「自分の人生このままでいいのか...」は実は良い状況 作家・森博嗣氏の目から鱗な哲学

「自分の人生このままでいいのか...」は実は良い状況 作家・森博嗣氏の目から鱗な哲学

  • AERA dot.
  • 更新日:2021/09/15
No image

悲観的に考えることで好転する(※写真はイメージ/Gettyimages)

「突っ慳貪(つっけんどん)な印象を持たれ、好感度ダウンとなること必至だろう。だが、好感度を上げたいという欲求は僕には皆無なので、まったく影響を受けずに書いた」

『すべてがFになる』『スカイ・クロラ』数々のベストセラーを生みだした作家・森博嗣氏の新刊『諦めの価値』(朝日新書)からの言葉だ。現在森氏は、労働時間は毎日1時間で、幼い頃からの夢だった「庭園鉄道」(庭に敷設する鉄道模型)を整備する毎日を送っている。森氏が夢を叶えられた理由は、仕事や人間関係など多くを「諦めた」からだという。森氏にとって「諦め」とは何なのか? 森氏に寄せられた人生相談を本書から一部抜粋して紹介する。

*  *  *

■人を諦めるのが早い自分

【相談1】

私は、人間関係をさっさと諦めてしまう人間です。仕事関係でも、友達でも、ちょっとした違和感や嫌なことが重なると、すぐにシャッタを下ろしてしまうのです。

ところがふと気がつけば、一緒に旅行にいったり、気軽に食事にいけたりする友人が誰もいなくなっていることに気がつきました。こうした自分の性格は、どうやったら治るのでしょうか。

【森博嗣さんの答え】

治す必要がありますか?

人間関係を諦め、一人で生きていく、一人で楽しめる、と考えれば良いだけですし、実際にも、そんなライフスタイルの人は大勢います。何故、旅行に誰かと一緒にいかなければならないのでしょうか? 何故、食事に誰かと一緒にいかないといけないのですか? 誰がそんなことを決めましたか? 一人だと、どんな悪いことがあるのですか?

誰かの意見を聞いて、それが本来の人間のあるべきスタイルだ、と思わされたのですね。それこそ、人間関係として最初にシャッタを下ろすべき場面だったことでしょう。

■自分の人生、このままで良いでしょうか?

【相談2】

定職もあり、家族もいる40代です。基本的には、順調な人生だと思っているのですが、ふと「このままで良いのだろうか」という考えが過(よぎ)ります。なにかほかの人生があったのではないかと。

だからといって、なにかしたいわけでもないし、形にしたいアイデアもないし、自分が何を望んでいるかもわからない。でも、ときおり逡巡した感情に囚われるのです。緩やかな諦めの日々が続いている感覚があります。

先生が僕のような状況だったら、どう考えたり、行動したりしますか?

【森博嗣さんの答え】

あなたの今の状況が、詳細にわからないので、なんともいえません。

ただ、そういった願望を持っていることは、悪い状況でなく、むしろ良い状況ではないでしょうか、とは感じました。

そういった、現状を悲観的に見ることは、非常に好ましいと思います。そのような気持ちを大事に持って、やりたいこと、楽しめそうなことを見つけていけば、よろしいのではないでしょうか。

とりあえず、なにかを試す。そういった行動を起こして初めて、視点が変化し、これまで見えなかった新しいものに出会えるかもしれません。思っているだけでは、変化は僅かです。行動をしていないから、諦めが「穏やか」だと感じるのでは?

時間も体力もあるのですから、なにか行動を起こしてみて下さい。そうすれば「このまま」の意味も変わることでしょう。

■結婚を諦めたときの人生戦略

【相談3】

30代中盤の男です。今まで彼女ができたことがないため、普通に考えて、結婚は無理です。出会いの場にも参加しましたが、上手くいきませんでした。僕はあまり条件の良いタイプではないのでしょう。

経済的には、まあなんとかなるかとは思いますが、将来の孤独だけが心配です。

こんな僕に、アドバイスを下さい。

【森博嗣さんの答え】

まず不思議に思った、というか、わからない部分は、結婚と孤独の関係です。

結婚したら孤独でなくなる、とお考えのようですが、その根拠は何でしょうか?

それから、僕は孤独が大好きで、良い状態だと思っているのですが、あなたは孤独が悪いものだと思われているようです。その根拠は何でしょうか?

この二点が理解できないため、ご相談の意味が、想像できません。

結婚によって発生するトラブルは、非常に沢山あります。結婚によって、経済的にも困難になるし、自由も制限されます。そういったデメリットを差し引いても、一緒に暮らしたいと思える人がいれば、結婚する手もありますが、今そのような人がいないのでしたら、結婚を考える必要はない、と思われます(おそらく、今はそう考えていらっしゃることと想像しますが)。

もう一点。たとえ結婚しても、配偶者とは(死別か離婚で)いずれ別れることになります。その場合、結婚したことによって一層大きな孤独に襲われるはずです。

人は死ぬときには例外なく孤独です。古代の王様でもないかぎり、誰も道連れにはできません。孤独を心配するよりは、孤独を楽しもうと考える方が現実的だと思います。

孤独を楽しむためなら、結婚する手もあるかもしれません。

【謝辞】

ご協力というのか、ご相談をいただき、感謝いたします。返答がお気に召さなかった場合は、上がった血圧を利用して、是非問題解決に活かしていただければ、と思います。

この記事をお届けした
グノシーの最新ニュース情報を、

でも最新ニュース情報をお届けしています。

外部リンク

  • このエントリーをはてなブックマークに追加