すが、天守は周囲から眺めてナンボ。たたずまいがすべてだ。周囲の濠や石垣や縄張や山や川や海などの「背景」も含め、全体が醸し出す風情にどれだけロマンを感じられるかが重要。よって今回は、それだけを基準に、独断でランキングしてみた!

思えば天守の建設は、実に短い歴史しかない。安土城天守が築かれてから、大坂の陣後に「一国一城令」が出され、新たな天守の建設が禁じられるまで、わずか40年ほどだった。長い日本の歴史を思えば、現存天守は、ごく短い期間に集中して建設された、陽炎のようなものである。

その陽炎が、現在に至るまで男のロマンを刺激してやまないのだから、それは一種のビッグバンだ!

さあ、現存12天守を巡って、男汁のビッグバンを堪能しよう!

■第1位 松本城(長野県・国宝)

●アルプスを背景に優美に聳え立つ

松本城の美しさには息を呑む。雪をいただく北アルプスを遠景に、広い内濠をはさみ、戦国末期らしい野趣を備えた石垣の上に聳える、五層六階の黒々とした大天守。その周囲には3つの小天守や櫓が連結されている。

独立式、複合式、連結式、連立式とある天守のうち、松本城は複合連結式。大天守の周囲を、小さな「子分」たちが取り囲むことで、安定感と重厚感が演出されている。

松本城は、内濠の水面の存在が実に素晴らしい。濠は幅広く、石垣は丈低く、水面に天守が美しく映り込む。こんな映り込みが楽しめる天守は、松本城だけである。

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第1位 松本城(長野県・国宝・kikisora@Adobestock)

色彩も豊かだ。空は青く山は白い。天守は漆喰の白と漆の黒がコントラストを成す。月見櫓の欄干と、濠にかかる「埋橋」は、朱の差し色を添えている。

山、水、石、そして複雑に連結した天守の群れ。豪壮な背景に繊細な建築物がよく映える。風情として、パーフェクトに近いバランスが実現している!

松本城は、現存天守として唯一の平城。つまり、天守は平地とほぼ変わらない高さに建つ。ほかの天守とは目線の角度が異なるため、周囲の背景と一体となって楽しむことがたやすいのである。

濠の水面越しに天守を眺めれば、日本庭園の浮島に聳える、巨大な庭石に見える。これはもう、到底軍事施設とは思えない。エレガントな池泉庭園そのものだ!

松本城天守は、あまりにも美しく繊細であるがゆえに、軍事施設としての力感や難攻不落感には欠けるが、そもそも天守には防御能力などないと割り切れば、逆に清々しくもある。

しかも、そのほかの要素は完全無欠。たたずまいを楽しむなら、松本城を超える現存天守はないだろう!

●クルマに例えれば…フェラーリ!

松本城のエレガントなたたずまいを自動車に例えればフェラーリ以外にあり得ない。フェラーリは決して地上最速・最強ではないが、地上で最も美しいことは間違いないからである! モデルとしては288GTOが最適か。これまた決して地上最速・最強ではないが、フェラーリ最高の美少女戦士。308をベースに、あまりにもエレガントに武装した288GTOの姿は、城でありながら優美すぎる松本城に通じるものが多々あろう。

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松本城をクルマに例るならフェラーリである! 決して地上最速・最強ではないが、地上で最も美しいことは間違いなし!!!

●松本城へのアクセス…長野自動車道・松本ICから、松本市街地方面へ向かって約3.5km(約20分)。市のほぼ中心部にある。隣接して市営駐車場2カ所あり。

■第2位 犬山城(愛知県・国宝)

●木曽川断崖上のエレガンス

犬山城最大の美点は、木曽川の断崖上というロケーションにある。ゆえに中国の白帝城(三国志。蜀の劉備玄徳が亡くなった、長江沿いの断崖上の城)になぞらえられた。

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第2位 犬山城(愛知県・国宝・hallucion_7@Adobestock)

天守そのものは高さ19mと小ぶりだが、木曽川河岸から見上げれば、一幅の絵のように美しい。このようなロケーションにある現存天守は犬山城だけだ。

天守の形式は、古風な望楼型。最上階には歴代城主の肖像画と写真が飾られているが、そこには明治維新後の城主たちも含まれている。

犬山城は近年まで、江戸期からの城主・成瀬家の個人所有が続いていた城なのだ。歴史が生きていることを実感できる。

●クルマに例えれば…マツダ ロードスター!

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犬山城をクルマに例えるならマツダ ロードスター! コンパクトながら美しい姿は、さながらロードスターのよう。歴史も戦歴も実に豊かだ!

