公務員の退職金は本当に2000万円を超えるのか。勤続年数ごとに検証

公務員の退職金は本当に2000万円を超えるのか。勤続年数ごとに検証

  • LIMO
  • 更新日:2022/08/06

勤続年数が10年未満でも、定年退職なら数百万円に

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何かと比較されやすのが、「公務員と会社員どっちがいいのか」です。公務員の魅力は安定性にあると考える方も多く、その退職金も注目されますね。

公務員の退職金は2000万円以上あるという声も多いですが、本当にそうなのでしょうか。

今回は公的な資料を使いながら、公務員の退職金事情に迫ります。

勤続年数ごとの推移も確認してみましょう。

【一覧】公務員の退職金を退職事由ごとに確認する(出典・内閣官房)

国家公務員と地方公務員

公務員は、下記のとおり国家公務員と地方公務員に大別されます。

国家公務員(省庁職員、自衛官、大使、裁判官、国会議員、検察官等):約58.5万人

地方公務員(市区町村・役場職員、教員、警察官、消防官、自治体の議員等):約274万人

地方公務員は、国家公務員の約5倍。大半は地方公務員ということですね。

地方公務員は都道府県や市町村によって給与の出どころが違うため、給与水準や退職金に地域差があります。

ここでは国家公務員の退職金にフォーカスをあててみましょう。

国家公務員の退職金は2000万円を超えるのか

内閣官房「退職手当の支給状況」(2020年度)によると、国家公務員の退職金は下記のとおりです。

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出典:内閣官房「退職手当の支給状況」(2020年度)

常勤職員

計:1023万9000円(2万9641人)
内訳

定年:2142万1000円(受給者数:1万251人)

応募認定:2551万9000円(受給者数:1652人)

自己都合:299万4000円(受給者数:7019人)

その他:193万5000円(受給者数:1万719人)

※「その他」には任期制自衛官等の任期終了(常勤職員)や死亡等による退職が含まれる

常勤職員のうち、「行政職俸給表(一)適用者」(一般行政事務職員など)の退職金も見てみましょう。

うち行政職俸給表(一)適用者

計:1507万4000円(7140人)
内訳

定年:2127万9000円(受給者数:3760人)

応募認定:2276万円(受給者数:863人)

自己都合:384万9000円(受給者数:1290人)

その他:245万4000円(受給者数:1227人)

国家公務員の場合、定年退職ができれば2000万円の退職金が平均でもらえることがわかります。

国家公務員の退職金は、おおむね5年ごとに行う民間企業の企業年金や退職金の実態調査を踏まえ、見直しを実施することとなっています。

2021年においては、企業規模50人以上の全国の民間企業4万5605社から抽出した7562社を対象に、退職一時金及び企業年金の実態について調査が行われました。

退職給付(退職手当及び年金払い退職給付(使用者拠出分))の官民均衡を図るためです。

国家公務員の退職金は勤続年数ごとあがる

公務員の退職金は、勤続年数ごとに上がる傾向にあります。検証していきましょう。

常勤職員(平均勤続年数36年11月)

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出典:内閣官房「退職手当の支給状況」(2020年度)

5年未満:157万6000円

5年~9年:476万2000円

10年~14年:675万4000円

15年~19年:999万4000円

20年~24年:1207万5000円

25年~29年:1516万1000円

30年~34年:2043万5000円

35年~39年:2309万4000円

40年以上:2236万5000円

うち行政職俸給表(一)適用者(平均勤続年数39年0月)

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出典:内閣官房「退職手当の支給状況」(2020年度)

5年未満:68万9000円

5年~9年:425万7000円

10年~14年:765万5000円

15年~19年:1029万1000円

20年~24年:1368万9000円

25年~29年:1538万5000円

30年~34年:2022万1000円

35年~40年:2188万6000円

40年以上:2145万9000円

やはり、勤続年数と退職金額は比例関係にあることがわかります。自己都合よりも定年退職、さらに勤続年数を長くすることで、退職金が増えるといえるでしょう。

公務員の退職金は会社員より多いのか

公務員の退職金の相場がわかりました。では、会社員の退職金はいくらぐらいなのでしょうか。

厚生労働省公表の「退職給付(一時金・年金)の支給実態(平成30年)」から、学歴ごとに確認しましょう。

大学・大学院卒の平均退職金(管理・事務・技術職)

定年:1983万円

会社都合:2156万円

自己都合:1519万円

早期優遇:2326万円

高校卒の平均退職金(管理・事務・技術職)

定年:1618万円

会社都合:1969万円

自己都合:1079万円

早期優遇:2094万円

会社員の場合、大卒・院卒であれば2000万円に近い水準が貰えると分かりました。

さらに企業規模別にもみてみましょう。

「大企業」2511万1000円

中央労働委員会公表の「令和元年退職金、年金及び定年制事情調査(2020年)」より、資本金5億円以上かつ労働者1000人以上の企業を対象とした調査の中で算出された「モデル退職金」(学校を卒業後直ちに入社して標準的に昇進した者の内、大学卒、事務・技術労働者、総合職相当、定年退職に該当する者の退職金)を見ると、退職金は2511万1000円であることがわかります。

「中小企業」1118万9000円

一方で、東京都産業労働局公表の「中小企業の賃金・退職金事情(令和2年版)」によると、従業員が10人~299人の東京都内の中小企業を対象にした調査の結果、「モデル退職金」(卒業後すぐ入社し、普通の能力と成績で勤務した場合の退職金水準)から見る退職金額(退職事由が定年退職)は1118万9000円でした。

あくまで目安ではありますが、大企業と中小企業では1000万円以上を超える差があるようです。

公務員と会社員の比較では公務員に軍配があがりましたが、会社員は企業規模別や学歴の差が激しいです。

一概に比較するのは難しいでしょう。

退職金があれば老後資産は不要なのか

退職金においては、勤続年数ごとに上昇する公務員の安定性が魅力的に感じられます。

一方で、大企業に勤める方の退職金は、業績等によっては更に高みを目指せるでしょう。

しかし退職金の制度は今後も続く保証はなく、むしろ縮小傾向にあります。

公的年金の受給額も減少する昨今、iDeCoやつみたてNISAなどを利用する人や、貯蓄型の保険商品を活用している人も増えてきていますね。

「老後資金」といっても先のことに思えてしまいますが、まずは退職金の現実を知ることで、将来のお金について考えてみてはいかがでしょうか。

特に現役世代の方は、しっかり働ける今のうちから、老後に向けた資産形成が大切です。一度じっくり考えてみましょう。

参考資料

内閣官房「退職手当の支給状況」(2020年度)

厚生労働省「平成30年就労条件総合調査 結果の概況」

総務省「令和2年 地方公務員給与の実態」

中央労働委員会「令和元年退職金、年金及び定年制事情調査」

東京都産業労働局「中小企業の賃金・退職金事情(令和2年版)」

太田 彩子

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