5時間未満の睡眠時間の高齢者、認知症発症と死亡率上昇のリスク

5時間未満の睡眠時間の高齢者、認知症発症と死亡率上昇のリスク

  • Forbes JAPAN
  • 更新日:2021/02/24
No image

アルツハイマー病やその他の認知症を抱える成人は、米国だけでも600万人近くにのぼる。また、米国では2050年までに、1600万人の成人がアルツハイマー病とともに生きるようになると推定されている。

そうした認知症や全般的な死亡率に、睡眠不足が関係している可能性がある。この知見は、ブリガム・アンド・ウィメンズ病院とボストン・カレッジを拠点とする研究チームにより、2021年2月発行の「エイジング」誌で発表された。

研究チームは今回の研究にあたり、国民健康加齢傾向調査(NHATS)のデータを分析した。この調査は、メディケア(高齢者および障害者向け公的医療保険制度)の加入資格を持つ米国の65歳以上の人を対象に実施されているものだ。

この長期的調査には、睡眠時間(一晩あたりの時間)、入眠潜時(毎晩、眠りに落ちるまでに要する平均時間)、日中に昼寝が必要かどうかなどの項目が含まれている。また、日中に注意力を保つことが難しいかどうかや、認知症の発症、5年の調査期間における全死因死亡率(原因を問わない死亡率)も調査された。

研究チームは、調査対象群から成人2810人(平均年齢76歳)のデータを抽出し、睡眠障害、認知症、全死因死亡の関係を調べた。その結果、一晩の睡眠時間を5時間以下と報告した人は、7~8時間と報告した人と比べて、認知症発症のリスクが2倍になることがわかった。

毎晩の入眠までに30分以上かかる人は、認知症発症のリスクが45%高かった。睡眠不足を報告した人や、日中に昼寝が必要な人、日中に注意力を保つのが難しいと回答した人でも、5年の調査期間における全死因死亡率が高かった。

一方、先行する複数の研究では、睡眠の質の高さや睡眠時間の長さが、認知症発症率および死亡率の低下と結びついていることが示されている。「米国老年医学会ジャーナル(Journal of the American Geriatrics Society)」で発表された2018年の研究では、60歳以上の日本人1517人を対象に、10年にわたる追跡調査を実施した。その結果、一晩の睡眠時間が5~6.9時間の人では、調査期間における認知症発症率と死亡率が低いことがわかった。

睡眠は健康を保つうえで重要な要素だが、過小評価されることも多い。睡眠障害の例としては、成人の最大3分の1に見られる不眠症(眠りにつくのが難しい、もしくは眠れない)、睡眠時無呼吸症候群もしくはいびき、レストレス・レッグス症候群(むずむず脚症候群)、ナルコレプシー(居眠り病)などがあり、それ以外にも、睡眠に関連する病名は100種類近くにのぼる。

神経障害のある人は、睡眠障害を患うリスクが高くなる。そのため、前述の2件の研究でもそうだったように、相関関係と因果関係を見極めるのはまだ難しい。また、閉塞性睡眠時無呼吸症候群などの睡眠障害を患う人は、心血管疾患、肥満、2型糖尿病を発症する率が高く、その点も同様に死亡率の評価を難しくしている。

過去11カ月の新型コロナウイルス感染症パンデミックは、住宅事情の不安定化や、住む場所を失う事例の増加につながっている。そうした問題も睡眠不足に関係している。

脳の健康や長寿と睡眠の因果関係は、依然として実証が難しい。そのため、睡眠衛生に注目してさらなる研究を進め、成人後の生涯にわたって睡眠障害を評価して治療することは、高齢化社会において取り組むべき問題と言えるだろう。

この記事をお届けした
グノシーの最新ニュース情報を、

でも最新ニュース情報をお届けしています。

外部リンク

  • このエントリーをはてなブックマークに追加