2021年、孤立化深める韓国の自滅政策

2021年、孤立化深める韓国の自滅政策

  • JBpress
  • 更新日:2021/01/14
No image

北朝鮮と韓国の国境に沈む夕日

北朝鮮の金正恩総書記(1月9日総書記就任)は第8回党大会(2021年1月5日~)で、「核戦争抑止力を備え、自衛的国防力を強化する」「破局に瀕した南北関係を収拾・改善する対策を講じていく」と報告した。

とはいえ、南北関係では、韓国の対応によっては、これまでと違うことをするとも警告し、恫喝も行った。

韓国が北の言うことを聞かなければ、「過激な行動に出るぞ」ということだろう。

北の最終的目標は、韓国を武力統一することだ。

時には友好、時には強硬姿勢を見せる。米国に「敵視政策を撤回せよ」というのは、和解という騙しで、米韓同盟をやめさせる狙いがある。

友好姿勢で韓国を油断させ、軍事的にも外交的にも米日と離間させ、「韓国を孤立させる戦略」を継続的に進めている。

何のために、韓国の孤立化を狙っているのか。戦略の古典「孫子」にそれがよく表されている。

孫子の始計編に、「団結した敵は、離間・分裂させよ」、謀攻編に「(戦争における策略は)敵の同盟関係を断ち切って、敵を孤立させること」とある。

現代の戦争に当てはめてみると、交戦する敵の同盟を破棄させ孤立させ、そして軍事的に弱体化させる。その後、戦って勝利するというというもので、戦理にかなったものだ。

北の軍事的脅威が高まっていることからすれば、韓国は米国との同盟関係を強化し、日本とも友好関係を深め、準同盟の関係を築いて、南進されても叩き潰す体制を整えて準備することこそが、自由主義の韓国を存続させる国家戦略であろう。

時に笑顔で同じ民族という言葉で友好外交を進める北朝鮮の狙いは、軍の南侵を止めている障害を取り除くことである。韓国を孤立させられれば、占領が容易くなる。

言葉や笑顔では騙せても、軍事力の増強を分析すれば、北朝鮮の底流にある狙い、つまり罠が見える。

韓国は、言葉や笑顔で何度も騙され、米日と離間させられ、軍事的に孤立化・弱体化させられていることに気が付いていない。

韓国が罠に嵌り、孤立という間違えた方向に向かっていることが、軍事的に見てなぜ恐ろしいことなのか。今回はその点を分析する。

[JBpressの今日の記事(トップページ)へ]

1.分離孤立させられている文在寅政権

韓国は、北の脅威が高まっているにもかかわらず、米朝が休戦協定から平和協定に進化することを望み、在韓米軍撤退の道筋を立てようとしている。

米軍が撤退すれば、真の独立を達成することになるとでも思っているのだろうか。これは真の独立ではなく、孤立であろう。

また、米韓軍事共同演習をこれまでかなり縮小している。さらに、縮小した演習をもやめろと強く主張している。

共同演習を実施しなくなると、有事に共同して戦えなくなく問題が生じる。

日本との関係を見ればどうか。

朝鮮半島有事で、米軍が朝鮮半島で戦う場合、日本の戦略的地位は、空軍機および海軍艦艇の発進基地であり、これらの兵站支援が行える地点だ。

戦闘に必要な兵站物資や負傷者の治療の拠点にもなる。にもかかわらず、文在寅氏は日韓で解決した慰安婦や徴用工問題を浮上させ、安全保障関連の貿易問題、日本製品不買運動などで、溝をますます深くしている。

また、日韓で取り決められたGSOMIA(軍事情報に関する包括的保全協定)は機能していない。

北から見れば、韓国は離間・分離状態になって弱体化している。中国は、米軍のTHAARDミサイル(終末高高度防衛ミサイル)を韓国に配備することに対して、これを阻止するために貿易制限で揺さぶりをかけている。

