三木谷会長「補強足りなかった」永井SD「批判の声、真摯に受け止め」ヴィッセル神戸、サポーター意見交換会詳報

三木谷会長「補強足りなかった」永井SD「批判の声、真摯に受け止め」ヴィッセル神戸、サポーター意見交換会詳報

  • 神戸新聞NEXT
  • 更新日:2022/05/14

14日に行われたJ1ヴィッセル神戸のクラブ幹部とファン・サポーターの意見交換会「サポーターカンファレンス」の主なやりとりは次の通り。

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ヴィッセル神戸の三木谷浩史会長(資料写真)

■三木谷浩史会長のあいさつ(オンライン)

「きょうはウクライナ問題などの案件があり直接うかがえず申し訳ない。皆さんがうかがいたいのは二つだと思う。一つはチームの現状と永井氏のSD(スポーツダイレクター)就任のこと。去年は3位という、私がクラブを引き継いだときには考えられなかった順位に行けた。それまではプレハブの練習でピッチもぐちゃぐちゃな中、設備を整えてきて、ポドルスキやイニエスタ、ビジャ、フェルマーレン、サンペールと外国人中心に補強することで魅力的なチームをつくって、酒井、山口、武藤、大迫らが集まり、基盤ができてきた。ACLでも微妙な判定がなければ決勝に行けていたと思う。2021年の実績をベースに戦えれば、戦力が整っているかなと考えていた。だが、W杯予選などによる過密日程で負傷者が続出してしまった。反省の弁で言うと、もう少し補強が必要だった。私も含めた現場の責任だ」

「SDという職に関しては、サラリーマンとは違う。サッカー界のネットワークやサッカーに関するビジョンを体系立って持っている人は少ない。私と永井氏はヴェルディ時代からの付き合い。若者たちへの熱血的な指導を生の目で見てきた。監督の辞任の経緯やJFA(日本サッカー協会)を含めた(処分の)対応に、ぶっちゃけて言うとかなり違和感があった。本人へのヒアリング、三浦アツ(淳寛元監督)にも相談し、永井氏に強化リーダーとなってもらおうと。JFAにも相談し、現場の指揮は更生プログラムをしっかり終わってからだが、強化部は問題ないと。ロティーナ監督の招聘(しょうへい)に関わり、補強に対するネットワークもある。何とかこの体制でサポーターと一緒にやっていければうれしい。私も未来永劫、会長職をやる必要はない。個人の会社として支援した時代から含めて喜ぶ顔が見たいと思ってやってきたが、このような事態になり申し訳ない。この会で相互理解が深まり、一丸となっていければ」

■徳山大樹社長のあいさつ

「これまでサポーターに話をする機会を持てず申し訳ない。神戸は2018年にイニエスタが加入したタイミングから『アジアナンバーワンクラブ』というスローガンを掲げ、ボールを保持して試合を支配していくというスタイルでやってきた。うまくいかないことも多かったが、2020年元旦にタイトルを取り、。ACLでベスト4。次のシーズンでリーグ3位となり、ACL出場権獲得という目標を達成できた。今年も継続して昨年のベースをさらに昇華していこうとやってきたが、リーグ最下位という現状に申し訳ない気持ちでいっぱいだ。ACLやW杯予選の日程などでの過密なども含めて主力が多く離脱し、目指すべきサッカーができていない状況が続いた。三浦監督はヴィッセルの功労者で感謝してもしきれないが、(監督交代という)苦しい決断をしてロティーナ監督に託しているところ。サポミ(サポーターミーティング)がこのタイミングになったのは、4月に急きょサポーターに説明したいというタイミングになったが、日程会場の都合もあり30人との話になってしまった。この対応も不備があったと思う。ACLへの出発や監督交代も重なり、どうしても4月中に開催できなかった」

「永井氏の件は、SD就任の前にも本人と何度も話し合った。ハラスメントについては本人も深く反省している。かつ、プロジェクトを成功させるんだという強い決意に感銘を受けた。SDという職をお願いすることがプロジェクト成功につながると確信した。ただ、皆さんからたくさんのご意見があるということは真摯に受け止めている。ハラスメントは一切許容はできない。クラブでもハラスメントが起こらないようホットライン設置などの対策をしている。Jリーグが行っている研修以外にも楽天独自の研修を行っている。今、チームは正直苦しい状況だが、選手同士のミーティングも実施された。最後の最後、チームが勝つか負けるかというところでファンやサポーターの力は大きい。まだ声は出せないが、皆さんがスタジアムにいることは選手の大きな支えとなっている」

