【スペシャル対談】葉月(lynch.) x 河村隆一、先輩・後輩という関係を超えたヴォーカリストが構築する信頼関係

【スペシャル対談】葉月(lynch.) x 河村隆一、先輩・後輩という関係を超えたヴォーカリストが構築する信頼関係

  • BARKS
  • 更新日:2020/10/16
No image

lynch.のフロントマンである葉月が去る9月16日、自己初となるソロ・アルバム『葬艶-FUNERAL-』を発表。そもそもはアルバム制作という計画すらなかったところから生まれたこの作品は、バンドでの彼とは違った一面を垣間見られるばかりではなく、このヴォーカリストがそもそも持ち合わせていた個性やその根源にあるものなどを伝えつつ、彼の音楽的遍歴を示してくれる〈証拠〉のような作品でもある。
そしてご存知の読者も多いはずだが、このアルバムには「Ray」、そして同梱のライヴ映像には「FOREVER & EVER」というLUNA SEAの楽曲のカヴァーが収録されている。しかも葉月は自身の歌い手としての根源に、RYUICHIの存在があることを全面的に認めており、RYUICHIの側もまた彼のポテンシャルの高さを認め、今現在の両者は先輩・後輩という定型的な関係を超えたものを築きつつあるようだ。今回は、そんな両者が9月下旬のある日、都内某所で繰り広げた会話の一部始終をお届けすることにしよう。ヴォーカリストを目指す人たちにはもちろんのこと、そうではない人たちにとっても、きっとこの先の人生に向けて意味のある言葉を、この先の1万5,000字を超えるやりとりの中に見つけていただけることだろう。

■すごい歌が歌えた、伝えられたという瞬間がある
■そのために生きてるようなところがあるんですよ

――改めての確認です。読者の中にはお2人の繋がりを知らない人も多いと思うんですが、昨年の夏には<RK presents Children of the New Age~新時代の子供達へ>というイベントで同じステージに立っています。それ以前からも繋がりはあったんですか?

河村隆一(以下、RYUICHI):あれよりも前にもちろん、第二回の<LUNATIC FEST.>(2018年)で一緒になったりとか。それに葉月は、すごく勉強熱心なんで、勉強のためにLUNA SEAのリハーサルを観に来たりもしてるんですよ。そういう機会にやっと、ちゃんと話すことになるんです。やっぱりフェスの時ってなかなか一人一人とは濃い話ができないじゃないですか。もちろんライヴは観ますよ。だけど自分たちの準備のタイミングもあるから全部は観れるわけじゃないけども、葉月のパフォーマンスはちゃんと観ていたし。そうやってライヴとかを観に来てくれてる時に挨拶に来てくれたり、そこでちょっと喋ったりして、人となりを知っていくというのがありましたね。あのイベントの前にね。

葉月:そうですね。<LUNATIC FEST.>の2日目の帰り際だったかな。RYUICHIさんに「またソロでも名古屋に来られることがあったら観にうかがっていですか?」という話をさせてもらって。その時は「うん。……ところでなんでわざわざ名古屋に観に来るの?」と言われて。

RYUICHI:そうそうそう、そこがわかんなかったから(笑)。

葉月:名古屋在住なんです、と(笑)。それを言ったらすごく驚かれて、「じゃあもうせっかくだから連絡先交換してよ」と言ってくださって。で、ある日、あのイベントのお誘いを直接メールでいただいたんです。

――RYUICHIさん側の第一印象としては〈勉強熱心な後輩〉みたいな感じだったわけですね?

RYUICHI:うん。やっぱり僕らの世界っていうのは、気になるバンドがいても、なかなか自分のことが忙しくて、億劫で足を運べないという事実があるんです。知り合いになると、「いつ、何処そこでこういうことがあるから来れたら来てね」とか、お互いにそういうメールをするようになるんですけど、知らないバンドだと訊きづらいじゃないですか。ただホントは自分のほうから訊いたほうがいいのは僕もわかっていて。いろんなバンドのいろんなタイプのヴォーカリストを見れば、絶対、自分にはないものを持ってのを見付けられるはずだし。そういった発見を通じて刺激をもらうことは絶対に必要なことだとも思っているから。

――実際、初めてlynch.のライヴに触れた際の葉月さんのヴォーカルにはどんな印象を?

RYUICHI:イメージとしては……野性かな。

葉月:おお!

RYUICHI:獣感(けものかん)がある。

葉月:はははは! 確かに吠えますしね。

RYUICHI:そうそうそう。映像とかを検索したりはするんですよ、事前に。イベントでも一緒になるし、どんなことやってんのかなって。そこでやっぱり〈吠える〉という感じがあることに気付いて。たまたま僕自身も、ホントに歌を始めたばかりの十代前半の頃に、吠えるという感覚で音楽を始めたという自覚があったので。そこはすごく……

――かつての自分の姿を重ねて見るようなところが?

RYUICHI:ありましたね。たとえば……デカい声で歌うと、歌えないキーとかいっぱい出てくるんですよね。同時に当初は、自分が裏声で歌っていてもそれに気付かないというのがあった。それこそ両親とかと一緒に車の中にいて、そこで流れてる曲を歌ってると女性キーでも全然歌えちゃうわけですよ。ただ、その曲を実際、地声でバーンと張って歌おうとすると全然出なかったり。葉月は世代的にもちょっと下だけど、僕なんかの時代って、ヘヴィ・メタルとかがブームだったこともあって、ハイトーン・ヴォーカルっていうのが絶対だったじゃないですか。そのハイトーンというのも、今の自分が聴けば、これは裏声と地声をミックスして出しているシャウトだな、というのがわかるんですけど。

――いわゆるミックス・ヴォイスというやつですね?