●犬山城へのアクセス…名神高速・小牧ICから約25分。有料駐車場あり。

■第3位 備中松山城(岡山県)

●険阻! 現存天守唯一の山城

本物志向のお城ファンは、たいてい山城ファン。

備中松山城は、現存天守唯一の山城なのだから、それだけでもう、上位に入れないわけにはいかない!

備中松山城天守が維新後も残ったのは、あまりにも険阻な山上ゆえ、解体の費用が出せなかったからなのだ。

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第3位 備中松山城(岡山県・area1964@Adobestock)

天守そのものは、現存天守最小クラスだが、険阻な山上にあり、登城の道中には、『真田丸』のオープニングに使われた、素晴らしい石垣も残る。

天守までたどり着けば、その小ささがかえって尊く感じられる。

また、秋から冬にかけては、平地に霧が立ちこめる朝、雲海に浮かぶ「天空の山城」の景色を、隣接する山上から眺めることも可能だ。

●クルマに例えればスズキ ジムニー!

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備中松山城をクルマに例えるならスズキ ジムニー! 険阻な山上に築かれた小さな天守と言えば、名車・ジムニー以外にあり得ない!

●備中松山城へのアクセス…最寄りは岡山自動車道・賀陽IC。登山道の途中に駐車場があり、週末はシャトルバスで登城口へ。そこから徒歩。

■第4位 高知城(高知県)

●質朴にしてすべてを兼ね備える

高知市中心部に築かれた平山城。市の中心部とはいえ、周辺にはのどかな雰囲気が漂い、それだけで癒される。さすが南国土佐。

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第4位 高知城(高知県・M・H@Adobestock)

石垣や門は質朴にして重厚。天守は国宝ではなく重要文化財指定だが、本丸の建造物がすべて残っており、近世城郭を味わうには絶好だ。

本丸御殿が現存しているのは、全国でも高知城だけ。本丸では、濃厚なタイムスリップ感を味わえる。

天守は4層6階、高さ18.5m。天守台の石垣がなく、本丸御殿と同じ平面にあるせいか、どことなく親しみやすい。6階部に巡らされた高欄は古風で、眺めも素晴らしい。

●クルマに例えれば…BMW!

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高知城をクルマに例えるならBMW! 中規模ながら、天守だけでなく本丸御殿や多聞、門などが残る。これぞ万能のスポーツセダン!

●高知城へのアクセス…高知自動車道・高知ICから約15分。周辺に有料駐車場あり。

■第5位 姫路城(兵庫県・国宝)

●あまりにも偉大な天守の代名詞

5位にランキングしたのは、単なるマニアのひねくれに過ぎない。

姫路城は、圧倒的な規模や歴史的・文化的価値を持ち、また現存天守として唯一の世界遺産でもある。

戦前は名古屋城と並ぶ「2大現存天守」だったが、名古屋城天守が戦災で焼失したことから、唯一絶対的な存在となった。

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第5位 姫路城(兵庫県・国宝・ Akihito Kariya@Adobestock)

ただ、7年前に完成した「平成の大修理」によって、天守の白壁は輝くように白くなり、まるで新築。綺麗すぎて風情に欠ける。あまりに観光客が多いことも、マニア的にはマイナスだ。

もちろん「姫路城を見ずして天守を語るなかれ」ではあるが。

●クルマに例えれば…ランボルギーニ!

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姫路城をクルマに例えるならランボルギーニ! あまりにも華やかなその姿は、シザースドアを開けたカウンタックのようだ!

●姫路城へのアクセス…姫路駅の北約1km。周囲には駐車場があるが週末は満車になることも。最寄りICは山陽自動車道・山陽姫路東IC。

■第6位 松江城(島根県・国宝)

●ニッポンの伝統美ここに凝縮せり

松江城は国宝5天守のひとつだが、真の素晴らしさは、内濠周辺の風情にある。

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第6位 松江城(島根県・国宝・スプやん@Adobestock)

防御力が高いとは思えない幅の狭い濠、さして高くない石垣、そして美しい松江の街並み。それはもう一種のファンタジーだ。

松本城と違って、濠越しに天守がほぼ見えないこともあって、大きなお屋敷の庭のようだ。

本丸に入り、門を抜け石段を上がると、ようやく丘の上に築かれた4層5階の天守が現われる。

天守の大きさは、姫路城、松本城に次いで3番目。堂々たるものだが、天守以外の建物は維新後に撤去されたため、どこか寂しげだ。それもまた松江城のよさだろうか。

●クルマに例えれば…トヨタ クラウン!

