カツカレーは許せない!?食談の達人に学ぶ雑談に困った時の鉄板ネタ

カツカレーは許せない!?食談の達人に学ぶ雑談に困った時の鉄板ネタ

  • @DIME
  • 更新日:2021/07/22
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“食談の達人”に学ぶ、雑談に困った時の鉄板ネタ

「雑談に困ったら、食べ物ネタ」と言うけれど・・・

「雑談のネタに困った時は食べ物の話が鉄板」とはよく言われるが、そもそも雑談が苦手な場合、「食べ物でどんな話を振ればいいのかも思い浮かばない」という人も多い。誰もが興味津々で食いついて来て、自然と話が広がるような食談のネタはないものか、と思っている人にぜひ読んでほしいのが、料理人で飲食店プロデューサーの稲田俊輔さんの近著「おいしいものでできている」だ。

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▲「おいしいものでできている」(稲田俊輔著/リトルモア)。2021年3月発売。書下ろしエッセイ28篇と、4点のオリジナルレシピを収録

著者の稲田さんは、「だいたい1ステップか2ステップ!なのに本格インドカレー(柴田書店)」などのインド料理本の著書を持つ料理人であり、人気の南インド料理店「エリックサウス」(全国8店舗)を含め和食やビストロなど幅広いジャンルの飲食店25店舗(海外はベトナムにも出店)を展開している、辣腕の飲食店プロデューサーでもある。

「おいしいものでできている」は、自らを“フードサイコパス” ”ジャンルを問わず何にでも喰いつく変態料理人“”ナチュラルボーン食いしん坊“と自認する稲田さんならではの、食に対するディープなこだわりや考察が詰まった本。とはいえ、「月見うどん」「サンドイッチ」「幕ノ内弁当」「宅配ピザ」など身近な定番の食べ物を切り口としていて、誰でも気楽に楽しく読める本なのでご安心を。

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同書はどこを開いても食談のヒントになりそうな話題がぎっちりつまっているが、その例として3つの章をあげてみよう。

「◎◎さんにとって最高の卵料理って、何ですか?」

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卵料理が好きです。そして僕が思う世界最高の卵料理。それは、

「月見うどんの卵黄を破ってうどんをすする最初の一口」

です。(「幸福の月見うどん」より)

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本書ではこの後、「月見うどんの卵黄の最初の一口」のおいしさを熱く語っている。茹でたてのうどんに生卵をからめた「釜玉うどん」が広まった時は「これだ!」と大興奮したものの、「何かが違う」と気づく。それは、卵黄を破る一瞬でしか味わえない “儚(はかな)さ”の欠如なのかも、と稲田さんは考察する。そして、その儚い「最初の一口」だけをたくさん食べるための方法を模索した後、「一周まわって」最初の一口を堪能した後の月見うどんの魅力にも開眼するのだ。

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「情熱的な最初の一口を尊い思い出として反芻(はんすう)しながら、その後の穏やかな長い時間を安らかな気持ちで過ごしていく。それは喩えるなら、熱情の時季を経て後、永く連れ添うカップルのような営みなのかもしれません」(「幸福の月見うどん」より)

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月見うどんの話が、壮大なラブストーリーにまで広がることに驚きつつ、読み終わるとたまらなく月見うどんが食べたくなることうけあいだ。(卵アレルギーの人がいないかどうかを先に確認する必要があるが)多くの人には「一番好きな卵料理」の「一番好きな状態や条件」があり、それを語る時、少し熱くなるのではないだろうか。

ちなみに私が最高の卵料理だと思うのは、最初に卵黄だけを焼く自己流の目玉焼き(黄身が半熟で、白身が半生の焼き加減)。そうすると時間の経過とともに白身から入ってくる卵黄の水分が抜け、生みたての新鮮な卵の卵黄の濃密なコクが味わえる。さらに黄身と白身の焼き加減の調整が別々にできる。高級ホテルの朝食の目玉焼きを食べても、「いつもの目玉焼きの方が絶対おいしい」と、必ず思う。

■「◎◎さんが、カレーに乗せて許せないものって何ですか?」

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かつてある友人がこんなことをいっていました。

「日本人は、カレーを見ると必ずそこに何かを載せたくなる民族なんだよ」

けだし名言だと思います。(「カツカレー嫌い」より)

