10万円給付の“家庭モデル”は古すぎる? ネットで不満続出、「もらっていいのか」と戸惑う声も

10万円給付の“家庭モデル”は古すぎる? ネットで不満続出、「もらっていいのか」と戸惑う声も

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  • 更新日:2021/11/25
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1997年以降、共働き世帯数が専業主婦世帯数を上回り、現在は共働き世帯数が専業主婦世帯数の2倍以上になっている(撮影/写真部・加藤夏子)

18歳以下の子どもを対象にした10万円相当の給付をめぐり、所得制限の線引きに不満がくすぶっている。何を基準にして決まったのか。AERA 2021年11月29日号の記事を紹介する。

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不満の声がSNS上で続出している。「18歳以下の子どもへの10万円相当給付」についてだ。

すでに報道されている通り、夫婦と子ども2人の世帯では「年収960万円未満(年収103万円以下の配偶者の場合)」が対象となるが、世帯年収ではなく、「世帯主」年収。共働きで一方が年収959万円、一方が103万円、世帯年収1062万円の世帯では10万円支給の対象となるが、夫婦どちらかが年収960万円、片方が無収入という年収960万円世帯では給付を受けられない。困窮世帯でも、子どもがいなかったり、19歳以上だと不支給となる。

■給料増えても負担も増

横浜市に住む40歳の女性は息子に発達障害があり、通院や療育で手がかかるため、5年前に会社を辞め、専業主婦となった。5歳年上の夫は建設業で管理職をしており、昨年の年収は約1100万円。以前は児童手当を月額1万円もらえていたが、所得制限で5千円に減額された。

「私が仕事を辞めた分、夫が一生懸命働いて昇進し、給料が上がった。喜ばしいが、子ども関連のさまざまな手当の対象外となってしまい、家計が厳しくなりました。共働きで明らかにうちより世帯年収が多い人たちが10万円相当の給付を受け取れるのは納得できません」

共働き世帯も困惑の声を上げる。「ありがたいものの、コロナで家計が苦しくなっていない私たちがもらっていいのか」と話すのは、都内に住む会社員女性(36)。年収約700万円で、共働きの夫(38)の年収と合わせると、世帯年収は1600万円ほど。2歳と5歳の子どもがいるので、20万円相当が支給されることになる。

「本当に困っている人に行きわたってほしいという思いがある。国の借金が過去最高と言われる中でのばらまきは、将来、子どもたちが負担することになるかと思うと不安です」

■だれのための支援か

家計簿・家計管理アドバイザーのあきさんは「児童手当の所得制限の算定基準が不公平」と指摘する。昨年12月10日、政府・与党は中学生以下の子どもを対象とした児童手当のうち、高所得者向けの「特例給付」について、年収1200万円以上の世帯は廃止することで合意。だが、所得制限の算定基準については、夫婦の収入を合算する方式の導入を見送り、所得の高い方のみの年収で判断する現行方式の続行となった。

男女共同参画白書(2021年版)によると、共働き世帯はこの40年、年々増加。1997年以降は共働き世帯数が専業主婦の世帯数を上回る。20年では、共働き1240万世帯に対し、専業主婦世帯数は571万世帯。児童手当ができた70年代の「夫が働き、妻は専業主婦か、働いても年収100万円以下が当たり前」という状況なら世帯主の年収で所得制限をかける方法でも問題なかっただろう。

しかし今は女性で正社員として働く人も多く、「年収の多い方」で所得制限をかけるのは時代に即していないと言える。

「合算方式を見送った時点で、児童手当の所得制限の条件がおかしいと感じている。もともと不公平な児童手当の条件を当てはめるから、『だれ支援?』となるのでは」(あきさん)

第一生命経済研究所首席エコノミストの熊野英生さんは「迅速な支給のために児童手当のルールを使うしかないなら、960万円未満というのは高すぎます。世帯収入の全国平均は約550万円なので、600万円ほどが妥当だったのでは」。

さらに、「なぜ迅速にやる必要があるのでしょうか? 公明党の政策を丸のみするのではなく、世帯年収で所得制限をかけるなど、新しいルール作りをするべきだったのではないでしょうか」と話す。

時代に即していないモデル家庭は見直す時期にきている。(ライター・羽根田真智)

※AERA 2021年11月29日号

羽根田真智

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