
泉房穂前明石市長
兵庫県明石市には、廃墟のようになった旧明石市立図書館があります。土地を所有しているのは兵庫県、建物を設置したのは明石市です。
図書館は1974年に開館し、その後2020年3月に閉館することとなりました。以後3年間使用されることはなく、立ち入り禁止の看板が設置され、建物周辺には草が生い茂るなどの廃墟のような状態となってしまいました。
図書館の閉館を受け兵庫県は明石市に対し、2023年3月末までに原状回復し土地を返すよう求めていました。
■維持費が年間300万円

置いておくだけでも市民の税金が使われる
しかし、建物の解体費用は約8億円がかかるというのです。このことがネックとなり問題が先送りになってきましたが、置いておくだけでも警備費用など年間約300万円の費用が、税金から出て行きます。
【明石市民の女性】
「お金がそんな、むだなところに使われているのはどうかと思います」
【明石市民の男性】
「子どもたちが遊べるスペースがあったらいいんじゃないですか?スポーツができる環境とか」

明石市 丸谷聡子市長
2023年5月に就任した明石市の丸谷市長は、解決に意欲を見せました。
【明石市 丸谷聡子市長】
「市民の皆さんにとって喜んでいただける整備に向けて、県と市が連携をして進めてまいりたいと考えております」
兵庫県の斎藤知事も、丸谷市長と電話で今後の方針を確認したとアピールしました。
兵庫県と明石市が、共に問題解決へと一歩踏み出そうとしたその時、明石市の前市長、泉房穂さんのSNSでの一言で、関係者が凍り付く事態となりました。
■前市長のSNSでの発言が市政に影響を

泉房穂前明石市長のSNSでの発言
【泉房穂前明石市長(旧ツイッター X)】
「斎藤知事から明石市に本日お詫びの電話があったとのこと。悪いのは、明石ではありません」
政界を引退した泉房穂前明石市長が、土地活用が進んでいないのは「兵庫県側が悪い」ということをにおわせる内容をSNSに投稿しました。
斎藤知事は「投稿内容が事実と違う」と明石市に文書で抗議しました。
【兵庫県 斎藤元彦知事】
「お詫びやお礼をした事実はございません。それが誤った内容でSNSを通じて数十万人の方に拡散したという形になりますから、恐ろしいことであり大変遺憾なことだと思っています」

明石市 丸谷聡子市長
さらに議会が問題視しているのは、斎藤知事と丸谷市長との電話の内容が泉前市長に”漏れている”ということで、「丸谷市長」か、「斎藤知事からの電話を受けたときに部屋にいた明石市の幹部」のどちらかが、泉前市長に話したのではないかという疑惑に発展しました。
9月14日の明石市議会本会議で、答弁がありました。
【明石市 丸谷聡子市長】
「前市長とは一切お話しはしておりません」
【同席していた 高橋啓介政策局長】
「私ではございません」
では、誰から情報が漏れたのか?
■明石市庁舎に盗聴器が?

明石市庁舎に盗聴器が?
このことから、明石市庁舎に盗聴器が仕掛けられているのではないかという疑惑が生まれ、9月15日の委員会で明石市庁舎に“盗聴器が仕掛けられていないか”調べるとの決定が出る事態となってしまいました。
関西テレビが18日、泉前市長に真相を聞きに行くと、カメラは回さないことを条件に、こう答えました。

泉房穂前明石市長
【泉房穂 前明石市長】
「盗聴なんてするわけないやろ。電話内容を取材した複数のマスコミ関係者から聞いた。市長時代からの自分の感情が入った。ただ、直接話を聞いたわけちゃうから、不確かな情報だったっていうのは反省しています」
泉前市長のSNSの一言で市の情報管理体制まで問われることになった図書館問題ですが、兵庫県と明石市は協力して問題を迅速に解決できるのでしょうか。

県と市が協力してほしい
今回の騒動は、関係者から話を聞いた泉前市長が、自身が市長時代に兵庫県と対立していた背景もあって拡大解釈をしてしまい、SNSで「兵庫県から謝罪があった」と投稿してしまったというものです。その後、泉前市長は「不確かな情報だった」と認めました。
「盗聴器による調査」の話が出ていますが、泉前市長自身が投稿内容の不確かさを認めている今となっては、県と市が協力して、旧図書館のよい活用方法を考えることが、市民が願うところのようにも思われます。

具体的な活用方法は未定
旧明石市立図書館の跡地の活用については、具体的な活用方法は未定としており、今後スムーズに話が進んだとしても、新施設のオープンは2026~2027年度を目標にすることになるそうです。閉館から6年間も年間300万円の維持費に税金を使いつつ、跡地が使用できない状況が続くということです。住民のためにも早急な対応が求められます。
(関西テレビ「newsランナー」2023年9月19日放送)
関西テレビ