いろいろな服を着て経験を積んできた50代におすすめのブランドを厳選。「エムティーモデリスト」の研ぎ澄まされたフォルムは熟練のパターンメイキングによるもの。シルエットの美しさ、動きやすさが格別。
mtmodelist【エムティーモデリスト】
卓越したパターン技術に感服。美しいシルエットが生み出す心地いい緊張感

コクーンシルエットを描くラグラン袖のブラックコート。袖口のギャザーと小さめのフードがスポーティエレガンスを体現。サロペットはワンピースのように見えるラップ仕様が印象的。やや張りのある上質ウールの特性を生かし、フレアのボリュームがありながらも服のラインはソリッド。ほかにない、辛口でモダンなスタイルをつくり上げている。
コート¥50,600・サロペット¥74,800・ニット¥35,200/エムティーモデリスト ピアス¥55,000・ネックレス¥101,200/エスケーパーズオンライン(ソフィー ブハイ) 靴¥172,700/セルジオ ロッシ カスタマーサービス(セルジオ ロッシ)
女性モデリストによる等身大のリアルなモード
ブランド名の「モデリスト」とは、パタンナーのこと。型紙を起こし、素材やシルエットに合った縫製、仕様を事細かに決めていく、いわば服の設計者。
佐々木幹子氏と田島香織氏、ふたりの女性モデリストは、ヨウジヤマモトやジルサンダーなど、それぞれトップメゾンで長年経験を積んできたベテランだ。ふたりが企画からデザインまで手がける服は、実際に袖を通したときのシルエットの美しさ、動きやすさが格別。
Aラインの服が、足を踏み出すとひと呼吸おいて優雅に揺れる様。コートやジャケットは、きっちりと肩のある形でも想像以上に着心地が軽やかなこと。これらは実際の服の成り立ちを現場で熟知するパタンナーの経験値とセンスによるものと、深く理解できるはずだ。
パターンメイキングに絶対的な自信があるからこそ、デザインは装飾性を控えたミニマルなスタイル。研ぎすまされたフォルムの美しさに、大人のおしゃれには、この心地いい緊張感が必要なのだと気づかされる。

ふたりの女性モデリストと、ブランドを統括するディレクター山谷政氏は全員50代。エクラ世代のニーズに応えた、等身大のモードをコンセプトに掲げる。
(右)初秋にすぐ着られる薄手ウールのコートとスカート。縫い代を細く設計することであたりを極力抑え、美しいフォルムをきわだたせている。コートはタートルをインする想定で作られ、ノーカラーのネックのあきや、肩から袖にかけての立体的なパターンなど、緻密な計算が効いて。
コート(共布ベルトつき)¥99,000・ニット¥35,200・スカート¥57,200/エムティーモデリスト
(左)カーブのついた切り替えにより、構築的なプリンセスシルエットが実現。これぞ熟練のパターンメイキングによるもの。動いたときに後ろすそに分量がたまるよう計算され、残像まで美しく演出。
コート¥99,000/エムティーモデリスト
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撮影/谷田政史(CaNN) ヘア/Dai Michishita(Sun and Soil) メイク/佐々木貞江 スタイリスト/徳原文子 モデル/RINA 取材・原文/三尋木奈保 撮影協力/バックグラウンズファクトリー ※エクラ2023年10月号掲載