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稲田さんは、カレーもカツも大好き。だけどその二つが合体すると、1+1が2になるのではなく、1.5くらいになってしまうと感じた時から、洋食店ではカレーとカツを別々に注文するようになる。10年が過ぎた頃、そんな自分の狭い考えを一度は反省し、まわりのカレーマニアに教えを請うて“最高のカツカレー”行脚をしたが、最初の確信が深まるばかりだった。

なぜ稲田さんがカツカレーが許せないのか、その理由は本書を読んでもらうとして、「好きな食べ物」と同じくらい「嫌いな食べ物」「許せない食べ物」の話もまた、不思議と盛り上がるものだ。「カレーに載っているもの」に限定しなくてもいい。「鍋物に入っていると許せないもの」「みそ汁に入っていると許せないもの」「サラダに入っていると許せないもの」でもいい。

ただしこの章の冒頭で稲田さんも言及しているとおり、自分が「嫌い」であっても、それが好きな人を否定しないことが大切。「そのおいしさを自分も理解したい」「できれば好きになりたいのに」という気持ちを伝えることで、話がより盛り上がるのだ。

■「僕、◎◎音痴なんですけど、◎◎だけは好きなんですよ」

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先に正直に言っておくと僕は、蕎麦音痴です。蕎麦の味の違いがよくわかりません。初夏になり蕎麦屋に「新そば」などと書いた紙が貼り出されたりすると思わずときめいて暖簾をくぐってみたりもしますが、それが普段の蕎麦とどう違うのか正直よくわかっていません。(「天ぬきの友情」より)

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SNSで最も嫌われる発言は、“上から目線”だといわれる。食談でもその姿勢は重要。自分にそのおいしさがわからない食べ物について語る時は、「自分は◎◎音痴で」というように自分を下げて表現すると、◎◎好きは乗り出して、その魅力を教えようとするだろう。

「自分は◎◎音痴」というカミングアウトだけでもかなり盛り上がるが、その変化球として、「◎◎は好きだけど、◎◎は別なんです」というような切り口もあり。

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と、そんな僕ですが「蕎麦屋」は大好きです。いわゆる蕎麦前と呼ばれる蕎麦屋のつまみ、たとえば蕎麦味噌だの串にささってない焼き鳥だのをちょいちょいつまみつつ、ゆっくり飲みながらだらだら過ごすひと時が大好きなのです。(「天ぬきの友情」より)

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「甘いもの音痴だけど、◎◎アイスだけは昔からなぜか好き」「カレーパン音痴だけど、◎◎(コンビニ名)のは好き」でもいいし、「ピーマンは苦手だけど、天ぷらにすると好物」でもいい。自分の食の好みの不思議さ、おかしさをカミングアウトし、「◎◎さんはそういうのってありますか?」と問いかけてみよう。

■チェーン店での雑談なら、この本もおすすめ!

もし仕事の前後にチェーン店で雑談をする機会が多いなら、稲田さんの著書「人気飲食チェーンの本当のスゴさがわかる本」もおすすめだ。デニーズ、ロイヤルホスト、マクドナルドなど大手メジャーチェーン店の、プロから見た凄さや絶品メニューを解説していて、ネタの宝庫。実際に食べながら語り合えば、盛り上がること間違いなしだ。

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▲「人気飲食チェーンの本当のスゴさがわかる本」 (稲田俊輔著/扶桑社新書)。半分近くがサイゼリヤで、著者のサイゼリヤ愛もほとばしっている

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食談は、新しい価値を発見するきっかけ

最後に、稲田さんから“食談の極意”をうかがったので紹介する。

誰かが好きなものについて語っているのを聴くのは気分の良いものです。

自分が好きなものについて語るのもまた楽しいものです。

「食」はそんな「好きもの語り」のための共通の話題を探すのにうってつけ。もちろんそこで「グルメ自慢」なんて愚の骨頂なのは言うまでもありません。

普段接している、何気ない、当たり前の食べ物を話題にするからこそ、それは単に会話が盛り上がるだけでなく、身近な食べ物の新しい価値を発見できるきっかけにもなるんです。

文・桑原恵美子

編集/inox.

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