「日本は『東京五輪』を開催しないほうがいい」...米大手紙コラムニストが“断言”するワケ

「日本は『東京五輪』を開催しないほうがいい」...米大手紙コラムニストが“断言”するワケ

  • 現代ビジネス
  • 更新日:2021/06/11
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日本は「東京五輪」を開催しないほうがいい

「東京五輪(オリンピック)は開催しないほうが日本らしいと思います」ーー。

東京五輪の強行開催へと突っ走る日本について、太平洋の向こうから、そう明言する人物がいる。米紙ロサンゼルス・タイムズのスポーツ・コラムニスト、ディラン・ヘルナンデス氏だ。

ヘルナンデス氏は日本人の母親とメキシコ系の父親を持つハーフ。アメリカで生まれ育ったが、母親が日本人であることから日本の文化にも精通している。

ヘルナンデス氏は「五輪は中止されなくてはならない。新型コロナ変異株拡大の最中、日本人は(五輪)ファンから(五輪)抗議者に転換しているからだ」と題するコラム(5月18日付)を執筆、今は、五輪の取材に行くロサンゼルス・タイムズの10人の記者たちと取材のための準備やミーティングを進めているところだ。それにもかかわらず、同氏は言う。東京五輪は開催しないほうが日本らしい、と。翻せば、その発言は“日本人ならば五輪を開催するな”にも聞こえる。

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東京五輪は開催しないほうがいい、と photo/gettyimages

ヘルナンデス氏がそうした見方をするのはなぜか。本人が言う。

「アメリカは経済最優先の国で、経済を回すことを最優先しています。例えば、アメリカの大学は、昨年はオンライン授業を行い、学内での授業は行われませんでした。それなのにアメリカンフットボールやバスケットボールなどのスポーツ試合は行われました。なぜかといえば行わないとテレビ放映料が入ってこなくなり、入ってこなくなると大学そのものが潰れてしまう可能性があるからです。

また、去年のNBAの試合は、フロリダ州で、バブル方式で無観客の中で行われましたが、それも契約通りにESPNやNBCから金を得るためです。五輪についても、お金を最優先するアメリカには開催して当たり前という雰囲気があります。一方、日本は必ずしもお金を最優先にはしない国だと思うんです」

米紙コラムニストが見た「日本人」

コロナ禍においてなぜか五輪開催を強行しようとしている日本政府が金=経済だけを何よりも優先にしている“金の亡者”に見える筆者にとって、ヘルナンデス氏のこうした見方は目からウロコだった。

同氏がそんな見方をする背景には、スポーツ・コラムニストとして、アメリカで活躍する日本人プレイヤーたちを取材してきた経験があるという。

「日本がお金だけを最優先にしない国であることは、例えば、エンジェルスの大谷翔平選手を見ればよくわかります。大谷選手が渡米したのは23歳の時でした。メジャーリーグでは25歳以下の外国人選手は年俸制限がかかるため、彼のエンジェルスとの契約金は2億5000万でした。当時、2年入団を待って25歳になれば200億を超える契約金が待っていると予想されていましたが、彼は夢を追うために200億を蹴ったわけです。

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お金より夢 photo/gettyimages

お金優先のアメリカ人の場合、こんな判断はまず考えられません。大谷選手にとってはお金より夢が大切だったのです。

テニスプレイヤーの錦織圭選手も五輪について『死人を出してまで行うことではないと思う』と発言しました。つまり、日本人にはお金よりも大切にしているモノがあるのです。日本はお金だけを優先する社会ではないことを考えると、僕としては、五輪は開催しないほうが日本っぽい、開催することは日本の文化に反することになるのではないかと思うわけです」

ヘルナンデス氏はワクチン政策にも日米の文化の差異を見出している。それは、迅速に行動するアメリカに対して、慎重に行動する日本という違いだ。

冷静すぎる日本の「弱み」

「アメリカはとにかくワクチン開発を急ぎました。FDA(米食品薬品局)は少しでも早くワクチンを開発しようとファイザー社任せにしました。慎重に物事を進める日本はそんな動きを憂慮したのでしょう、自国で治験を行う必要性を感じ、一歩一歩きちんと進めて行きました。それが、現在、五輪を開催する上で問題視されているワクチン接種率の低さに繋がっていると思います。

僕自身は日本のようにきちんと物事を進める国があってもいいとは思うのです。2019年夏に訪日しましたが、新幹線が1分遅れたぐらいでJRが謝罪していたのには驚きました。アメリカでは飛行機は遅れるのが当たり前です。

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物事をきちんと進める日本 photo/gettyimages

しかし、きちんきちんと進める日本の対応は平常時には強みになると思うんですが、新型コロナウイルスの感染拡大を抑制しなければならない緊急時では有効ではなかったのかもしれません。冷静過ぎる日本の対応は弱みになってしまったのではないでしょうか。

アメリカのようにアグレッシブな対応を取ることが急務だったのに、日本は急がなかったわけです。結局、それぞれの文化はその時々の状況次第で、良くもころぶし、悪くもころぶということではないかと思います」

一方で、東京五輪の開催について日本は“冷静な判断”を欠いてしまっていないか、と問いかけているわけだ。

そんなヘルナンデス氏いわく、このまま日本が五輪開催に突き進めば、日本の信頼が失墜する事態も起こり得るというのだ――。

【後編はこちらから】→『「菅首相が『東京五輪』を『中止』にする可能性はある」…米大手紙コラムニストからの“警鐘”』

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