出資者逮捕も話題に...安倍昭恵夫人の「ウズハウス」で“3万円の部屋”に泊まってみた

出資者逮捕も話題に...安倍昭恵夫人の「ウズハウス」で“3万円の部屋”に泊まってみた

  • 文春オンライン
  • 更新日:2020/10/16

先日、GoToトラベルキャンペーンを利用して、山口県下関市のウズハウスに宿泊した。前首相夫人の安倍昭恵氏が、立ち上げに関わったことで有名なゲストハウスだ。最近では、IR汚職をめぐって出資者のひとりが逮捕され、ふたたび注目を集めている。

【画像】昭恵夫人の「ウズハウス」“1泊3万円”のデラックスルームはこんな部屋!

よく知られるように、昭恵氏は、東京神田でUZUという居酒屋を経営している。店名は、日本神話の女神アメノウズメノミコトに由来するとか。筆者は複数回すでに訪問済みだ。

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ウズハウス外観(以下、特記がないものは2020年10月筆者撮影)。

UZUオリジナルの「昭恵ちゃんシリーズ」

店内のあちこちに安倍前首相のサインがあるのも目を引くが、やはり「昭恵ちゃんシリーズ」という飲み比べセットがインパクト抜群。同店オリジナルの「やまとのこころ」「アキエ80%」「あきえのつぶやき」という、話題にしてくれと言わんばかりの日本酒が出てくる。

もちろん、いつも「『昭恵ちゃんシリーズ』で!」と頼むのだが、なぜか店員は「“ご夫人”がみずから育てた……」などと、けっして「昭恵ちゃん」と口にしない。“ご尊名”を申し上げるのが、畏れ多いのだろうか。

それはともかく、肝心のお酒は、どれも口当たりがよく、飲み飽きないタイプ。最初はてっきり、ワイングラスが似合う、フルーティーで香り高く、思わず「非常にジューシー」と漏らしてしまいそうな、濃厚な口当たりを予想していた。いい意味で予想を裏切られたかたちだった。

なるほど、酒好きとの噂は事実なのだろう。ただし、“ご夫人”の好みを反映してか、どれも似たような味わいだったので、飲み比べの意味は少ないかもしれない。

「麻生さんはスゴイ!」の声をBGMに

もっとも、酒の種類はこれだけではない。冬に飲んだ熱燗は、とくに当たりだった。おすすめの食べ物を聞いても、「厚揚げ」とまたシブい答えが返ってきて好感がもてる。グーグルマップの口コミでは政治的な嫌がらせをされているけれども、正直、やや値が張ることを除けば、飲み屋のクオリティーとしてはけっして悪くない。

隣で、高そうなスーツを着た中高年が、ひたすら「麻生さんはスゴイ!」と神田ではあまり聞かない会話をしていたりするものの、ここまでくれば、それも店内BGMみたいなものだ。

そんな筆者なので、当然、ウズハウスのことは知っており、いつか行かねばと思っていた。そこに、降って湧いた今回のGoToトラベルキャンペーン。「いまだ」とばかりに宿泊の予約を入れたのである。

一番高いデラックスルームを予約。お値段は?

まず、宿泊前日は山口県庁で「山口県の総理大臣展」を鑑賞。つぎに、当日は下関市東大和町の安倍晋三事務所も見物。“予習”は万全で、そのときを迎えた。

なお、宿泊プランは複数ある。ゲストハウスだけに、安価なドミトリータイプが中心のようだ。ドミトリーと聞いて、メドベージェフ露前首相と『カラマーゾフの兄弟』を思い浮かべる筆者に相部屋は辛いものがあるので、専用の風呂とトイレが付いた、デラックスルームを取った。もっとも高い部屋である。

値段は3万3600円也。ただし、GoToトラベルにより、2万1840円にディスカウント。しかも「地域共通クーポン」が5000円分もついてきた。つまり、実質1万6840円で、半額となった。

このクーポンは、居酒屋でも、書店でも、コンビニでも、お土産もの屋でも使える。キャンペーンの予算消化が進んでいないそうだが、かなりオトクなので、うまく活用したほうがよい。

K-POPらしきものが流れる「陽キャ」空間

では、肝心の施設はどうなのか。

下関駅からタクシーで約10分。関門海峡を背に、赤間神宮を目前に、6階建てのその建物は立っていた。唐戸市場と関門橋のちょうど中間ぐらいの位置だ。岸辺に打ち付ける、波の音もよく聞こえる。

ドアをくぐると、いきなり安倍前首相の等身大パネルが迎えてくれるのか。それとも、入り口には「教育勅語」――? 期待を胸に突入すると、さにあらず、そこはオシャレすぎる「陽キャ(陽気なキャラクター)」空間だった。

まず、店内BGMはK-POPらしきもの(よくわからない)。1階はカフェになっていて、若い男女が定期的にやってくる。6階のテラスが開放されていて、そこから瀬戸内海を眼下におさめながら、飲食を楽しんでいるらしい。店員も大学生くらいの年齢で、かなり若く、いかにも今風。