RYUICHI:そう。だけど当時はいかに怒鳴るか、いかにデカい声を出すかが重要みたいなところがあったし、そこでたとえばオオカミのように吠える、というか……。実は滑らかじゃないですか、オオカミの吠え方って。「ワオ~ン」という感じでね。ああいう滑らかさを持った叫びをあげたり吠えたりするっていうことが、当時の僕にとっての目標点だったんです。誰にも習えないことだったけど。それができたらきっと、こういう曲も全部綺麗に歌えるようになるんだろうな、というのがあった。

――今の発言から、改めてRYUICHIさんの基盤にあるものを知った気がします。

葉月:そうですね。

No image

――オオカミの叫びの滑らかさ。すごく腑に落ちました。葉月さんの場合は、下調べや検索をするまでもなくLUNA SEAのこと、RYUICHIさんの歌声のことを幼少期から知っていたわけですよね? それこそ<LUNATIC FEST.>のような機会に初めて一緒になるとか、そういった時にはどんな心境でしたか?

葉月:そりゃもうヤバかったですよ(笑)。正直な話、第一回の<LUNATIC FEST.>(2015年)があった時も、内心〈誘い、来い!〉とずっと思ってたんです。〈来い、来い、来い!〉と念じていました(笑)。自分で言うのもおこがましいんですけど、自分たちなら選ばれてもいいはずだ、と思っていたんです。ただ、その時には選ばれなかったんですよね。それがすごく悔しかった。ただ、呼ばれなかったということは、自分たち自身がまだまだということなんだから、そこはもう黙って、lynch.自身がが放っておけない存在になっていくしかないと思って頑張っていたんです。そういう流れを経たうえで第二回の時にお声掛けいただいたわけなんで、どういう心境かって言われたら……どういう心境なんでしょうね?(一同爆笑)もう、めちゃくちゃ嬉しかったです。

――僕自身、2015年当時の葉月さんが悔しがっていたのを憶えています。そのぶん第二回の時の嬉しさが半端じゃなかったというのもあるわけでよね?

葉月:はい。もう嬉しかったとしか言いようがないですね。

――葉月さん自身はそもそもRYUICHIさんをどのように見えていたんでしょうか?

葉月:ホントに若かった当時というのは、まだ何もよく自覚できていなかったと思うんですけど……これまた言うのもまたおこがましいんですが(笑)、まさに今の僕の歌い方の基礎になっています。RYUICHIさんの歌い方、声の出し方、ヴィブラートの感じであったり、しゃくり方、声の切れ方とか、そういったRYUICHIさんの歌い方のテクニックが、僕にとっての基本になっているんです。正直、完全に真似していた時期もありましたし、いろんな憧れのヴォーカリストはいるんですけど、自分にいちばんフィットする歌い方だなと思いました。

――自分の素質を伸ばしていくうえでいちばん相性のいいお手本というか。

葉月:はい。とはいえべつに打算的な感じではなかったんですけど、好きで真似していて、いつのまにか染み付いていたという感じではあります。それをファンの方に指摘されたりもしますし、特にクリーンの歌い方に影響が出てるというのはすごく言われますね。で、今、こうしていろんな知識を身に着けたうえで改めて〈どういうヴォーカリストだと思うか?〉ということになると、やっぱりすごいのは、まわりの他の方と比べた際の圧倒的なスキルの高さ。テクニックの質が明らかに高い。もちろん他の方が低いって言ってるわけじゃないですけど。で、イベントでご一緒させていただいた時に、その謎がちょっと解けたところがあって。単純に言うと、めちゃくちゃストイックなんですよ、ご自身の歌に。今、このレベルにあってもなお。ライヴが終わったりリハが終わったりすると、まず「葉月、俺、大丈夫だったかな?」と訊いてくださるんです。当然、「は?」と思いますよね(笑)。だから実際、「大丈夫に決まってんじゃないですか!」という会話がよくあったんですけど。そりゃそんだけ自分のこと厳しく見てたら、あの域まで行くよなって思いました。その、去年の夏のイベントの時に。

――そこで改めてRYUICHIさんのストイックさをまざまざと見せつけられた、と。

葉月:そうですね。この位置にいてなおあのストイックさをまだ保てている人というのは、なかなか僕は見たことがないので。僕からするとやっぱりそこがすごい。

RYUICHI:なんか褒められすぎで、これから発言しにくくなるよね(笑)。

――ただ、ストイックに取り組んでいる、という自覚は少なからずあるはずですよね。

RYUICHI:それは多分、心の中に臆病さっていうものがあるからで。あとはやっぱり、神経質な部分もあるのかもしれないな、聴こえてくるものに対して。自分で歌いながら「ああ、三行目のこの言葉のピッチがぁ!」とか思いながら7行目とかを歌ってる時とかもあるからね(笑)。「駄目駄目、今考えてちゃ駄目、今ライヴなんだから集中しなきゃ駄目だ!」とかって自分に言い聞かせることになるんだけど。

――臆病、神経質。それがストイックさの裏側にある、と?

