トランプ大統領はこうしてプラットフォームを失った、テック業界にとって前代未聞の歴史的な1週間を振り返る

トランプ大統領はこうしてプラットフォームを失った、テック業界にとって前代未聞の歴史的な1週間を振り返る

  • TechCrunch
  • 更新日:2021/01/12
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ここ数年間、テック業界はDonald Trump(ドナルド・トランプ)大統領を穏やかになだめてきた。しかし2021年米国時間1月6日に発生したワシントンD.C.の連邦議会議事堂襲撃の後、業界は一斉に大統領に対抗する姿勢を打ち出した。TwitterからPayPalまで多くの企業がトランプ氏に対して、また場合によっては関係者や支持者に対しても、サービスの利用に関して前例のない制限や徹底的な排除を課した。

ここ数日間、これに関するニュースが絶え間なく大量に報じられている。そこで本記事では、どの企業がいつ対抗策を講じたか、今後どのような展開が予想されるかをまとめる。

Twitter:永久追放し、代替となり得るアカウントも停止

Twitterはトランプ氏の発言が節度を失わないようにするにはどうするかという議論において重要な役割を担ってきた。同氏はTwitterを好んで使う傾向があり、@realDonaldTrumpアカウントには9000万人近くのフォロワーがいるからだ。Twitterはこれまでに同氏に繰り返し警告を発し、選挙の正当性に関する発言や誤情報にラベルを付け、不規則発言のツイートは完全にブロックしてきた。

しかし1月第2週、ツイッターの我慢は限界に達したようだ。1月6日に議事堂が襲撃された直後、Twitterは襲撃に関するトランプ氏のツイートに関してユーザーに警告を発する大きなバナーを表示し、リツイートできないようにした。数時間後、Twitterはトランプ氏の個人アカウントを12時間停止した。

当初は、通常の状況に戻るだろうと思われた。Twitterが米国時間1月7日午前中、暴力の扇動に関する同社のポリシーに違反すると考えられるいくつかのツイートを削除すればトランプ氏のアカウントを復旧することにしたからだ。同日、トランプ氏は最近の激しい勢いよりはややおとなしく感じられる動画を添付してツイートした。ビデオの中で同氏は大統領選挙の結果を受け入れることを初めて表明した。

しかしTwitterに対する外部からの、そして社員からの大きなプレッシャーによって、すぐに方針が変わった。米国時間1月8日の夜遅く、Twitterはトランプ氏を同社のプラットフォームから永久に追放することを決定したと発表し、@realDonaldTrumpのアカウントを凍結した。これに続き、同氏の選挙活動公式アカウントである@TeamTrumpや大統領の公式アカウントである@POTUSなどの関連アカウントをトランプ氏が利用できないようブロックし、同氏の個々のツイートを削除するなど、モグラ叩きのように対策を講じた。Twitterのポリシーには、ブロックされたユーザーは利用禁止を回避する目的で別のアカウントの使用を試みてはいけないと記載されている。

Twitterはトランプ氏の関係者や幅広いオーディエンスに対しても措置を講じ、Micheal Flynn(マイケル・フリン)氏、多くのトランプ氏支持者、QAnon(キューアノン)のさまざまな人物をブロックした。

まもなく新しい大統領が誕生し、公式の@POTUSアカウントはJoe Biden(ジョー・バイデン)氏の新政権に引き継がれるが、2016年のBarack Obama(バラク・オバマ)氏からトランプ氏への移行の時とは異なり、Twitterはこのアカウントのフォロワー数をゼロにリセットする意向のようだ。

トランプ氏自身に関していうと、同氏がメインで使ってきたプラットフォームからの永久追放には別の疑問が湧いてくる。同氏はこれから大言壮語や悪口雑言をどこで繰り広げるのだろうか?これまでのところ、同氏が別のソーシャルネットワークに活動の場を移した様子は見られない。しかしここ数年(Twitter上ではこの10年間)のことを考えると、同氏がゴルフコースにただ戻って静かにやり過ごすとは思えない。

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Snap:約半年前にオーディエンスの勢いをそぎ、今回は迅速にアカウントをロック

Snapは米国時間1月6日の議事堂襲撃の後、同日中にトランプ氏のアカウントをロックした。襲撃に対して迅速に対応できたテック企業の1つといえるだろう。Snapがアカウントをロックしたことにより、同氏はこのプラットフォーム上で約200万人のフォロワーに向けて新たな投稿をすることができなくなった。TechCrunchが把握している限りでは、ロックの措置はまだ続いているが同氏の公式プロフィールは現在も見ることができる。