ふと、来客の持参した本を見ると、タイトルは、SNSで世界が変わる的なもの。意識が高すぎる。オンラインサロンに10個くらい入っているのではないか。

ざっと見た限り、政治的なものはないし、その手の会話も聞こえない。ようするに、ここは、社交的で明るいひとびとが集う空間なのである。インスタグラムよりツイッターのフォロワーのほうが多い人間は、「陰キャ」アラートが鳴って、入場を拒否されかねない。なお筆者のツイッターフォロワーは約1万9000、インスタのそれは119である。

関門海峡と門司港を一望できる“映える部屋”

そんなわけで、鍵を受け取り、そそくさと5階にあるデラックスルームに駆け込むと、そこがまた圧巻だった。海側に面した部分がほぼすべてガラス張り。

つまるところ、タワマンの角部屋みたいなのだが、そこから関門海峡と、そのさきの北九州市の門司港を一望できるのだ。そして、汽笛も高らかに、つぎつぎに大型貨物船が通り過ぎてゆく。これはかなり迫力がある。

もともと築40年以上の元割烹旅館だそうだが、フルリノベーションされているため、部屋は古さを感じさせない。陽光が燦々と入り、晴れていると、電気も不要。しかもかなり広い。公式サイトによると、リビングダイニングで23.7畳、ベッドルームで11.1畳もあるらしい。フローリング、建具、照明器具は山口県産なのだとか。

インスタグラマーやユーチューバーが、共同生活をしながら、せっせと動画を作っているような部屋。そんな印象を抱いた。そんなものが実際にあるのか知らないが。

ネタを探しに館内探索すると……

おいおい、神田のUZUとぜんぜん違うじゃないか。カフェのメニューも、普通だし……。このままではネタにならないので、さっそく館内の探索に出かけた。

6階には、宿泊客の残したゲストブックを見つけた。全部で7冊。ひとつぐらい「日本を取り戻す!!!」みたいなのがあるかと期待したが、ぜんぜん見つからない。むしろ、韓国語、中国語、英語などがビッシリ並んでいる。タイ語らしきものもある。

そう、ここは安価なゲストハウスとして、コロナ禍の前、海外の観光客に人気だったのだ。しかもハングルのあとにわざわざ日本語で、「しものせき だいすき」「本当にここが好きです。静かできれいですね」と書いてあったりする。なんたる健全さ。おそらく、かれらは安倍がどうこうなど、まったく興味もないのだろう。

ならばと、今度は2階の図書コーナーに出向いた。ここの書籍は、昭恵氏の持ち物が大半だとの情報もある。

“スピリチュアル仲間”の本を発見!

だが、並んでいるのは、『ONE PIECE』『進撃の巨人』『ガラスの仮面』など。近くにあった「ウズ文庫」というノートを開くと、「uzuhouse最高です。いつか好きな人が振り向いてくれますように。17歳学生」。若々しすぎて卒倒しそうになる。

たしかに、自己啓発本や日本スゴイ本、ハーブを使った健康レシピ本、そして『永遠の0』などもあるにはあるのだが、そこまで顕著な傾向は見られなかった。

「うーむ」とうなっていると、ピンとくるタイトルの本があった。『聖なる約束 砂漠は喜び砂漠は花咲き』(きれい・ねっと)。昭恵氏のスピリチュアル仲間ともいわれる、赤塚高仁・舩井勝仁両氏の共著だ。

赤塚氏の教育勅語本(『聖なる約束4 ヤマト人への福音 教育勅語という祈り』)は、森友学園問題のときも少し話題になった。どんな本なのか、雰囲気がわかる一節を引用しておこう。「宇宙創造のエネルギーが発露し生きておられる姿。この姿がキリストです。天皇です。聖書を読めば分かります」(189ページ)。

そんなわけで「これは!」と思って開くと、大当たり、遊び紙に著者ふたりのサインが入っていた。もちろん、宛名は昭恵氏。どうやら献本されたものがここにたどりついたらしい。

続いて目次を見ると、「アメリカと日本はローマとユダヤ」「大和とユダヤは手を取り合っていた」と相変わらずの文字列。「やまとこころが開き始めている」などともあるが、UZUの日本酒「やまとのこころ」は、こういうところから名前が取られたのかもしれない。思わぬ伏線を回収してしまった。

おしゃれで国際的な「陽キャ」空間だった

ただ、これは例外中の例外。世間の噂をよそに、ここは普通のゲストハウスとして定着しているようだった。

結論。ウズハウスはおしゃれで国際的な「陽キャ」空間だった。なるほど、ドミトリータイプが主流になるのもむべなるかな。

どうしても政治的な要素がほしいひとは、近くにある、日清講和記念館、藤原義江記念館(軍歌もたくさん吹き込んだテノール歌手の記念館)、大連神社(関東州にあった大連神社の神体・神宝を持ち帰り、再建した神社)、門司港(出征兵士の記念碑などがある)などを訪問すればよろしかろう。きっと“日本を取り戻せる”に違いない。

撮影=辻田真佐憲

(辻田 真佐憲)

辻田 真佐憲

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