韓国は、軍事的合理性から考えて、危機の方向、すなわち北に占領されやすい状況に進んでいる。

文在寅政権が決めたことだろうが、複雑怪奇で理解不可能だ。韓国のトップは北の支援者なのか、それとも騙されているのか。

日韓関係や米韓関係が悪化して喜ぶのは北だ。北の軍事的脅威が著しく高まっている時に、韓国は自国の安全保障を弱める孤立の道を邁進している。

2.北は韓国軍内の分断も狙う

北が朝鮮半島有事に、中長距離ミサイルを米国の特にハワイ、グアム、アラスカに打ち込むと言えば、米国は軍事的介入を躊躇するかもしれない。

また、中距離弾道ミサイルを日本列島に向けて撃ち込むと言えば、日本の国民や野党議員は、米軍の介入をやめさせる方向に動く。

特に、「米空軍戦闘機の日本からの発進をやめさせろ」「米軍の作戦に必要な軍事物資を輸送支援もやめろ」と声高に叫ぶ者が出て来るだろう。

日韓関係が最悪であれば、その声はさらに高まる。韓国から避難してくる韓国民の受け入れはするなということにもなる。

日本としても、受け入れる準備などは全くできていないのが実情でもある。

北が陸上の軍事境界線を越えて南侵してきただけでは、北軍と韓国軍の接触線は、一線だけである。したがって、韓国軍と在韓米軍とが分断されることなく、一体となって戦える。

一方、短距離弾道ミサイルや超大型多連装ロケットは、韓国の全土を射程に収めることができる。

このため、北軍が、不意急襲的にミサイル・ロケット攻撃を実施し、これらと連携して特殊部隊が地域ごとに攻撃を開始すれば、韓国軍と在韓米軍、前方に配置された軍と後方に配置された軍、第1線部隊と兵站を担当する部隊が分断されることになる。

また、地上軍が海軍基地や空軍基地を守れないことになる。

このような分断が起きると、小さな軍の単位で孤立することになり、北軍の攻撃で各個に撃破されることになる。

戦いは、同盟国との共同、陸海空軍の協同など各軍が連携して戦力を集中させ、敵に優る戦力を持って、敵を叩き潰すことが求められる。だが、韓国は今、同盟関係を北軍の思惑通りに分断させ、弱小化していることが伺える。

中露機は昨年の12月に合同飛行を行い、中国軍機は北と南に分かれて行動した。北側の飛行は、朝鮮半島と日本の間を分離するような航跡であった。

この動きは、北と合意の上行われていると考えられる。

半島有事に行われれば、日米が韓国に協力する動きを妨害することになる。また、韓国や米軍の動きを捉えて、情報提供することもできる。

北は、あらゆる軍事的手段を使って、韓国を分離孤立させているのだ。

3.韓国海軍の空母保有

韓国軍参謀本部によれば、2030年代初期までに空母の実戦配備を終える計画だという。この空母には、垂直離陸が可能な「F-35B」ステルス戦闘機20機が搭載される。

兵器を保有することは、特に空母となれば、極めて高価な買い物になる。そのため、国家の防衛戦略に基づいて、必要とする兵器を購入、あるいは建造するのが通常だ。

では、韓国では、北が南侵してきた時に、空母が役に立つのか。

韓国軍当局の話(中央日報)によれば、これらを保有する理由は、周辺国(当然、日本)や北の脅威に対処するためだという。

特に、韓国軍が北の短距離弾道ミサイルや超大型多連装ロケット弾によって、韓国国内にある在韓米軍や韓国空軍の基地や滑走路が破壊される可能性があり、その被害を受けないために、空母がいったん領土を離れ、北のミサイルなどの攻撃を避けて、日本海や黄海の自国の経済水域に避難し、韓国戦闘機を残存させ、反撃の手段として用いるためだということだ。

私は、これらが「北の南侵を阻止するための防勢兵器というより攻勢的で外洋で作戦する兵器である」と、『軍事費は日本以上、攻撃的軍拡に舵切った韓国』(JBpress)で述べた。