ミネアポリスでのGeorge Floyd(ジョージ・フロイド)氏の死をきっかけに起きたBlack Lives Matterの抗議行動の後、Snapは2020年6月、同社が内容を選んで掲載する「Discover」タブからトランプ氏のアカウントを削除することで同氏のアカウントの拡散や発見を制限すると発表していた。

トランプ氏はSnapのプラットフォームを効果的に利用していたわけではなく、また無期限でアカウントが停止されているため、同氏が今後Snapを本拠地にすることはなさそうだ。

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FacebookとInstagram:「期限未定」で短・中期的な利用停止か

FacebookはTwitterと並んでトランプ氏の支持者に人気があり、右派有名人の多くが利用する(Twitterの「Facebook’s Top 10」アカウント)プラットフォームでもある。ここ数年、報道機関はFacebookの穏健な対応を厳しく追及してきたが、Facebookはトランプ氏に対して直接的な行動に出ることをほとんど避けてきた。1月第2週までは。

米国時間1月6日に暴徒が議事堂から退場すると、Facebookは暴力を助長していると考えらえるトランプ氏の動画を削除した。1月6日の夜遅くになって、同社はついにポリシーの適用を拡大し、3300万の「いいね!」やフォロワーがついている同氏のアカウントを24時間停止した。同社は、トランプ氏が複数回にわたってポリシーに違反したため24時間の停止が自動的に発動したとしている。同時にFacebook(とInstagram)は議事堂襲撃に関連するトレンドのハッシュタグをブロックする措置を講じた。

米国時間1月7日朝、Mark Zuckerberg(マーク・ザッカーバーグ)氏はFacebook上での個人としての投稿で、トランプ氏の利用を最低でも2週間、「期限未定」で停止すると発表した。2021年1月20日正午に実施されるバイデン次期大統領の就任式あたりまでは停止の措置が延長されることになる。

就任式の後はどうなるだろうか。それは現時点ではわからない。トランプ氏のアカウントは停止されてはいるが無効になってはいない。従って同氏が自分のページに新しい内容を投稿することはできないが、現在もFacebookユーザーは同氏のページを見られる状態だ。Facebookは、政権移行が完了したら停止措置を解除するかもしれないし、措置を長く続けるかもしれない。Facebook上でのトランプ氏の存在は大きく、同氏の支持者にも非常に人気のプラットフォームであることから、Facebookは攻撃的なコンテンツの禁止と、収益にとって重要なユーザー維持との間でこれまで以上に難しい板挟みになっている。

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ShopifyとPayPal:eコマースのプラットフォームはトランプ氏の公式商品を当面販売しない

トランプ氏のオーディエンスをブロックしたのはソーシャルネットワークだけではない。eコマース大手も同氏に対しプラットフォームの節度を守る行動をとっている。米国時間1月7日、Shopifyは同氏の選挙活動グッズと個人ブランドの両方についてストアを削除したと発表した。

Shopifyは数年前にプラットフォームの節度を守るための対処はしないとしていたが、最近では2018年に右派系のストアをいくつか削除するなど、問題があると考えられるストアを削除している。今回の対応はこうした方針が進展したものだ。

PayPalは1月第2週に、議事堂襲撃を支援する資金の支払いをPayPalで調整していたトランプ氏支持者グループのアカウントをいくつか無効にした。PayPalが政治的なアカウントを停止する動きは増えている。2019年には極右の活動家を、2017年にもバージニア州シャーロッツビルでの暴力的な抗議行動をきっかけに多数の極右団体のアカウントを停止した。TechCrunchが調査できる限りでは、アカウントの停止は今のところトランプ氏自身には及んでいない。

トランプ氏の著名な個人ブランドや同氏が大統領になる前の商品タイアップ好きを考えると、ShopifyとPayPal、そして他のeコマースプラットフォームが2週間後に大統領の座を退いた後のトランプ氏にどのように対応するかが大きな問題だ。同氏は再びステーキや水やオーデコロンの販売をするのだろうか。同氏は商品をオンラインで販売するeコマースの場を必要とするのだろうか。それは、同氏が次にどこを目指すのか、今後も政治に取り組むのか商売の追求に戻っていくのかによる。

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GoogleとAppleがParlerアプリをストアから削除

トランプ氏の支持者や、Facebookなどのプラットフォームが節度ある行動を示すことを懸念する人々にとって、Parlerは代替ソーシャルネットワークの筆頭だった。本稿の原文記事公開時点でこのアプリは米国App Storeの第1位だった。セキュアな暗号化メッセージアプリで1月第2週にElon Musk(イーロン・マスク)氏が強く推奨した第4位のSignalよりも上位だった。