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松江城クルマに例えるならトヨタ クラウン! 周辺の街並みを含め、古きよきニッポンのセダンといった風情がある。

●松江城へのアクセス…松江市中心部北寄りにある。大手前に駐車場あり。最寄りICは山陰自動車道・松江西IC。

■第7位 丸岡城(福井県)

●古式ゆかしき民家のような風情

2層3階の天守は、現存天守の最小クラスで、作家の司馬遼太郎氏は「民家のように質朴」と激賞した。

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第7位 丸岡城(福井県・mtaira@Adobestock)

現存天守と言うと、地元にとっては一大観光資源だが、そういった俗な雰囲気がなく、高い天守台石垣の上に、まさしく民家のように建っているところがマニア泣かせ。

その質素な外観から、長らく「現存天守最古」と言われてきたが、近年の調査で1624年以降の建設であることが判明。地元は「現存天守閣では最古の建築様式」と表現を変えた。

現存天守として極めて質素であることからか、映画『戦国自衛隊』では、上杉謙信の春日山城(史実は天守なし)に見立てて撮影が行われた。

●クルマに例えれば… ホンダ N-ONE!

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丸岡城をクルマに例えるならホンダ N-ONE!サイズは最小クラス、ルックスは最もレトロということで、これですね!

●丸岡城へのアクセス…北陸自動車道・丸岡ICより約1km。城の北側に有料駐車場あり。

■彦根城(滋賀県・国宝)

●ひこにゃんの城に非ず! 井伊家代々の名城なり

天守は3層3階で大きくはないが、城内は江戸期の遺構が多く、世界遺産登録を目指している。

城外の濠のほとりの埋木舎(うもれぎのや)は、部屋住み時代の井伊直弼(後に大老)の住まいで、その質素さが胸を打つ。

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彦根城(滋賀県・国宝・beeboys@Adobestock)

●クルマに例えれば…アルファロメオ!

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彦根城をクルマに例えるならアルファロメオ! 寺社のような火頭窓がとってもエレガント。天守のおしゃれ番長はアルファっぽいね!

●彦根城へのアクセス…彦根市中心部。城内外に有料駐車場。最寄りICは名神高速・彦根IC。

■松山城(愛媛県)

●『坂の上の雲』の城は幕末に再建されたもの

伊予松山の町に聳える城山の頂に建つ平山城。

ふもととの標高差が100m以上あり、山城に分類された時期もある。連立式の天守は3層3階で高さはそれほどないが、小天守と連立することで厚みを感じさせる。

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松山城(愛媛県・Tierney@Adobestock)

●クルマに例えれば…トヨタ マークX!

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松山城をクルマに例えるならトヨタ マークX! 中くらいの大きさで重厚感満点。クルマで言えば男の真ん中・マークXだ。

●松山城へのアクセス…最寄りは松山自動車道・松山IC。クルマは麓の駐車場へ。山頂へはロープウェイとリフトがある。

■丸亀城(香川県)

●巨大な高石垣の上に最小クラスの天守が残る

丸亀城と言えば、なんといっても山頂まで4重に重ねられた高石垣だ。合計すると高さはなんと60mにもなり、亀山全体を石垣で固めたかのように見える。

それに比べると天守はあまりにも小さく、哀愁が漂う。

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丸亀城(香川県・Hideaki Yamashita@Adobestock)

●クルマに例えれば…ダイハツ タフト!

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丸亀城をクルマに例えるならダイハツ タフト! 巨大な高石垣はいかにもたくましいが、天守のサイズは最小クラスであります。

●丸亀城へのアクセス…高松自動車道・坂出ICを利用。

■弘前城(青森県)

●節約設計の小さな天守 桜の名所で超有名

これは天守なのか? と思うほど小さいが、それもそのはず、正式には御三階櫓。外側2面には破風を設けてあるが、内側にはそれもない節約設計だ。

天守は小さいが城郭全体はよく保存されており、桜の名所として有名。

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弘前城(青森県・farusu@Adobestock)

●クルマに例えれば…スズキ ラパン!

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弘前城をクルマに例えるならスズキ ラパン! 最小クラスの天守だが、城址公園として優美。桜が咲けば超絶カワイイ!

●弘前城へのアクセス…東北自動車道・大鰐弘前ICを利用。弘前市中心部にあり、市役所駐車場が近い。

■宇和島城(愛媛県)

●原生林の城山山頂にちょこんと建つ

宇和島城は、当初は海に面した海城だったが、埋め立てが進み、現在は町の中心部になった。急斜面を上り山頂に至ると、驚くほど小さい天守があっけない感じで待っている。

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宇和島城(愛媛県・ziggy@Adobestock)

●クルマに例えれば…スズキ ワゴンR!