RYUICHI:そう。やっぱり「うわあ、今、すごいことができた」っていう瞬間が、多分、俺にも葉月にもあるんですよ。それはでも、ライヴが5本とか10本とかあるうちのほんの一瞬だったりするんです。

葉月:そう、一瞬なんですよね。

RYUICHI:すごい歌が歌えた、伝えられた、という瞬間がね。ホントに綺麗ごと言うわけじゃなく、お金を払ってまで観に来てくれてる人たちがいて、そこで歓声をあげてもらってるわけで、そこが自分のいちばん輝かなきゃいけない場所だってわかってるし。結局、その瞬間を獲得したいからこそ僕も葉月もアーティストになったわけで。その中で、本当に自分が感動できる瞬間をファンと共有する、というのかな。そのために生きてるようなところが、どこかあるんですよ。毎回は無理なんです。ただ、自分に点数を付けていくというのはつまんないことだけど、瞬間的に何かが起こる時があるんです。ある時はピッチやリズムといったものを凌駕するほど感情的になったり、想像してない自分になっちゃうみたいなこともね。「あれ? 俺ってこんなにエキセントリックだったんだっけ?」「俺ってこんなに乱暴だった?」というようなこともあれば「こんなに優しかった?」って自問したくなる瞬間もある。たとえば葉月も、ソロのライヴとかで歌いだしの柔らかいところで、「あれ? 葉月ってなんか悪の匂いがしてたけど、めちゃくちゃ天使のように優しいじゃん」と思わされることもあれば……

葉月:ははははは!

RYUICHI:また、その逆もあるわけですよ。歪んだ、ミッド・ロウのシャウトとかね。そういうところもすごく素敵だし。だからやっぱり、これは自分探しなんですよ。まだまだ終わらないんでしょうけどね。

No image

――お客さんと自分が同じ場所、同じ時間に絶頂を共有するためには、自分を常に超えていかないといけないところがあるわけですよね。

RYUICHI:そうなんです。だからこそまわりから見るとストイックということになるのかもしれない。精一杯だし、毎回そこに行けるわけじゃない。スポーツ選手で言うところの〈ゾーンに入る〉みたいなものなのかどうかはわかんないけど。lynch.の場合にもあると思うんですよ。何年のこのライヴのこの時のこの叫びはヤバい、とか。その記憶をファンの人たちが共有していて、本人もそれを共有できていたら最高じゃないですか。これから長く続いていく中でそういうポイントがいくつも作れていったらいいと思う。もちろんそれは、僕にとっても同じことですけど。

――そうした自己最高到達点まで行けていたかどうか。そこに疑問を持つことが自分を高めていくことになるし、それが「今日の俺、大丈夫だった?」という言葉にも表れているわけですよね。

RYUICHI:うん。たとえばリハでもライヴでも、それを訊かなかった時にはちょっと自分の中で「あの瞬間、良し!」とか思ってるところがあるのかもしれないし。ちょっと話が脱線しちゃうけど、葉月の魅力についてさっき野性と言ったけども、獣の血が騒いでるような葉月のパフォーマンスでありながら、実は結構緻密なんですよね。それは彼自身がコンポーザーでもあるからだと思う。一緒にイベントを作った時も「ここのアレンジはこうしましょう」とか、すごく引っ張ってくれる。僕もそういうタイプだからすごく楽というか、話が早いというか。「これをやってみよう」「いいね」という感じでやっていける。その中で俺が勝手に思うのは……緻密に繊細に憶病に、ホントに正確に歌おうって思うのは大事なことじゃないですか。職人としての魂の部分というか。ただ、そうは思っていても突然「あ、月を見ちゃった」っていう瞬間にオオカミになっちゃうみたいなこともあるわけですよ(笑)。ライヴ中にすべての概念とか、ピッチやリズムの正確さといった尺度が、瞬時にして壊れてどこかに飛んでいく瞬間というのが、多分僕らに共通してるヴォーカリストの何かなんじゃないのかな、と思うんだけど。

――ヴォーカリストだけが味わうことのできる特殊な絶頂感、みたいな。

RYUICHI:うん。もちろん他のメンバーにもあるかもしれないですけどね。

――ただ、月を見た瞬間にオオカミになるのが許されるのは、そこまでに積み上げておくべき基礎なり技術なりが安定している人に限られているはずだと思うんです。

RYUICHI:そうですね。やっぱり安定感がなかったら、完全にそういった概念とかを忘れるのは無理かもしれない。最初からラフな感じの、説得力とか味で売るアーティストの場合はちょっと違うのかもしれないけども。だけど実際、彼の音楽は緻密だからね。

――確かに葉月さんは自分で作曲して歌うわけで、設計図と結果の関係を大事にしたいところはあるはずだと思うんです。

葉月:そうですね。元々はめちゃめちゃ僕も几帳面だと思います。自分の歌に対して、「ああ、今外したな」とか「ちょっとリズムが良くなかったな」とか、結構敏感に気付いてしまう。最終的にそういった緻密さというのを、お客さんが求めてるかどうかはわからないですけど。でも、さっきの言葉を借りするなら、確かに職人魂というか、そういうのはある。ただ、それゆえなのかどうかはわからないですけど、どうでも良くなる瞬間というのもある。次の日にもライヴがあるってわかっていても、「もういい! どうなっても知らない!」という感じでドカンと行きたくなる時があったり。あれは一体何なんでしょうか?(笑)そういう時は僕も当然気持ちいいですし、絶対お客さんにとっても気持ちいいポイントだと思うんです。かといってずっと壊れてたらいいのかっていえば、絶対そういうことではないので。

◆インタビュー(2)へ

No image

■歌と少ない楽器の中で自分がどこでいい乱れ方をするか
■1月のライヴでは、最後の「ETERENITY」で訪れたんです

――翌日のことを考えずに突き抜けてしまおうと思っても、そこで理性や自制心が働く部分があるわけですよね。野性を解き放つこととそれを天秤にかけるというか。そこでの折り合いをつけるのも難しそうですね。

葉月:まずその日の自分の歌があんまり良くなかったら、そこに行けなくないですか?