韓国が、この空母を半島有事の際に運用すると言うのなら、どこに展開し運用するというのか。

この場合、空母の活動範囲は、日本海、黄海、東シナ海、そして対馬海峡になる。

だが、この海域は、韓国と日本、日本と中国、韓国と中国の排他的経済水域が重なり合うところがあり、軍艦が自由に航海できるのは基本原則として中間線までと考えていい。

つまり、活動範囲が極めて狭いのだ。韓国海軍空母が活動できる範囲はかなり制限されている。

したがって、半島有事での行動範囲は日本海、黄海、対馬海峡に限定される。そして、ここには、中国と韓国、日本と韓国の排他的経済水域(EEZ)が設定されている。

EEZには沿岸国の主権が及ばないものとの認識があるが、海洋資源などに関して一定の範囲の主権的権利と管轄権が及ぶことから、公海自由の原則が100%当てはまるものではない。

EEZにおいて、他国が自由に入って、公海と同じように、激しい戦闘を行うことは、沿岸国としても認められないだろう。

現実に、他国のEEZに入って、大々的な演習を行ったということは、記憶にない。

韓国は、中国と同盟関係にはない、日本ともだ。

国際法では、空母が戦闘するための活動範囲は、自国の排他的経済水域と公海で、完全に自由だ。

だが、空母が中国や日本の排他的経済水域に入って艦上機を発進させ、北を攻撃したり、北が対艦ミサイルを撃ち込んできたり、さらに機雷を敷設したりする交戦行為には制限があるのではないか。

他国の排他的経済水域を起点にして、攻撃行動を取ることにより、南北の戦闘が行われることは、日本としても容認できるものではないであろう。

4.空母は韓国ソウルからの脱出用

半島有事では、次のことが必要となる。

①韓国が南北の軍事境界線を越させないために、障害物を増設し、あらゆる火器の火力を北軍に向け、南侵をくい止める。

②ミサイル・ロケットの攻撃を受けて多くの犠牲が出ても、坑道陣地で耐えられるように準備する。

③攻撃をくい止めてから、米韓連合軍で反撃に転じる。

④平壌や元山などの主要都市をミサイル攻撃する。

日韓関係が良ければ、在韓米軍戦闘機はいったん日本に避難し、日本からの出撃も可能、兵站支援も受けられる。

関係が悪化していれば、「支援をやめろ」コールが起こる。

現実には、南北軍事境界線付近の障害や監視所の一部が、南北の合意により取り除かれている。

北は第8回党大会でも、韓国は南北合意を守れ、米国は敵対行為をやめろと言った。

韓国が、北の主張を受け入れてこれを完全に守れば、障害はなくなる。また、米軍との共同演習をやめれば、軍は弱くなる。

そして、在韓米軍がいなくなれば、北の機動軍団や戦車軍団が、ソウルに向けて突進し、北軍がなだれ込むだろう。

こうなると、ソウルの漢江以北は一気に占領されてしまう。

このように、北軍の南北境界線の突破を許して、領土を占領されてしまえば、空母艦載機からの航空攻撃を行っても、占領された既成事実を覆すことはかなり難しい。

だが、韓国軍や在韓米軍司令部は、ソウル南方の平沢にあるので、北による電撃戦で、早期に陥落することはない。

このとき、ソウルにいる文在寅政権内部の者たちは、ソウルを見捨て空中機動師団のヘリやこの空母を使って離脱するのか。

赤化統一を掲げ、軍事力を増強する北に対して、韓国の独立を保つには、北の第8回党大会に騙されない、北の侵攻を許さない、米韓同盟を確実なものにしておくことだ。

半島有事には、日本の支援が必要なことは目に見えている。

韓国は、分離され孤立する道を進むのではなく、米韓同盟を強化し、米韓軍がそれぞれの役割を担うこと、日本との相互理解を進めることが必須である。

韓国が孤立して弱体化していけば、北の軍事力によって統一されてしまう。そうすれば、北の収容所に入れられるか、金委員長の奴隷にされてしまうかだ。

韓国は今、目を覚まさないと手遅れになってしまう。韓国が分離され孤立して喜ぶのは、金正恩委員長だ。

西村 金一

この記事をお届けした
グノシーの最新ニュース情報を、

でも最新ニュース情報をお届けしています。

外部リンク

  • このエントリーをはてなブックマークに追加