「本当の親子って何だろう?」永作博美さんと井浦新さんが出した結論

「本当の親子って何だろう?」永作博美さんと井浦新さんが出した結論

  • CHANTO
  • 更新日:2020/10/18
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“育てられない母”と“実子を持てなかった夫婦”を繋ぐ「特別養子縁組」をテーマに、それぞれからの視点をつぶさに描きだした映画『朝が来る』(10月23日公開予定)。

この作品で、“持てなかった”ことへの葛藤を共有しながら、お互いを思いやり、慈しみ合う夫婦・佐都子と清和を演じた永作博美さんと井浦新さん。

実生活でもそれぞれ2児の親であるおふたりに、この作品で演じたからこそ感じた「特別養子縁組」のことや、プライベートでの子育てについてお聞きしました。

「特別養子縁組」の現状をどう感じている?

——日本の「特別養子縁組」は世界的に見れば後進国だといいますが、おふたりは以前からこの制度についてはご存じでしたか?また実際に演じられてどう感じましたか?

井浦さん:

僕はこの作品と出会うまで、「特別養子縁組」の実態や、そこでどんなことが起きて、それぞれにどんな苦しみがあるのかも、まったく知らなかったんです。

役をやるにあたって、河瀨監督の「役を積む」という段階の中で学びながら、かつ実際に演じながら初めて知って、心が動いていきました。そもそも、自分がまず「特別養子縁組」の実態を知らなさすぎたことにショックを受けました。

永作さん:

私はずいぶん前に「特別養子縁組」の実態を伝えるドキュメンタリー番組でナレーションを担当したので、よく知っていました。興味があったので、関連の本を読んだこともあって。子どもを育てられない女性たちが出産するまで一緒にいる場所や、産まれた子どもを新幹線で養親の家まで連れて行き、玄関で渡す場面とか…番組でリアルに見ていたんです。

でも、日本ではこの作品で初めて知るという人もいるでしょうし、まだまだオープンではないですよね。かたや世界では、子どもやまわりの人への告知もすべてオープンに行われていて…そこに一番驚いたかな。

河瀨監督は、フランスで外国の方と一緒に最終的な編集作業をされたみたいなんですけど、そのときにも外国の方は「養子縁組の何が“おかしい”んだ?」って言っていたらしくて。

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井浦さん:

「特別なことじゃない」ってね。

永作さん:

そう。「なぜ“特別なこと”にするんだ?」って。「若い子が道を踏み外して進む道を間違えるなんてよくあることじゃないか」と。改めて、その感覚の差を知れたのはよかったな。

——佐都子と清和の夫婦は、特別養子縁組で家族になった朝斗と日常を積み重ねながら愛情を育むことで“本当の親子”になっていきますよね。それについてはどんな思いがありますか?

永作さん:

今回、実際に特別養子縁組をしたみなさんとお会いして、あまりにもキラキラして幸せそうで。そんな本物の奇跡を知った人たちを目の当たりにして、やっぱり子どもが家に来ることって、陽が昇るのと同じくらい明るいことなんだなって思いましたね。

井浦さん:

もちろん大変なことはたくさんあるでしょうけど、特別養子縁組のご家族の方たちが僕らに伝えようとしたのは、「こんなにも幸せなんだ!」ってことだったんだろうなと。ご家族が、おじいちゃん、おばあちゃんたちも、みんなも幸せそうで。血が繋がってなくても、子どもがいて家族をつくっていくことに違いはないんだと、すごく強く感じさせられました。

>>NEXT 永作さんのおおらかな子育て論とは?

永作さんが子育てをするうえで譲れないことは…?

——永作さん自身が、子育てで大切にしていることって何でしょう?

永作さん:

表だってしていることがあるかなぁ…。まぁ、どうしてもやってあげたくなっちゃうんですけど。子どもたちの自立を目指すためにも、なるべく手を出さないようにしようって日々思ってますね。このごろはずいぶんできることも増えてきたし、もう少しいろいろ自分で考えられる人になってもらおうかな…って。

——親が我慢して見守っていれば子どもは自分でできるようになるんでしょうか?

永作さん:

きっとなると思います。手を一瞬で引っ込めるようにすれば。それでも、“早く早く”と思うと、ついついやっちゃうんですけどね(笑)。私は普段から“早く大きくなれ”って伝えてるし、“そのうちご飯の作り方も教えるから、自分で作ってね”って言ってるんです。

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——たとえばどういう時、手を出したくなるところを引っ込めますか?

永作さん:

たとえば、ある程度の時間を守って、計画を立てて宿題を終わらせるなり、風呂に入るなり、片づけるなり、“自分時間”で少し進められるといいなと思いますね。あとは、“今日はちょっと涼しいから、きっとこれぐらいの服を着るといいだろう”とか。日常のなかでの選択を少しずつ自分でさせたいなって思ってます。

——それで失敗してしまうときがあってもいい?

永作さん:

それはぜんぜん、何とも思いません。“いいよ、いいよ。それは一生懸命やったんだから”って。でも、そこで言い訳とかされると、私はすごく怒ります。本当に言い訳がイヤなので。素直にやったならやった、やってないならやってないとハッキリ伝えてねって。わが家はお互い、かなりストレートなやりとりをしてると思います。

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——この作品を終えてから、お子さんとの関わり方で変化はありましたか?