■永井秀樹SDのあいさつ

「改めてになりますがヴィッセル神戸に関わることで皆さんにご迷惑をおかけしたことをおわびします。もっと早いタイミングで正直な思いを伝えたかったが、この場ですべてをお話できないという難しさやつらさはご理解いただければ。今でも大好きなクラブであるヴェルディ(東京)の内部の話までしなければならない。頑張っている教え子に迷惑がかかってしまう。私自身、日本サッカーを変えてきたヴェルディの一員としていた中で、ヴェルディの現状が本当に悔しくて、必ず再建しようと全精力を注いでやってきた。目指すのは2010年のバルセロナのサッカー。それこそイニエスタ選手のプレーもすり切れるほどユースの選手たちと見た。だが、ヴェルディを好きすぎたゆえに回りが見えなくなっていたのかなと反省した。マスコミ報道もあり家族にも迷惑をかけた。娘が学校に行けないという苦しい時期もありました」

「フットボールから離れた生活で自分の未熟さを反省する日々の中、ヴィッセル神戸のプロジェクトに参加してもらえないかと話があった。悩み、引き受けてはいけないという思いの方が強く一度は断ったが、理想とするサッカーの中心だったイニエスタがいる。S級ライセンスの講習も迷わずヴィッセル神戸を選んだほど。反省はこれからもするが、全力で向き合うことも大事ではないかと考えた。ご批判の声は真摯に受け止めている。批判と称賛の世界で生きてきた中、これからの結果でお示しするしかない。現状は大変苦しいが、我々は何としても状況を好転させていく。三木谷会長のお父様に残して頂いた『一致団結』という言葉を体現していきたい。選手たちは頑張っているが、まだ本当の意味での一致団結はできていないと感じる。サッカークラブは、フロントやオーナー企業、スポンサー、関係者だけでは成り立たない。ファン、サポーターの力が必要。よろしくお願いします」

■質疑応答

-このクラブが今後目指すサッカーのロードマップが欲しい。長期ビジョンがないと感じる。

永井SD「きちんとした中長期のプランをお示ししたい。直近のトップが成績を残していかないといけないが、ユースの育成も合わせて示していきたい。2010年のバルサがなぜ理想的だと思うのか。それはカンテラ(育成組織)の8人がレギュラーで活躍していたこと。ヴィッセルでもできると思うし、日本中の子どもたちが夢を持って入ってくれるようなクラブにしていきたい」

-11試合が終わって単独最下位だが、これから何位を目指すのか。そのために何をするのか。

永井SD「目指すところは変わっていない。リーグ、カップ戦も含めて一番いい結果を目指していく。そのためにロティーナ監督を招いた。びっくりするぐらい世界の名将からも売り込みがあったが、守備を組織できて何よりJリーグを知っている監督、来てすぐアジャストできるという監督を招聘させていただいだ。自分が来て数カ月見た中で、実績あるベテラン勢は責任感をもって引っ張ってくれているが、若手たちのいらない遠慮を感じる。もっとヴィッセルの未来は自分たちがつくっていくんだ、というぐらいの気持ちを持ってほしい。イニエスタ選手のためにほかの日本人選手がどれだけ走れるか、調子の悪い選手がいたら、他の選手が頑張れるか。どこかうまくいかないと他の選手のせいにしがち。犠牲心を持って人のために戦う集団になれば勝ちに必ずつながっていく。夏の補強もすごく大事。現有戦力を見極めながら、言葉通りのことを実現していきたい」

-ACLのチェンライとの第1戦は躍動感があったが、Jリーグに帰ってくると萎縮しているのではと感じる。

永井SD「なぜ勇気を持ってプレーできないのか、自信を失っているように見えるのか、というのはロティーナ監督ともよく話す。ボールを保持して試合を支配するというのは、すべてゴールからの逆算。その方法や手段が先に来てしまうと、一つ間違えれば退屈なサッカーになってしまう。ワクワク、感動してもらえるようなサッカーができると信じている。一丸となって今日からやっていきたい」

-永井SDは現状のアカデミーをどう見ているのか。

永井SD「クラブにとってアカデミー組織は宝物。ヴェルディユースを2年半指導した中で確信したのは、情熱を持って指導すれば選手たちは応えてくれるということ。当時のユースから11人をトップチームの世界に送り込めた。まだ来てすぐでしっかり見れていないが、世界中のお手本になるイニエスタ選手がいるというのはこのクラブのものすごい強み。日本サッカーのためにも、日本がW杯で優勝できるための選手をヴィッセルから輩出していきたい」

-永井SDは「情熱をもって指導すれば選手は応えてくれる」と話したが、その情熱から湧き上がった何かが間違っていたのでは。

徳山社長「本人とは何度も話し合いを重ねて、深く反省している。今後本当に起こらないのか、研修もしているが、したらいいというものではない。自分も見ているが、少なくとも永井SDは現場で選手だけでなくスタッフに対しても丁寧にコミュニケーションを取っている。これまでは情熱の伝え方が適切ではなかった。改善されているかを確認し、日本サッカー協会やJリーグとも事前に相談し、(就任について)理解をいただき、セカンドチャンスを与えたいという思いがあった。サポーターから理解いただけていないことを認識し、今後のプロセスで納得いただくしかない」