RYUICHI:うん、行けないよね。やっぱり、いろんな満足が積み重なっていかないと、そこには行けないかもしれない。

――つまり、明日のことまで考えずにいたいと思えているということは、その日の自分が本当の絶頂に近付けている証拠。だとすればそこは野性に任せたほうが良かったりも?

葉月:僕はそうしてますね、正直。自分の歌に酔いしれて、「今日の俺、最高。カッコいい!」っていうマックスの状態を超えた時に僕はそうなるのかもしれないです。あとはまあ、ファンとのやりとりの熱の高さとかももちろんありますけど、そこで納得できてない状態で最後まで行っちゃうと、多分その状態に達することはないですね。

RYUICHI:今の答えですごくはっきりするのは、つまり、自分のなかで満足するクオリティに達しないと、何かを与えられてないんじゃないかって感じることになるんだと思う。僕もそうだし。だから結構、葉月もストイックだってことだと思いますよ。

――ストイックさと臆病さ。掛け離れているようでいて実はすごく近い関係にあるんだな、ということも興味深いです。

RYUICHI:うん。多分、ナルシシズムとかストイックさ、臆病さ、それから、何かを破壊してしまうほどの瞬間的な爆発力みたいなものっていうのは、根っこにあるスタート地点がおそらく一緒だと思うんですよね。多分その裏表でひとつのキューブみたいになっていて、お互いが支え合っているというか。たとえばそこで葉月が、オペラ歌手のようになりたいのかっていえば、それは違うだろうと思うんですよ。ただし、やっぱり、外タレでも誰でもやっぱりすごいんですよね。ピッチだったり、音の抜けとか、ヴォーカリストとしての〈ああ、この音域でこんなに声が抜けていくんだ、この人〉みたいな驚きがあるというか。でもその裏側で、彼らも実はすごくいろんなことをやってると思うんですよ。

No image

――海外の人たちは生まれつき身体の構造が違うから、みたいなことを言う人たちもいると思います。でも、そうじゃないんですよね。

RYUICHI:うん。そう思うんです。だって絶対、ミック・ジャガーの話とかを聞いていてもめちゃくちゃストイックじゃないですか。ポール・マッカートニーだってあの年齢で、全世界であんなにツアーをやってきて。まあ確かに全盛期の頃に比べれば声は枯れたかもしれないけど、あんなに歌ってるんですよ。

――70歳を超えてドーム公演で何時間も、というだけでも驚異的ですよね。

RYUICHI:そう、2時間でも3時間でもやれちゃうじゃないですか。あれはストイックじゃなきゃ絶対できないことだと思うんです。

――そういう意味では大半の歌い手にはそういうところがあるし、努力していることを公言していなくても実はストイックじゃないと務まらないというのがあるわけですよね。ところでRYUICHIさんは葉月さんのソロ公演にも足を運んだそうですけど、その時の印象の違いというのはどうでしたか?

RYUICHI:あれは……去年の年末?

葉月:いや、今年の1月ですね。

RYUCHI:ああ、そうか。正直、僕、葉月のパフォーマンスについてはまったく心配もしてないし、そこに葉月が出てくれば、もうそれですべて整ってくると思ってるから、そんなに細かいところは聴いていないんですよ。なんかそういうのは嫌だし。

――審査員じゃあるまいし、みたいな?

RYUICHI:そう。だけどそこで観たいのは、何をトータルで伝えたかったのかなとか、そういう部分で。やっぱりロック・バンドから少し離れて、オーケストレーションであったりとか、アンプラグドとか、ピアノと2人とか、和太鼓が出てくるとかいろんなシーンがあるわけですけど、弦との絡みにしても何にしても、ロック・バンドのファンというのはやっぱり勢いとか爆発力、疾走感やグルーヴを求めてるところがある。そこで、敢えて心のざわざわするようなところから始まって、ずっとざわざわさせられていった先になんと和太鼓が出てくる、とか(笑)。なんか、そういう大きな流れ……。4小節でわかるビートではなくて、ホントにもう何曲も何曲も続いていってからわかる「ああ!」みたいな。千何百小節目で、この物語はこうなっていくのね、みたいな景色の移り変わりがある。ロック・バンドのライヴの場合、1日の景色とか1年の四季をホントにたった2時間に収めてしまうところがあるんだけど、葉月のソロのライヴに対する僕の印象は、夕暮れ時から太陽が落ちて星が見えてくるまでみたいな感じとか、真夜中から朝方に向かっていく感じとか、そういう感じがしましたね。

葉月:カッコ良過ぎますね、なんか(笑)。

RYUICHI:いや、めちゃめちゃカッコ良かったよ。あとやっぱり、僕もやっているからわかるけど……まあ、試されるよね、ああいう場では。

葉月:いやホントに。

RYUICHI:やっぱり楽器もそんなに派手なことをしてくれるわけじゃないから。バンドの場合と違って、音圧や音量ありきのものではないので。その時の……それこそMC、少し笑わせるMCとかも含めて、そういうひとつひとつのことが、やっぱり舞台のような…….

