新進気鋭の歌い手 ロス、“サイコな世界観”にハマるリスナーが続出 歪んだ感情を吐露する快感の連鎖

新進気鋭の歌い手 ロス、“サイコな世界観”にハマるリスナーが続出 歪んだ感情を吐露する快感の連鎖

  • Real Sound
  • 更新日:2021/11/25
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2021年7月リリースされたメジャーデビュー曲「自主」がスマッシュヒットとなったロス。Spotifyの「バイラルトップ50(日本)」で、7月30日~8月12日にかけ2週連続で第1位を獲得。YouTubeでの再生回数は11月24日時点で780万再生を突破し、その勢いは未だ留まることがない。彗星のごとく現れ、すさまじい勢いで存在感を示すロスとは何者か。

自主~はい 私がやりました~

ロスはいわゆる歌い手として、2019年からYouTubeにカバー動画を投稿するようになった。ニコニコ動画から端を発する「歌ってみた」文化は、ひとつの楽曲を何人もの人間がカバーすることで、歌い手ごとの解釈や表現が生まれ、広がっていくのが魅力。そんななかで、ロスのカバーは、投稿初期より個性的な声音と気だるくも表現力豊かな歌い方で、独自の世界観を持っていた。また、カバーする楽曲も、煮ル果実の「ヲズワルド」やsyudouの「孤独の宗教」など、ダークで退廃的な雰囲気のものを中心的にチョイスし、方向性が最初から一貫していることも注目したいところだ。

カバーだけでなく、コラボ楽曲でもロスのその雰囲気は大いに生かされてきた。“あなた”に裏切られた私が狂気に走る、なきそとの「げのげ」、虐げられた少女の様子を残酷に描くなうおとの「少女性愛者」など、ダークな作品が次々に生まれていった。

なうお-少女性愛者 feat.ロス

そして、ロスのオリジナル曲。初めて投稿されたのは今年1月、19秒の「自主」のプロトタイプだ。アレンジはかなりシンプルなものだが、「自主」最大の特徴であるサビ部分がこの時からすでに明確に存在していたことがわかる。これ以降も、かつて受けた“恩”を返す復讐の歌である「通り魔××。」を始め、「浮気??」「身売り」など、ロスは露悪的でダークなテーマを切り取り続けてきた。

そうやって、あらゆる角度からロスのカラーを確立し、エッセンスを煮詰めていった結果、生まれた結晶が「自主」となった。今こうしてそのキャリアを遡ってみると、必然的なルートを辿っているようにも思われる。

デビュー曲にしてスマッシュヒットとなった「自主」は、いじめられていた人物が、いじめの主犯格への復讐を決行し、さらにいじめの傍観者たちに対しても制裁の予告を与えるという、さながらサスペンスのクライマックスのようなドラマ性と緊迫感がぎゅっと詰まった作品だ。サビの〈はい!私がやりました!〉というフレーズがとにかく強烈で、TikTokでも、曲に合わせて歌っているように唇を動かすリップシンク動画が大いに盛り上がった。検索すれば、いじめていた側といじめられていた側、強者と弱者が一瞬にして入れ替わる逆転劇をTikTokerたちが演じる、サイコな名作を数多く見ることができる。

TikTokはもともと、短尺の動画を投稿する場として生まれた。今でこそ3分までの動画の投稿が可能だが、サービス開始直後は15秒までだったことからもわかるように、短い動画を見るために最適化プラットフォームだ。そして、TikTokの繁栄に合わせ、そこで使われる楽曲もそれに適した形に変化していった。すなわち、TikTokで見やすい/使いやすい、数十秒の中にキャッチーなフレーズとメロディが詰め込まれた音楽が生み出されるようになったのだ。

その世界では、フルサイズで曲が聴かれることはほとんどない。1曲に5分も6分もの時間は必要ない。必要なのは、一発KOで心を掴む、ひとつの強烈で中毒性のあるフレーズだ。それこそがTikTokでの、ひいては、現在の若者の流行の覇権を握るカギだ。

そうした状況と照らし合わせると、〈はい!私がやりました!〉の一言で世界観に引きずり込む「自主」はまさしく勝ちパターンそのものだ。さらに、これまでロスが投稿してきた楽曲を改めて見渡してみると、投稿されてきたほとんどの楽曲が、1分未満、または1コーラスのみであることに気づく。(結果的にかもしれないが)短尺に特化してきたロスは、時代の流れともシンクロし、「自主」での大きなヒットへと繋がったと言えるだろう。

そんなロスの楽曲が『美しい彼』(MBSほか)のドラマエンディング主題歌に抜擢された。

『美しい彼』は、『流浪の月』で「2020本屋大賞」を受賞した小説家・凪良ゆうのBL小説。吃音症持ちで、クラスでも見下されるぼっちな男子高校生・平良と、カースト上位に君臨する美しい男・清居によるいびつな関係を描く。

クラスの王様である清居に奴隷のように使われる平良。清居を憎んでもいいはずなのに、平良の目はその美しさと傲慢な強さに惹きつけられる。一方、清居も、平良をいいように扱いながら、時折独占欲のような感情を垣間見せる。精神的格差のある関係性が、2人の歪んだ愛情をあぶりだしていく。

Follow

そんな『美しい彼』の主題歌としてロスが書き下ろしたのは「Follow」。不安を掻き立てるようなメロディにのせ、清居目線で紡がれるのは、〈お前なんて 大嫌いだ/キモイんだよ 俺に寄るな〉という強烈な拒絶。かと思えば、〈全ての意識を、俺に向けろ〉という執着。耳鳴りがするような強烈な高低差で生み出される清居の愛の形が、ロスの変幻自在な声色で描き出す。不自然で、けれど美しい。アンバランスな物語を、ロスの音楽が彩っている。

『美しい彼』の平良と清居の行く末とともに、ロスの持つダークで、けれど人を惹きつけてやまない音楽が今後どんな作品を生み出していくことになるのか、これからの活躍が、恐ろしくも楽しみな大型新人の到来である。

■リリース情報
「Follow」
配信はこちら

■番組情報
ドラマ特区『美しい彼』
2021年11月18日(木)初回放送スタート
原作:凪良ゆう『美しい彼』(徳間書店 キャラ文庫刊)
出演:萩原利久 八木勇征
高野洸 坪根悠仁 櫻井健人 桃果 マーシュ彩 中村守里
監督:酒井麻衣(「荒ぶる季節の乙女どもよ。」ほか)
脚本:坪田文(「コウノドリ」「家に帰ると妻が必ず死んだふりをしています。」「RISKY」ほか)
オープニング主題歌:もさを。「カラメル」
エンディング主題歌:ロス「Follow」
制作プロダクション:C&Iエンタテインメント
幹事会社:MBS、カルチュア・エンタテインメント
製作:「美しい彼」製作委員会・MBS
・公式SNS
ドラマ公式Twitter:@utsukare_mbs
ドラマ公式Instagram: utsukare_mbs
ドラマ公式TikTok:@drama_mbs
・公式HP
https://www.mbs.jp/utsukushiikare/

■関連リンク
ロス YouTube https://www.youtube.com/channel/UC5nxCVEWQLLfkPuMylpkYkA
ロス Twitter https://twitter.com/ROSU7373
ロス TikTok https://vt.tiktok.com/ZSJq6rG7d/

満島エリオ

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