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宇和島城の山頂に天守がポツンとある様子は、さながら孤高の傑作・初代ワゴンR(スズキ)。

●宇和島城のアクセス…宇和島市中心部にある。隣接して市営駐車場あり。最寄りは松山自動車道の宇和島朝日IC。周辺の観光スポットと合わせて楽しみたい。

■結論!!!

ひと口に現存天守と言っても、姫路城から宇和島城まで遺構の規模はピンキリで、それぞれ強い個性がある。城マニアならすべてを制覇したい! カーマニアなら、もちろんクルマですべての城を巡るのがベスト。遠い城もあるかもしれないが、健闘を祈る!

【番外コラム】お城に興味がなくても意外と(マジで)ためになる 天守閣あれこれ

●天守は何に使ったのか?

「天守は見た目だけのハリボテ」と書いたが、歴史を振り返ればそうとも言い切れない。

天守の前身は、物見のための「望楼」「井楼」だったと言われる。しかしその高層性ゆえに、徐々に権威の象徴に転用されると同時に、城の最終防衛拠点としての機能を持たされた。ただ、天守だけが残った状態で守り切れるはずはなく、せいぜいが切腹までの時間稼ぎである。

権威の象徴としての機能に関しては、安土城天守には、自身を神格化する装置としての意味があり、秀吉の大坂城もその流れを引き継いだ可能性があるが、江戸期に入ると、大名の「格」の表現が主になった。

城主の居住や政務の場は低層の「御殿」。天守は、物置きとして利用されることが多くなったようだ。

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備中松山城天守。天守としては珍しく囲炉裏が残っているのは、山城ゆえか?(kurutanx@Adobestock)

●天守は階段が急だ!

現存天守は築城時の姿を保っているため、階段もそのままだ。ゆえに、恐ろしいほど急である。

現代の階段の角度は35度くらいが多いが、現存天守の階段は60度以上。手を使わずに登るのは難しいので、手すりやロープが装備されている。

この急な階段だけを見ても、天守がお殿様の御殿などではなく、物見櫓の延長線上にあることが実感できる。

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松江城天守閣の内部風景(mtaira@Adobestock)

天守の最上階なんかに住んでいたら、あまりにも不便でいやになること間違いなし! そもそも天守には、厠や台所など、生活のための施設もないことが多いのだが。

お城マニア以外の一般人は、現存天守と再建天守の区別があまりついていないが、普通に歩いて登れる階段や、エレベーターがついた天守が、本物であるはずがない。

再建天守の多くは、昭和30年代の鉄筋コンクリート製。階段を見れば、一発で区別が付くので、注目してほしい。

●現存天守以外の天守たち

現存天守12城以外には、どんな天守があるのだろう。

・木造復元天守(5城)…木造で可能な限り忠実に再建されたもの。現在は木造以外の再建を文化庁が認めていない。掛川城(静岡県)など。

・外観復元天守(9城)…昭和30年代を中心に、外観のみ復元した、主に鉄筋コンクリート製の城。名古屋城や広島城、熊本城など。

・復興天守(13城)…かつては天守がその場所に存在したが、資料が残っていないなどの理由で、推定で再建した天守。大坂城や福山城など。

・模擬天守(52城)…もともと天守はなかったが、観光等のために造った天守。清洲城(愛知県)など。

現存天守以外でも、昭和30年代の鉄筋コンクリート製天守は、老朽化で風情が出てきている

●空襲等で焼けた8天守

太平洋戦争までは、全国に20の現存天守が存在したが、そのうち7城が1945年の空襲で焼け、戦後1城が失火で焼けて失われた。

・名古屋城…江戸城・徳川大坂城が江戸初期に焼失したため、江戸期の大半、日本最大の天守として威容を誇ったが、名古屋空襲で焼失。戦後、鉄筋コンクリートで復元されたが、老朽化もあり、木造での再建が決まった。ただ木造では身障者用エレベーターの設置が困難であるなど、多くの問題が立ちはだかっている。

・岡山城…空襲で焼失。鉄筋コンクリートで再建。
・和歌山城…岡山城に同じ。
・大垣城…岡山城に同じ。
・水戸城(御三階櫓)…空襲で焼失するも、再建はされなかった。
・広島城…原爆により倒壊。鉄筋コンクリートで再建。
・福山城…空襲で焼失。鉄筋コンクリートで再建。
・松前城…1948年、失火により焼失。鉄筋コンクリートで再建。

20世紀中は、建築基準法等を満たすために、鉄筋コンクリート製でないと再建は不可能だった。

【画像ギャラリー】各城の歴史もご紹介! 清水氏厳選の12城をギャラリーでみる。(13枚)

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