――バンドの時以上に、葉月さんを主人公とする物語のように見えてくるわけですよね。オペラやミュージカル的に仕立てられたものではなかったとしても。

RYUICHI:そうですね。これは僕自身、ノー・マイクで教会でのライヴなんかをやりながら、ひとつ信じてる部分でもあるんですけど、ロックよりもロックな歌を歌わなきゃいけない場所というのがあると思うんですよね。

葉月:ああ、すごくわかります。

RYUICHI:今回の葉月のアルバムもそうだし。ホントにロックよりもロックな歌というのが感じられる瞬間が散りばめられてるな、と思ったんですよ。そういうものがないと、ただただ綺麗なばかりのものに……。ただ綺麗なものになったら、あの曲のこの箇所のピッチが良かったとか、あそこのリズムが良かったとか、声がすごく艶やかだったとか、そういう一般的な音楽の感想だけで終わってしまうんだけど、そうじゃなくて「あそこはグサッと来たよ」みたいな。それが彼の歌詞の世界だったり、パフォーマンス、歌には絶対あるから。それが先日のソロ・ライヴだったり、彼のニュー・アルバムが何を言わんとしてるかっていう部分ではないか、と。まあ僕は、勝手に思ってる部分がありますね。

葉月:確かにそうだなあと思いました。ホントに綺麗に歌ったら、そのまま終わってしまうんで。基本的に歌にしても楽器にしても、メロディ以外のものがあまりないライヴというか。勢いだとか、ファンの熱とか、空間に充満する熱気みたいなものはないじゃないですか、基本的には。そこで、歌と少ない楽器の中で、自分がどこで……壊れると言ったらアレですけど、いい乱れ方をするか。それが1月のライヴでは、最後の「ETERENITY」という曲のラストで訪れたんです。あそこはもう酷くて、ピッチももう全然合ってないし……。

RYUICHI:いや、そんなことはなかったよ。ただ、その感情の振れ幅がさ、もう自分で制御できなくなって、自分っていう身体のハコから感情が暴れ出すような瞬間だったんじゃないのかな。そこでリズムとかピッチが少しぐらいどうにかなろうが、聴いてる側はそんなことまったく考えてないね。

No image

――葉月さん自身も歌っている最中にそう感じていたわけじゃないはずで。

葉月:そうですね。歌ってる最中はもう「行ってまえ!」という感じで、ピッチもリズムも無視して、もっと別のものを掴みにいった感覚がありました。

RYUICHI:そうだよね。

葉月:でも、その「行ってまえ!」という感覚になった記憶がちゃんとあったんで、自分でも楽しみだったんですよ、そこで自分がどんだけぶっ壊れたのかが(笑)。

――そのさまを、のちに映像チェックなどの段階で確認することになったわけですね。

RYUICHI:でも、壊れたのって意外といいでしょ?

葉月:そう……ですね(笑)。

RYUICHI:そんなに気にならないんですよ。やっぱりなんか、一本筋が通ってるんだよね。不思議なことでもあるけど、壊れた瞬間っていいんです、本気の場合は。そこで芝居で壊れるようになっちゃうと多分また違うタイプになっちゃうんで。それは野性じゃなくて、飼育された獣になってくるから。やっぱり天然の、野に放たれている獣感というのはあるよね。もしかしたら経験上、自分で野性に切り替わるボタンを押すぐらいのところまではもう来てるかもしれないけど、本当にそういう瞬間が来る。

葉月:そうですね。

――ある意味、葉月さんのソロ公演は、歌との付き合い方というのを改めて考えさせられるようなステージでもあったはずだと思うんです。そんな時に客席を見上げればRYUICHIさんの姿が、という環境でもあったわけじゃないですか。葉月さん自身としてはそれも緊張感に繋がったところがあったんじゃないですか?

葉月:ああ、そうですね。もちろんご自身のことをあれだけシビアな目で見られてるんで、僕らからするとRYUICHIさんの「ちょっと悪かったかな」はもう悪いに入んないんですよ(笑)。それぐらいの耳を持たれてる方に観られてるわけですから、そりゃあもう「恥ずかしい!」ぐらいの気持ちはあるんですけど(笑)。でも、あの日はなんか不思議とそこで臆病にはならず、RYUICHIさんが観てらっしゃるから、ヤバい、俺なんかが……とは全然ならなくて、「観ててくださいよ!」ぐらいの感じでできた記憶はあるんですよ。“「FOREVER & EVER」の時とか、特に。

――今まさにそこを訊こうと思ってたんですよ。当時者を前にその曲を歌うことになった場面で「ヤバい。今すぐ曲順変更したい」とはならなかったんですね?

葉月:ならなかったです(笑)。

RYUICHI:もうメールでもね、事前に知らされていたんで。でも葉月、全然あれですよ。「何月何日、空けておいてくださいね。俺、何処そこでライヴですから来てください」みたいな。そんなふうに声を掛けてくるんで。

葉月:いや、そんなラフじゃないですよ(笑)!

RYUICHI:いや、でもそういうのが僕は嬉しいんですよ。なんて言うんだろ。彼の距離感というのが、なんか、昔から知ってた仲間みたいな感じがやっぱりあるから。そういうところはやっぱり素直に嬉しいですよね。まあ、僕はやっぱり……葉月は唯一無二の存在だと思っているんで。葉月は僕に影響されてるみたいなことを言ってくれているけど、僕だって影響されてきた人はいるし、それはそれで置いておいて、やっぱり彼のパフォーマンス、彼の声、彼の楽曲とかというのは唯一無二と言っていいと思う。もうそういうものを確立してる人に、いちいちお互い言葉は要らないのかもしれないですよね。

――助言を与えたり、鑑賞する必要すらも?

RYUICHI:何かを訊かれたりとかしたら、気になったことはもうポイントとしては言うし、もちろん葉月もこういうやつなんで「どうでした?」「今日はちょっと行き過ぎてましたかね?」とか、そういう話は楽屋裏ではするんです。で、「全然全然」とかよく言うんだけど。まあ、そこでホントに気になることがもしもあったりすれば、たとえば「音響的にこうだったんじゃないか?」みたいなことを言うことはあるけども、当事者でもない人間があんまりあれこれ言うのも変な話なんで。あくまで自分の耳にはそう聴こえてるけども、というレベルのことしか伝えられないから。

――でも実際いかがでしたか? 葉月さんの歌う「FOREVER & EVER」は。

RYUICHI:良かったですよ。

葉月:……良かった(安堵の表情)。ははは!

