朝倉未来「引退宣言」でブレイキングダウンはどうなる? 「バカ発見器」と言っていた青木真也の意外な本音

朝倉未来「引退宣言」でブレイキングダウンはどうなる? 「バカ発見器」と言っていた青木真也の意外な本音

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  • 更新日:2023/11/21
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引退を示唆している格闘家の朝倉未来

19日、YA-MANに“77秒KO負け”を喫した朝倉未来。試合後は“引退宣言”とも取れる発言をしたことで、今後の去就が注目されている。朝倉といえば、登録者300万人超を誇る人気ユーチューバーで、1分間格闘技「Breaking Down(ブレイキングダウン)」をプロデュースしCEOを務めることでも知られる。だが、その人気の一方で、格闘家たちからは辛辣な批判があることも事実。もし朝倉が格闘家を引退したら、ブレイキングダウンはどうなるのか。過去にブレイキングダウンを「バカ発見器」と指摘していた格闘家の青木真也に“本音”を聞いた。

*  *  *

――YA-MAN選手と朝倉選手の一戦をどう見ましたか。

見た人の楽しみ方が問われる試合でしょうね。「YA-MAN選手が勝った」とみるのか、「朝倉選手が負けた」とみるのか。どの視点に立つかによって見え方が違ってきます。こういう試合だった、という正解はなくていい。なんでも答えを出したがる時代ですが、さまざまな視点から想像することが大切だと思います。

――朝倉選手といえば人気の「ブレイキングダウン」をプロデュースしたことでも有名ですが、いわゆるヤンキー同士がリングで戦うことに対して「格闘技の未来がなくなる」など、格闘家や元格闘家から批判の声も出ました。

僕はブレイキングダウンを否定しようとは思いません。選手がブレイキングダウンを批判するのって、滑稽だしダサいですよ。自分のやっていることに自信がないんでしょうね。銀座の高級すし店が、小さな子どもがいる家族が行くようなチェーンのすし屋を「あんなものはすしではない」なんて批判しませんよね。自信があれば批判は必要ないんです。

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かつてメイウェザーとも対戦した朝倉未来(2022年9月)

■ブレイキングダウンとは「フィールドが違う」

――「ヤンキーが輝く時代になった」との批判もありました。

ああいうものがあってもいいと思いますよ。ブレイキングダウンによって救われている人は間違いなくいるはずですから。

――救われている、とは?

不良だからイカン、と言いたい人もいるのでしょうが、じゃあブレイキングダウンのような場がなくなったら、彼らは余った力をどこに使うのか。良からぬ方向に使わないとも限らないですよね。そういう意味では、ブレイキングダウンは社会に有益だと思いますし、そもそも不良からプロの格闘家になったとか、チャンピオンになった話って昔からあったじゃないですか。格闘技って、そうした不良たちにとってのセーフティーネットの役割もあったはずなんです。

――青木さんは、格闘技とは「芸事」で「アート」だともおっしゃっていますが、ブレイキングダウンはその範疇に入りますか。

まったく別物、フィールドが違いすぎます。大きな意味では格闘技に入るとは思うし、人気なのは事実ですから、格闘技を名乗って格闘技への関心を集めてくれるのは、まわりまわってありがたいとは思いますけどね。

――青木さんは「バカ発見器」と動画でおっしゃっていましたが、格闘技ファンの方からも、あれは違うとの声が出ています

別物過ぎて腹も立ちません。ブレイキングダウンがやっていることは「それっぽい」で、僕がやっていることは「それ」なんです。大切なのは「解像度」です。ブレイキングダウンはこだわりがないから、ぼやけている。僕は一つ一つの作りを大切にしたい。ブレイキングダウンを見れば、逆に違いが分かってもらえると思っています。

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格闘家の青木真也

■敗戦試合は「だめな盛り上がり方」だった

――動画の再生数など、数字と言う点ではブレイキングダウンは成功しています。

今はなんでも再生回数がいくらとか、フォロワーが何人だとか、ページビューがどうとか、目先の数字ばかりを追いますよね。ブレイキングダウンの、ある選手と会ったことがありますが、どう伝えるか、どう拡散するかという能力は非常にたけていると感じました。ただ、もちろん拡散も大事ですが、僕はそんな動画やSNSを見てもまったく面白いとは思いません。その人にしかできないことや、その人にしか言えない言葉ではなく、大衆にウケようとしているだけですから。僕が目指しているものとは全く違います。

――朝倉選手の去就に注目が集まっています。

一流アスリートは、人によっては選手生活の終盤になると、負けることで誰かを輝かせることが続きますよね。それが嫌で引退する人もいる。朝倉選手はそのあたりの損得がちゃんと見える人だと思うので、引き際は分かっているんじゃないでしょうか。ただ、今回の試合は、試合前はあまり盛り上がらず、朝倉選手があんな負け方をしたことで一気に話題になった。だめな盛り上がり方だということは、朝倉選手が一番わかっていると思います。

――青木さんは、今後、どう盛り上げていきたいと考えていますか。

いいものを見せる。そして、それが分かる客と一緒に、「ムラ」をていねいに作っていくことが大切だと考えています。

(AERA dot.編集部・國府田英之)

國府田英之

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