国会乱入事件、トランプ弾劾でも、残る謎

国会乱入事件、トランプ弾劾でも、残る謎

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  • 更新日:2021/01/15
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(romeocane1/gettyimages)

1月6日に起きた、米連邦議事堂へのトランプ支持者らの乱入事件。5人もの死者が出て、国の安全保障上の問題にまで発展、国家安全保障対策部門のナンバー2であるポッティンガー氏が辞任を発表した。

それに続き、運輸長官のチャオ氏、教育長官のデボス氏、メラニア夫人のチーフスタッフであるグリシャム氏、ホワイトハウスの秘書官であるニシータ氏、広報副長官マシューズ氏など、政権から次々に人が去った。

ツイッターとフェイスブックはトランプ大統領のアカウントの永久凍結を発表、さらにフォードを始めとする米の大企業が次々に共和党やトランプ寄り、と言われる政治家への献金を見直すことも明らかにした。

トランプ大統領の個人的な弁護士を務め、選挙陰謀論を振りまいていたジュリアーニ元ニューヨーク市長に対しては、ニューヨーク州の弁護士協会が弁護士資格の剥奪を検討中だし、全米ゴルフ協会は2022年からトランプゴルフ場で開催していたPGAツアーを別のゴルフ場に変更する、とも発表した。

まさに政権から雪崩のように人が去り、トランプ包囲網はあらゆる分野に及んでいる。乱入事件の参加者がソーシャルメディア上で次々と特定され、職場から解雇されたり家族が脅迫を受けたりしているし、ツイッターはQアノンと呼ばれる結社の信奉者、とされる人々のアカウント7万件以上を削除した。

なぜ簡単に侵入できたのか? 自殺した警官、残る謎

しかしこの事件、ショッキングであると同時に不思議な事件でもある。まず、なぜ強固な警備が行われているはずの国会議事堂に、いくら一部が武装していたからといって暴徒が簡単に侵入することが出来たのか。

これについて、事件後の週末に警備にあたっていた警察官の一人が自殺していたことが報じられた。責任を感じたのか、同僚である警察官の一人が命を落としたことへの罪悪感なのか、理由は不明だ。

また、当初は議事堂の前でシュプレヒコールを上げながら行進していただけの人々が、なぜ突然乱入という暴挙に出たのか、何がきっかけだったのかのも不明だ。少なくとも乱入した人々の中で女性一人の死亡が確認されているが、なぜ突然に警察による銃撃が始まったのかも分かっていない。

退任後に罷免される?

とにかく事件により最もダメージを受けたのは他ならぬトランプ大統領その人だ。事件後には「1月20日には平和的に政権を移行する」というビデオメッセージを流し、同時に新大統領の就任式には出席しないことも表明。これは極めて異例のことだ。

そればかりか米下院は大統領の罷免を決議、これはペンス副大統領によって拒否されたものの、再び弾劾裁判への手続きに移行した。もっとも任期があと1週間であるため、弾劾は新政権発足後に行われる。すでに退任した大統領を弾劾、という、これも歴史に残るような出来事だ。飛ぶ鳥後を濁さずどころか世間から追い払われるような政権末期となった。

問われるソーシャルメディアの責任

しかし、事件のアフターショックのように次々に大統領批判と行動を起こす企業が増えているが、事件そのものの検証がなされるのはこれからだ。一部からは「ソーシャルメディアには責任はないのか」という声も上がっている。

その急先鋒はテスラ社のイーロン・マスク氏で、「フェイスブックは元々大学で女子の品定めをするために作られたメディアだ。私は以前から信用していない」と言及。同氏はフェイスブックアカウントを自ら削除し、「フェイスブックを利用しないよう」呼びかけたこともある。

最も過激なのは投資家のクリス・サッカ氏で、ツイッターに投資したこともある同氏はツイッターとフェイスブックのCEOを名指しで批判、「あなた方の手は血で汚れた」と発言した。意味するところは、トランプ政権下でソーシャルメディアをプラットホームとした様々な軋轢が生じてきたのに、このような事態になるまで手をこまねいていたためだ。

確かにソーシャルメディアには様々な弊害もある。迷惑ユーチューバーなどは、このようなプラットホームがなければそもそも登場しなかっただろう。今回の乱入もソーシャルメディアを通して呼びかけが行われていたが、その危険性についてツイッターやフェイスブックは警告を発してたのだろうか。

ひとたび事件が起きれば手のひらを返したようにトランプ氏を追放し、正義は我らにあり、とでも言いたげなツイッターやフェイスブックの態度への疑問も噴出している。これを機にソーシャルメディアに対する規制が一気に進む可能性もある。

しかしながら、結局民主党に利するだけの結果のように終わった今回の乱入事件、その経緯などへの疑問が解明されることはあるのだろうか。選挙後にトランプ支持者の暴動が起きる、と予想されており、それが不発に終わっていたことから警備の気が緩んだ、との見方もあるが、大国米国の国会議事堂の警備がこれほど手薄である、というのは驚きをもって受け止められた。そのため陰謀論まで出始めているが、大統領交代の門出がこのような形では、新政権発足も後味の悪いものとなるだろう。

土方細秩子

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