しかし議事堂襲撃をめぐって、成長のためのParlerのご都合主義はきわめて現実的な障壁にぶつかった。米国でモバイルアプリのストアをそれぞれ運営する2つのテック企業だ。

Googleは1月8日の夜に、Parlerアプリはソーシャルネットワークとしての節度とフィルタリング機能が欠けているとして同社のストアからこのアプリを削除すると発表した。本記事公開時点でアプリのページは表示されない。したがって、新たにGoogle Playストアからアプリをインストールすることはできないが、すでにParlerをインストールして使っているユーザーは使い続けることができる。

一方Buzzfeedは、AppleがParlerの開発者に対し、安全を脅かすコンテンツをフィルタリングする機能を即座に搭載しない限りはGoogleと同じ対応を取るとして24時間の猶予を与えたと報じている。本稿の原文記事公開時点ではAppleのApp StoreでParlerアプリがまだ公開されていたが、現在は削除されている。

コンテンツのモデレーターを大量に雇用する必要があるなどコンテンツの節度は複雑な問題であるため、Parlerが短期間で要請に応えられるとは到底考えにくい。長期的に見てアプリやトランプ氏の支持者が今後どうなるかは、現時点では誰にもわからない。

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Discord、Twitch、YouTube、Reddit、TikTok:ソーシャル関連企業はトランプ氏のソーシャル活動を望まない

最後に、その他のソーシャルネットワーキングに目を向けてみよう。トランプ氏はFacebookやTwitter本社では不人気だが、最近は他社でも同様に不人気だ。ソーシャル関連各社は自社サイトへのトランプ氏のアクセスをブロックし、同氏の関係者にも対策を講じている。

Google傘下のYouTubeは米国時間1月7日に、トランプ氏自身のチャンネルも含めて選挙に関する誤情報を発信したチャンネルへの「処罰」を開始すると発表した。これまでは選挙の誤情報を含むビデオには警告のラベルが付けられたが、チャンネルそのものにはなんら影響はなかった。2020年12月にYouTubeはこのポリシーを変更し、選挙の誤情報を伝えた動画を完全に削除することにした。

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1月第2週に変更された最新のポリシーは以前のアプローチをさらに拡大したもので、チャンネルが違反をするたびに停止期間が長くなる。一定の期間内に違反が所定の回数に達すると、最終的にYouTubeチャンネルが永久に削除される。これがSteve Bannon(スティーブ・バノン)氏のチャンネルにきっちり適用され、YouTubeのポリシーを繰り返し違反したとして1月8日午後遅くに永久に削除された。一方、300万人弱のフォロワーがいるトランプ氏のYouTube公式チャンネルはまだ見ることができる。

YouTube以外では、TwitchがFacebookと同様のポリシーによりトランプ氏の使用を「無期限」に、少なくとも米国時間1月20日の就任式までは停止したと米国時間1月7日朝に発表した。Twitchでの同氏のフォロワー数はおよそ15万1000人と限定的で、同氏のソーシャルメディアアカウントの中では重要度が最も低い。

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トランプ氏の支持者も人気のテックプラットフォームから削除されている。米国時間1月8日にRedditは「r/donaldtrump」のサブレディットを停止したと発表した。このサブレディットはReddit上に多数ある非公式コミュニティのひとつで、トランプ氏の熱烈な支持者が集まっていた。Redditは2020年6月には批判の多かった「r/The_Donald」のサブレディットを削除していた。Discordは米国時間1月8日に停止されたサブレディットに関連するサーバーをシャットダウンし、その理由を「暴力を扇動するオンラインフォーラムとのつながりが明らかであるため」と説明した。

TikTokは米国時間1月7日に、議事堂襲撃に関する情報の拡散を制限すると発表した。具体的にはハッシュタグのリダイレクトのほか、暴力的なコンテンツやトランプ氏自身から支持者に向けたビデオメッセージの削除などだ。トランプ氏はTikTokのアカウントを持っていないため、TikTokの対応の大半は同氏の支持者と議事堂襲撃の状況に関する幅広いコンテンツを対象としたものだ。

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カテゴリー:ネットサービスタグ:ドナルド・トランプ、ソーシャルメディア、SNS、アメリカ、米国大統領選挙

画像クレジット:Jose A. Bernat Bacete / Getty Images

[原文へ]

(翻訳:Kaori Koyama)

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