札幌の円山動物園でゾウの赤ちゃんが生まれてからで1か月が経ちました。なぜ円山動物園は日本で初めての方法でゾウの出産に成功したのか?動物園とゾウの歴史を振り返ります。
長~い鼻をのばしお客さんと触れ合うゾウ。かつて円山動物園には「花子」と「リリー」2頭のゾウが飼育されていました。
その愛くるしい姿で人気を集めてきましたが1999年に「リリー」が足のケガで…2007年には「花子」も老衰のため60歳で天国に旅立ちました。
来園者)
「動物園の歴史とともに生きてきた動物ですよね」
その後、10年以上に渡り円山動物園にはゾウがいないままでした。しかし・・・
円山動物園 加藤修園長(当時))
「たくさん市民の皆さんから円山にもう一度ゾウをというご意見をいただいてやっと11年で連れて来られてうれしく思います」
日本とミャンマーの外交樹立60周年を記念し、札幌市にアジアゾウ4頭が寄贈されることに。動物園にゾウを求めるおよそ3万人分の署名を受けとった札幌市が、2年あまりにわたりミャンマーと交渉した結果でした。
絶滅危惧種のため調査・繁殖以外の輸出入が禁じられているアジアゾウ。そこで、出産・子育てを群れで行うゾウの習性を考慮し、オス1頭、メス3頭が一度にやってきました。
立田祥久記者)
「ゾウたちは新たな施設で活発に動き回っています。円山動物園ではゾウがいる場所に人が入らず飼育する方法を取り入れることにしています」
4頭を育てるため動物園は総工費30億円をかけて新たなゾウ舎を建設。柵越しにゾウと接する「準間接飼育」が導入されました。動物福祉の観点から欧米で取り入れられていた新たな飼育方法です。
円山動物園アジアゾウ担当 小林真也さん)
「ストレスかけずに人間もゾウも安全に飼育していくっていうのがコンセプト」
12年ぶりとなった円山動物園のゾウの一般公開には500人もの列が。
来園者)
「待っててよかった」
札幌市環境局円山動物園担当 小菅正夫参与)
「最終ゴールは繁殖ですから」
繁殖を目指して2021年、メスの「パール」とオスの「シーシュ」が同居をスタート。去年10月のエコー検査で妊娠が確認されました。それからおよそ10か月後…
「何か出てる!出てる!破水だ破水だ」
仲間のゾウが見守る中、先月19日、無事メスの赤ちゃんゾウが誕生。日本で初めて自然に近い形で飼育する「準間接飼育」でのゾウの出産に成功したのです。
誕生から1か月、すくすくと成長を続けています。
円山動物園アジアゾウ担当 小林真也さん)
「いずれ同居して4頭で、メスの群れが形成できればいいかなと。ここがゴールではなくてスタートだと思っていますので、他のゾウたちも続けるように継続してやっていきたいなと思います」

(c)HTB