ナデシコクラゲの飼育成功 深海の空き缶から発見

ナデシコクラゲの飼育成功 深海の空き缶から発見

  • テレ朝news
  • 更新日:2021/04/08
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クラゲといえば、ふわふわと水の中を漂ってかわいらしい不思議な生き物。
最近では見るだけで癒しになると水族館で特集が組まれることも多い。
ただ、クラゲがどのような生涯をおくるのかは十分にわかっていない。
謎が多いその生態を知る手掛かりになるのかもしれない研究成果が発表された。

◆311の翌年 岩手沖の深海で…
発表したのは北里大学の三宅裕志准教授らの研究チーム。
日本で見つかったことのない深海クラゲ「ナデシコクラゲ」のポリプ(幼生)を東日本大震災の翌年に岩手沖の深海で見つけ、増殖させることに世界で初めて成功した。

◆ポリプとは
クラゲを理解するうえで欠かせないのが「ポリプ」だ。
ポリプはイソギンチャクのように岩などに付着している。
花のようなひらひらとした部位からクラゲを生み出す幼生状態を指し、分裂を繰り返して増殖する。
泳ぎだしたクラゲは成長し、オスとメスで有性生殖をしてポリプのもととなるプラヌラを産み、プラヌラが岩などにつき、ポリプになる。
つまり…
クラゲ→卵・精子→プラヌラ→ポリプ→クラゲ
これを繰り返している。
クラゲのポリプを自然界で見つけるのは非常に難しいという。

◆空き缶の表面からポリプが発生
2012年、海洋研究開発機構の潜航調査で岩手県沖の水深1127mの海底でビールの空き缶が回収された。空き缶の賞味期限は1984年5月。いつからその場所にあったのは分かっていない。
三宅准教授は回収された空き缶に、どんな生き物が付着しているのか確認するため水槽に入れ、プランクトンを与えて観察。しばらくすると、ポリプが増え始めた。
この時点ではクラゲの種類はわからなかったという。

◆世界初の快挙
ポリプから生まれたクラゲを育て、形態を観察し、さらに遺伝子解析を行った結果、ナデシコクラゲと判明した。
ナデシコクラゲは、これまで日本で発見されたことのない品種だった。
これまでアメリカのモントレー湾水族館研究所が、水深300~550mで採取した個体から繁殖に成功した例はあったが、ポリプからの増殖成功は世界初だ。
その後、丁寧に増やしてきたナデシコクラゲは6日から藤沢市の新江ノ島水族館や山形県の鶴岡市立加茂水族館で一般公開されている。
また、北里大学相模原キャンパスにある海洋生命科学部のミニ水族館「北里アクアリウムラボ」でも展示されているが、こちらは新型コロナの影響で、一般には公開されていない。

◆震災を乗り越えて
北里大学の海洋生命科学部は、かつて岩手県大船渡市の三陸キャンパスを研究の拠点にしていた。三陸キャンパスは東日本大震災で大きな被害を受け、拠点は相模原市に移った。
三宅淳教授らは、「ふるさと」の海に流れ込んだ大量の災害ごみを見てクラゲの生育環境にどのような影響を及ぼすか調査を始めたという。

◆“海底ゴミ”が生態系に与える影響
クラゲのポリプには岩のような安定した足場が必要だが、深海には岩などが少ない。
三宅准教授は、今回の研究で海底ゴミがポリプの足場になっていること、さらに、私たちの生活からでたゴミが、遠く離れた深海の生態系にも影響を与えている事実が明らかになったとしている。
こういった新事実は、今後、震災で大量に発生した災害ごみや防潮堤などの工事が海の生物に長期的にどんな影響を及ぼすのかを調査するうえでも大きな参考になるという。

(社会部 山内陽平)

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