-サポーターへの説明が遅かったのでは。サポーターからの批判は想定していなのか。

徳山社長「批判の声がないとは思っていなかったが、そこに寄り添うという姿勢があれば説明のタイムラインは適切ではなかった。深く反省している」

-(指導者ライセンスの)処分期間が明けてからのタイミングで就任しても良かったのでは。

徳山社長「正直申し上げてタイミングは悩んだ。(資格停止中は)SDという役職は遅らせて他の役職で、というのも検討したが、このプロジェクトを進めていく上でSDは非常に重要。必要な能力や知見、目指すサッカーのスタイルや体現する能力について、永井氏にはその素養がある。この件に関して反省が見えると判断し、永井氏が必要だと考えた」

-イニエスタ選手の加入会見が東京であったが、バルセロナが(スペインの首都の)マドリードで会見するのか。近年のクラブの姿勢には地元軽視を感じる。いつか神戸から移転してしまうのではと思ってしまう。

徳山社長「ヴィッセル神戸は移転しませんのでご安心ください。三木谷がしっかり思いを伝えたいという中、スケジュールの都合などで東京になってしまったが、極力、基本的には神戸でやっていきたい。ヴィッセル神戸は神戸の皆さんに支えられている。支えられないと成長していけない。きょう(シャレン!アウオードの)授賞式のある新型コロナワクチン接種会場の提供も、クラブとして一つの価値を提供できたのかなと。試合日には地元の方々に楽しんでもらえるイベントを始め、アウェーのサポーターにも神戸を感じてもらえる(スタジアムグルメ)『名店街』などもやってきた。皆さんに『神戸のクラブだよね』と思っていただくことがゴール。神戸の皆さんを見てしっかりやっていきたい」

-永井SDの娘さんがスポーツをされるときに、指導者であったり大切な役職の方がハラスメントをして、謹慎が明けていない人がいた場合、そのチームに託せますか」

永井SD「相当心配すると思います」

-個人的に(元監督の)リージョ監督から(人事について)三木谷オーナーの現場介入があったと聞いた。永井SDは知った上で就任したのか。

永井SD「自分に関してはそういうことは全くなかった。三木谷さんに対しては、現実的にイニエスタ選手を連れてきて、ヴィッセルのため、日本サッカーのためにご尽力され、端から見てて尊敬しかなかった。(人事などは)きちんと話し合いを重ねて決めていくこと」

徳山社長「個人名が出て驚いたが、サッカーで決断をするのは現場が主導するもの。その点について会長が介入するとうわさされていることはない。三木谷オーナーも代表取締役会長として関わっており、報告するのは当然のこと。ただ、彼が決めたことで全てが動いているというのは誤解で、そういうものがあれば解いていきたい」

-クラブの情報開示について。いいことは大々的に報じるが、ネガティブな情報は遅いし不透明だと感じる。

徳山社長「こういったサポーターミーティングは、以前はもっとなかったと聞いているが、これからはしっかりこういった場を定期的に開催し、プランなどを説明して説明していくということをお示ししたい」

-神戸のプロジェクトの今後について。

徳山社長「一つのゴールはアジアナンバーワン。イニエスタ選手との契約は来年まで残っている。彼がいる中でどれだけスタイルを構築できるか。(元バルセロナ育成部門責任者の)アルベルト(・ベナイジェス)らが来たが、日本の土壌にスペインのやり方を当てはめていくのは難しい部分もあったが、U12などでもスタイルは確立できてきて、5年後にはより開花していくはず。単にイニエスタ選手がいなくなったら終わるものではない」

-プロジェクトの進捗状況は。

徳山社長「今のリーグ戦の状況でお話するのは難しいが、50%に満たないのかなと思う。今年、来年というのが非常に重要なシーズンになる」

-神戸は監督交代が多く、監督によってスタイルが変わってしまう。

永井SD「サッカー哲学とサッカースタイルがある。神戸が目指す哲学は変えるべきではないが、その中でスタイルが変わるのはどうしてもある。ロティーナ監督に関しては、もっと守備をするのかなと思っていたが、ポジショナルなところもかなりやっている」

-三木谷さんが来てくれてとても感謝しているが、その強い影響力に対してフロントが弱くなり、サラリーマン化が進んでいるのでは。今回の意見交換会も(要請から)1カ月放置されたが、もっと早くできたはず。

徳山社長「結果としてこのタイミングになってしまい、クラブに対する思いを悪い方向に増長させてしまったことは申し訳なかった。ここに来て質問いただくことは非常にパワーがいることだと思う。三木谷というのは重要な存在で、彼がいたからこそ実現できたことも多いが、誤解が生まれないようにしていくのも私の職務。少しでもよくなったと思ってもらえるようにやっていきたいし、皆さんと一緒に乗り越えていきたい」

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