
動向が注目される大谷翔平(ロイター=USA TODAY Sports)
それは権威ある投書と言えそうだ――。MLBでも屈指の敏腕記者として知られる「ニューヨーク・ポスト」のジョン・ヘイマン記者が18日(日本時間19日)、今オフFAとなるエンゼルス・大谷翔平投手(29)の移籍先候補としてかねて上がってきたメッツに獲得を見送ることが賢明であると指摘した。過去に数々のスクープを連発してきたヘイマン記者は、現在もニューヨークを拠点にMLBの核心情報に精通。精度の高さと先見の明に定評がある。
「メッツには大谷翔平と契約するよりも賢明な計画がある」――。大々的なタイトルが打たれた記事で、メッツのチーム事情に詳しいヘイマン記者の主張は明確だった。「メッツは今、投手を必要としているが、オータニはほぼ確実に2024年には投げられず、おそらく25年にもあまり投げることはできないだろう」と、右ヒジ手術を控える大谷が投手としてはすぐに戦力になれない点を指摘。今夏、来季以降に向けたチーム再建策の一環として、ともに「サイ・ヤング賞」3度獲得の二枚看板、バーランダー(アストロズ)とシャーザー(レンジャーズ)を放出した球団が、その穴を早急に埋める必要性を訴えた上で、優先順位を誤るべきではないとの論調を伝えた。
メッツの今季総年俸はメジャー史上最高額を大幅に更新する3億5000万ドル(約517億円)を超えて、MLBトップを誇った。率いるのは、20年にチームを買収した大富豪のスティーブ・コーエン氏。毎オフ巨額の資金を投入する名物オーナーで、補強費は青天井とも言われてきた。だが、ヘイマン記者は「コーエン氏にも限界がある」とし、オーナーが際限のない補強を望んでいないという内情を明かした。
メッツは今月12日に球団史上初の編成本部長としてデービッド・スターンズ氏を5年契約で迎え入れることを発表。ブルワーズでGM、編成本部長を歴任した同氏は、資金をかけずに安定したチームをつくり上げ躍進を導いてきた。コーエンオーナーはハーバード大出身の秀才フロントマンを引き抜き、これまでにないチーム改革にかじを切ったことを内外に示したばかりだった。
ヘイマン記者は名門球団の変化の兆しを読んだ上で「先発投手2人の確保」「中継ぎ陣の強化」「チーム運用の幅を広げる強打者の獲得」「絶対的主砲・アロンソとの再契約」を羅列。大谷が東海岸を本拠地とする球団へのFA移籍を望んだ上で獲得に至れば、劇的にチームが生まれ変わることを理解しながらも、メッツがそのストーリーに固執することが強化の即効性と安定性で賢明ではないとの考えを示した。
また、ヘイマン氏は先発補強の項目で今オフ有力投手が市場に豊富に出る点を強調。その中でオリックス・山本由伸投手の名前を列記して、注目度の高さをうかがわせた。
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