RYUICHI:まず、僕の声じゃない時点で僕にとってはすごく新鮮だし。さらに、ああいうアレンジでLUNA SEAがやったことはないから。そういうのも含めてとても良かったですよ。

葉月:自分的にも結構納得はできてたんで。「よし、恥ずかしくない歌が歌えたぞ」というのはあったんです。

◆インタビュー(3)へ
◆インタビュー(1)へ戻る

No image

■独自性、葉月にしかできないことを続けていくことが第一
■やり続けていったら人が放っておかなくなると思う

――今回のアルバムには「Ray」も収録されています。こうしたカヴァーを聴いたり、自分自身やLUNA SEAからの影響を感じられる歌や音楽を耳にすることってあると思うんです。そんな時、どんな気分になるものなんですか?

RYUICHI:……どうだろう? 嬉しいな、とも思うのと同時に、僕が好きだったアーティストをこの人も好きなのかな、と思うかもしれない。僕、若い子たちによく「大好きなアーティストは誰?」って訊くんです。で、答えが返ってくると今度は「そのアーティストが好きなアーティストが誰だか知ってる?」って訊くんです。で、真似するならその先祖のほうを真似しなさいって言うんです。好きなアーティストはずっと聴いてていい。敢えて意識しなくても勝手に真似ちゃうものだし、追い駆けようと思ってなくても仕草から何から真似してしまう部分が出てきてしまうものだから、それはそのままでいい。ただ、誰にでもかならず先祖がいるわけじゃないですか。そっちまで掘り下げていくと、もしかしたら大好きなアーティストの横でそのアーティストの話ができるかもしれないよって言うんです。

葉月:ああ、なるほど!

RYUICHI:しかも、そうすることですごくオリジナルになりやすいと思うんですよ。僕、音楽にパクりってもの自体がないと思ってる人間なんですね。ホントにメロディをそのまま抜いて持ってきたら駄目だけど(笑)、コード進行なんてもう出尽くしてしまってどれも似たり寄ったりになってしまってるし、そういう意味では声をパクるのも無理だし、パフォーマンスをパクるのも無理。もちろん、大好きだから誰々のライヴでのオープニングの登場の仕方を真似するとかね。70年代のデヴィッド・ボウイがこんなふうにしてたから俺もそんなふうに、みたいなのはあるかもしれないけど、それは「ああ、ファンなんだな」ってクスッと笑えるところだから置いといて(笑)。

No image

▲『葬艶-FUNERAL-』【数量限定豪華盤】

No image

▲『葬艶-FUNERAL-』【通常盤】

――しかも真似してみたところで完全に同じにはなり得ないわけですしね。

RYUICHI:そうなんですよ。そこで、たとえばジョン・レノンが大好きな人に影響されたなら、ジョンが大好きだったエルヴィス・プレスリーとか聴いてみればいいし、その人とプレスリーの話をするようになれたら面白いしね。

――確かに好きなアーティスト、影響を受けたアーティストと、共通するルーツの話ができるというのは面白いですね。

葉月:うん。

RYUICHI:いいですよね。

――なんだか連載企画にしたいくらいです。葉月さんはそういう意味ではどうですか? たとえばLUNA SEAをはじめとする同じ時代のバンドから受けてきたのはとても直接的な影響。その前を遡ってみたりすることで腑に落ちたりすることというのも、なくはないはずで。

葉月:そうですね。やっぱり僕の好きなヴォーカリストのほとんどにとっての共通項だったのがDEAD ENDなんですね。だからDEAD ENDは聴きましたし、なるほどな、と思いました。しかもそれぞれの方に違う形でMORRIEさんに通ずる色というのが出ていたんで。思いきっり出てる方もいれば、むしろ見た目の部分での影響が大きいケースとかもある。そういうのは面白かったですね。

RYUICHI:MORRIEさんを好きになるとね、ロニー・ジェイムズ・ディオとか、THE MISSIONとかTHE THEとかを聴いてみたり。そうやっていろいろとインタビューとかで名前が出てくるものをとりあえず聴いてみる、みたいな。そんな頃が僕にもあった。

――全然違うものが出てきたりすることに驚かされたりする。

RYUICHI:そうなんですよね。でも、MORRIEさんはソロでもバンドでもいろんな音楽をやられてるから。そこが面白いというか、すごく……ああ、こういった部分はここから影響を受けているのか、みたいな。そういう感覚的なところが見えてくる。

No image

――さて、こうしてお話を聞いていても、お2人の間には年齢やキャリアを超えたところでの信頼関係というよりは同朋意識みたいなものを感じさせられます。そういうものを感じられる人とそうじゃない人というのはいると思うんです。その違いって何なんでしょうか?

RYUICHI:やっぱりそこはもしかしたら……僕ももちろん人間なんで、自分勝手に人との出会いだったり友情ってものについて、どこかで線引きしてしまっている部分というのもあると思うんですよね。僕自身、大人になって感じたことがあって。さっきも共通項の話をしていましたよね? 吠える、突き抜ける、壊れる、とか。で、大人になると、学校がないんで、同じ場所にはもう通わなくなる。ライヴも個々にやってるわだし、なかなか打ち上げを一緒にやる機会もなくなっている。ライヴハウスで対バンをやってた頃は、その対バンの仲間たちとしょっちゅう飲んだり、先輩たちとも後輩たちとも一緒にいて、そこで見つけられた共通項から学ぶ部分というのがあったわけですけど……。で、やっぱり今も人と人を繋ぐのは、何かしらの共通項なんでしょうね。何かそういうものを感じた時に、なんか面白そうな子だなとか、俺もなんか学ぶところがあるかもなとか思いながら、近付いていくことになるんじゃないのかな、と。それがまったくない相手とはと、多分連絡先を交換しても連絡しないままいつのまにか終わっていっちゃうんだと思うんですよ。