永作さん:

うーん、特に変わっていませんね。どの作品も、自分の生活とは異色のものではあるので。帰ってくればやっぱり自宅だし、いつも見ているみんなだなっていう感覚なんです。

——この作品は「役を積んでいく」というお話がありましたが、撮影を終えれば家庭のママに戻るという切り替えができるのですね。

永作さん:

この作品は特に、すごく近くで見ていたものからどんどん離れて、遠くが見られるようになっていく…みたいなイメージがあって。ちゃんと少し離れたところから感じとれて、最後には落ち着いた立ち位置で終われたと思うんです。ワサワサした感じで興奮したまま終わるとか、何かを抱えたまま終わるのではなく、ごく落ち着いた目線で。

だから、わりと普通に現実に戻れた感があります。きっと観てくださる方も、絶対的に観終わった後は気持ちいいと思います。途中ドキドキするところはいっぱいありますが、イヤな気持ちはなく、間違いなくポジティブな終わり方だなと。

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——お子さんたちは、女優さんとして働くママのことをどう思っているのでしょう?

永作さん:

ちょっと前に、私の仕事についてしっかり伝えたんですけど、“へぇ。そうだと思ったよ”ぐらいな感じで。別に何ともないみたいです…うん(笑)。何も変わらないですね(笑)。

>>NEXT 井浦さんは実はとっても子煩悩!?

井浦さんの“子育てのこだわり”がスゴイ!?

——井浦さん自身が、子育てで大切にしていることはありますか?

井浦さん:

きっと普通のお父さんと同じように、当たり前のことしか言えないと思うんですけど。子どもって勝手に育っていくものですし、時がきたら知らない間に離れていってしまうものですよね。もしかしたら、お父さんがいようがいまいが、ちゃんと育っていけるはずなんです。

だからといって子どもたちと距離を取ってるかというと、僕自身はそうじゃなくて。むしろ、“手をかけられるうちは思いっきり手をかけていこう”と思ってます。それがイコール甘やかすってことではなくて…。家族と一緒にいる当たり前の日常の中で、ただゴロンとしてるだけじゃなくて、いかに子どもや妻を引っ張って、“見たことのない世界を見せてあげられるか”だと思うんです。

外に出ている時間が長いけれど、そのぶん一緒にいるときはメリハリがあるように、“お父さんといると何かおもしろい”と家族に感じてもらえたらいいなって。

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——たとえば、お子さんにどんな世界を見せてあげていますか?

井浦さん:

僕はずっと、レコードを集めて聴いているんですけど、そういう趣味とかも自分だけのものにしないで、子どもたちにも与えていく。それでいらなかったら、子どもたちが勝手に引いていけばいいんです。

レコードに関しても、今はスマホで音楽を聴くのもいいけれど、レコードプレイヤーの電源をつけて、レコード盤を選んで、それに針を落として丁寧に音楽を聴くっていうことも知ってほしい。それが未来にも生きたらいいなと思います。

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——お子さんたちはレコードを聴くのを楽しんでいますか?

井浦さん:

そうですね。子どもたちもいつのまにか、僕の趣味を勝手に真似て聴いてます(笑)。合理的にどんどん便利になっていく時代で、子どもたちも小さいうちからスマホを使いこなしてるじゃないですか。それはこれからも必要なことだけど、実は生活の中で“無駄なモノ”こそが豊かさだったりすると思うんです。

不便で無駄で合理的じゃないことのおもしろさを子どもたちにも知ってほしい。そのことを子どもに伝えられるのがお父さんなんじゃないかなって。僕がいちばん大事にしたいことです。

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——いつも自然体で子どもたちに接する永作さんと、一見無駄に見えるものにある豊かさを子どもに教えたいと語る井浦さん。おふたりから、普段の子どものとの関わり方のヒントをもらえたような気がします。

関連記事:「特別養子縁組」を通して“本当の親子”の意味を問う映画『朝が来る』

永作博美/ながさく・ひろみ

1970年10月14日、茨城県生まれ。’88年に歌手デビュー。また、’94年に女優デビュー。以降、ドラマ、映画、舞台に欠かせない存在感を放つ。’11年に映画『八日目の蟬』で日本アカデミー賞最優秀助演女優賞を受賞。’09年に結婚し、二児の母でもある。栗原佐都子を演じた、主演映画『朝が来る』は、10月23日に公開予定。

井浦 新/いうら・あらた

1974年9月15日、東京都生まれ。映画「ワンダフルライフ」に初主演。以降、映画を中⼼にドラマ、ナレーションなど幅広く活動。 アパレルブランド「ELNEST CREATIVE ACTIVITY」のディレクターを務めるほか、⽇本の伝統⽂化の繋げ拡げていく活 動を⾏なっている。 11月9日によりオンエアのWOWOWオリジナルドラマ「殺意の道程」に主演。

[作品情報]

映画『朝が来る』

【公開日】10月23日(金)

【原作】辻村深月 『朝が来る』(文春文庫)

【監督・脚本・撮影】河瀨直美

【共同脚本】髙橋泉

【出演】永作博美 井浦新 蒔田彩珠 浅田美代子

佐藤令旺 田中偉登/中島ひろ子 平原テツ 駒井蓮

山下リオ 森田想/堀内正美 山本浩司 三浦誠己 池津祥子 若葉竜也 青木崇高/利重剛

【主題歌】C&K「アサトヒカリ」(EMI Records/UNIVERSAL MUSIC)

【製作】キノフィルムズ・組画

【配給】キノフィルムズ/木下グループ

【公式サイト】asagakuru-movie.jp

©2020「朝が来る」Film Partners

取材・文/相川由美撮影/河内 彩

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