――確かに昔は無条件に先輩や後輩、複数のバンドが同じ場にいて話をする機会が多かったけども、それが減ってきているぶん、自分のアンテナに引っかかる共通項を追った人がいれば自分から接触したくなる。興味を持てない相手というのは、すなわちそのアンテナに引っかかってくるものがない、ということですよね。

RYUICHI:そういうことだと思いますね。ただ、それはホントに自分の趣味性においての共通項の有無でしかないかもしれないし、それが見つからない人たちにだってホントは才能があるんだと思うんですよ。僕がすべての人たちの才能のバロメータではないわけなんで(笑)。だけど、多分、お互いが同じサークルに入ろうとしないというのはそういうことなのかな、と思いますよね。

――同じ輪に入る、つまり何か共通項を持つことによって、重なる部分について話す機会を持ったり、一緒に波に乗ってみたり。

RYUICHI:うん、そういうことだと思います。

――葉月さん、サーフィンはどうですか?

葉月:いや、僕はむしろゴルフをやりたいんです(笑)。趣味としては釣りをやってきたんですけど、最近あんまりやってないんですよ。出掛けにくいという事情もあるんですけど、いつも行っていた琵琶湖が、いろいろと変化があって、もう釣れなくなってきちゃっていて。ゴルフを始めた方って皆さんものすごく没頭されるじゃないですか。ということはやっぱりそれだけの魅力があるんだろうっていう興味がすごくあって。で、RYUICHIさんもやっている。これは打ちっぱなしから始めてみようかな、なんて思っているんです(笑)。

RYUICHI:ゴルフはね、いいよ。

葉月:僕、小学生の時に実はやってたんですよ。

RYUICHI:なーんだ。じゃあ絶対に上手くなるね。

葉月:ホントですか? 家族がみんな当時やっていて。今はもうやってないんですけどね、お爺ちゃんとか、お婆ちゃんとか。

RYUICHI:葉月は普段から走ってるじゃん? それでまず、第一段階クリアというか。というのもゴルフってすごく歩くから、それに疲れちゃうっていう人はまず駄目なんです。そこの心配は葉月の場合、あらかじめないわけだからね。

葉月:なるほど。ちなみに小4の時に180ヤード飛ばしていました。

RYUICHI:ということは、その打った時の記憶もあって感触が残ってるわけでしょ? じゃあもう全然OKだよ。

――自転車を漕げたり泳げたりするのと同じで、身体が憶えているということですか?

RYUICHI:うん、そういうことです。

葉月:ちょっと練習しておきます(笑)。

No image

――もはや深みに嵌まっていきそうなのが見えつつありますが、ゴルフの話の続きはこの対談終了後に是非(笑)。さて、今後の話なんですが、まずRYUICHIさんの側から葉月さんに対して、もちろんlynch.での活動も含めての話なんですが、今後、どうあって欲しいと考えていますか?

RYUICHI:僕としては、世の中が多分、放っておかなくなると思うんですよね、葉月たちを。もっともっと欲される時代が来るはずだと思う。僕はマーケティングをやってるわけじゃないから、ちょっとこれは合ってるかどうかわからないですけど、今って何でもすごく細分化されていて、その人が好きなものに辿り着くプロセスがすごく短くなってるじゃないですか。YouTubeでも何でもそうですけど、簡単にそこに繋がれる。昔はレコード店で「こんなバンドの話を聞いたんですけど、あります?」と訊くことから始まって「じゃあこれも聴いてみなさい」って2枚買わされる、みたいなのがあったわけですけど(笑)。今は目的とするものに対してのアクセスがすごく速くなっているから、lynch.や葉月の独自性を伝えていく作業、もちろんCDバブルの時代のように広く一般にたくさん聞いてもらうための活動をしていくべき部分もあるはずなんだけど、それ以上に、マニアックなという意味じゃなくて、独自性、葉月にしかできないことを続けていくことが第一だと思う。それをやり続けていったら、もう勝手に人が放っておかなくなると思うんですけどね。

――つまり、このまま突き進んでいくべきだ、と?

RYUICHI:うん。だからもっと尖った部分を……。それは極端に歪んだ音でやるとか速い曲をやるとかそういうことじゃなくて、ホントにlynch.にしかできない、葉月にしかできないことをやっていけば、「何か彼らはすごいことやってるらしいよ」というのが広まっていくはずだし、たとえばそういう言葉がLUNA SEAのメンバーを通じて僕の耳に入ってきたりしたら嬉しいし。そういう革新的なことを打ち立てられる人っていうのは、やっぱ天才だと思うから。まあ葉月は天才だからね。

葉月:えっ!?(笑)

RYUICHI:いや本当に。だから、できるんじゃないかな。

――葉月さん、天才という言葉が出ましたよ!

葉月:いや、もう、なんと答えていいんだか(笑)。

――要するに、そういう独自のことができているんだという自負を持って進んで行けばいい、ということですよね? それが絶対に人を振り向かせることになるんだと信じながら。

RYUICHI:うん、そういうことです。

――逆に葉月さんとしては、RYUICHIさんにこれから先、どういう先輩であって欲しいと願っていますか?

葉月:やっぱりいちばん最初にも言った、自分に対して厳しさを持ったスタンスというのを……。この先にそれをどういう形で続けていかれるのか、みたいな部分ですよね。年齢的なことというのも、もっと聞いてみたくて。僕は今、38歳で、40代が近付きつつあるんですね。人生およそ80年と考えたら、半分じゃないですか。で、今までというのは、できなかったことができるようになっていく40年だった気がするんです。だけどここから先って、逆のような気がするんですよ。

――つまりこれまでできたこと、せっかくできるようになったことを、どうやって維持していくかがテーマになってくる、と?

葉月:うん。やっぱり年齢を重ねてお爺さんに近付いていくにしたがって、できることっていうのは減っていくだろうな、というのはあると思うんです。

RYUICHI:フィジカルな意味ではそうだよね、体力面とか。

葉月:ええ。だけど現状ではRYUICHIさんにそんな傾向は少しもあるようには見えないんで(一同笑)。それをどこまでも維持していただきたいというか。なにしろ維持どころか上がってるわけですから、今現在もなお。

――言い換えれば、人間がどこまで上昇し続けられるものなのか手本を示してください、ということでもあるわけですか?

葉月:そうですね。その秘訣みたいなものも、是非お聞きしたいですね。

RYUICHI:だけど葉月の場合、フル・マラソンを走ったりもしていて、結構そういうことをやれてるわけじゃん? そういう人は大丈夫だと思うよ。それを止めさえしなければ。野球でもサッカーでもゴルフでも何でも、ストイックにやり続けている人は大丈夫だと思うし、特に歌というのは、肺とか呼吸が大事だから、走るのはすごく大事だからね。だからこの先もずっと走り続けてたら、多分、そんなに体力の衰えを感じることなく進んで行けるんじゃないかと思うけどね。ただ、そこで病気しちゃったりして半年休むとか、そういうことがあると筋肉も落ちやすくなってくる。そういうことがあると流れが変わってくる危険性があるけど。

――そういう予期せぬ出来事があった時の対処のあり方が鍵になってくるケースは実際多そうですね。さて、老後に向けての話はともかく(笑)、RYUICHIさん自身もまだご自分のピークの状態みたいなものを確認できていないところがあるはずで……。

RYUICHI:そうですね。いまだにホント、身体のことで言っても、ジムに行って、それまでやれなかったことをやろうとして、やれた時に喜んでる人生が続いてるんで(笑)。もっと言えば、18歳ぐらいの時に、今の最先端の運動力学をちゃんと知ってトレーニングしていたら、なんかすごいことができてたんじゃないかなと思うようなところすらあって。

――葉月さんとしてはRYUICHIさんに、常に前を走っていて欲しいところでしょうし、この先へと導いて欲しいところでしょうし……そのためにもまずはゴルフですかね!

葉月:ははは! やっぱりそうですかね。

RYUICHI:ゴルフとジムだね。ジムでは、強力な重さとかに最初から臨む必要はまったくないから。やれることから始めればいいんで。ときどき僕と一緒に運動してしまったために身体を壊す人もいるんだけどね。SIAM SHADEの栄喜みたいに(笑)。だから彼は冗談で〈被害者の会〉とか言っていますけど(笑)。

――この先、葉月さんが被害者の会ではなく、同好会の上級会員になれるよう祈っております。

葉月:お願いします(笑)。またこの話の続きを、近いうちにどこかで。

RYUICHI:もちろん、喜んで。

取材・文・構成:増田勇一

撮影:冨田味我

リリース情報

『葬艶-FUNERAL-』
2020.09.16 Release
【数量限定豪華盤】
品番:KICS-93949
価格:¥10,000+税(CD+BD)
【通常盤】
品番:KICS-3949
価格:¥3,000+税(CD)
【収録曲】
<CD>数量限定豪華盤・通常盤共通
01.ETERNITY(lynch.)
02.PHOENIX(lynch.)
03.D.A.R.K.(lynch.)
04.軽蔑(葉月)
05.密室(BUCK-TICK)
06.水鏡(Cocco)
07.月のしずく(柴咲コウ)
08.Ray(LUNA SEA)
09.至上のゆりかご(黒夢)
10.Another day comes(Pay money To my Pain)
11.玉響の灯(完全新曲)
<Blu-ray>
「HAZUKI 20TH ANNIVERSARY 奏艶」~2020.1.19 MIELPARQUE HALL~
01.軽蔑(葉月)
02.D.A.R.K.(lynch.)
03.CRYSTALIZE(lynch.)
04.THIS COMA(lynch.)
05.密室 (BUCK-TICK)
06.街路樹 (尾崎豊)
07.くちづけ (黒夢)
08.水鏡 (Cocco)
09.月のしずく (柴崎コウ)
10.PHANTOM(lynch.)
11.FOREVER & EVER (LUNA SEA)
12.Another day comes (Pay money To my Pain)
13.PHOENIX(lynch.)
14.ETERNITY(lynch.)
・MUSIC VIDEO
・インタビュー
・オーディオコメンタリー
※豪華スペシャルパッケージ仕様・フォトブック付き

ライブ・イベント情報

●葉月
<FACE TO FAITH>
10月25日(日)日比谷野外大音楽堂

●河村隆一
<Ryuichi Kawamura Live2020>
11月14日(土)中野サンプラザホール

<Ryuichi Kawamura Billboard Live 2020>
11月28日(土) Billboard Osaka
12月5日(土)Billboard Tokyo
12月6日(日)Billboard Yokohama

関連リンク

◆lynch. オフィシャルサイト
◆河村隆一 オフィシャルサイト

◆インタビュー(1)へ戻る
◆インタビュー(2)へ戻る

この記事をお届けした
グノシーの最新ニュース情報を、

でも最新ニュース情報をお届けしています。

外部リンク

  • このエントリーをはてなブックマークに追加