ある日目が覚めて身体が動かなかった。退職した私に届いた言葉

ある日目が覚めて身体が動かなかった。退職した私に届いた言葉

  • かがみよかがみ
  • 更新日:2021/02/22
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3ヶ月前、精神的に体調を崩し逃げるように会社を辞めた。

本当はもっと前から、自分の頭が少しずつおかしくなっていることに気付いていた。仕事中ずっと心臓がバクバクしていて、一生懸命に深呼吸ばかりしていた。昼食は食べる気にならなくて、帰宅してから狂ったように食べた。沢山寝れば明日こそポジティブに頑張れると信じて、必死に睡眠時間を確保した。でも通勤では逆方向行きの車両ばかり目で追って、帰路では駅のホームが灰色に見えた。

ある朝家を出る直前にパスケースが見つからないだけで床にうずくまって泣き叫んだ時、限界だと思った。その翌週か翌々週、目覚めた瞬間に身体が全く動かず「もう二度と行けない」と全身で悟り、そのまま誰とも顔を合わせずに退職手続きをさせてもらった。

仕事が続かない私に、祖父がくれた魔法の言葉。「そんな完璧な人間にはなれない」と思っていたけど

なのにそんな先輩は一言も言わずに突然辞めた。裏切ってしまった。

私には可愛がっている後輩が何人もいた。職業柄みんなどこか真っ当なレールからあえて外れた雰囲気を纏った個性派揃いで、共に悩みを言い合える感性の近い人、物怖じせず根っからの明るさを持った自分とは正反対な人、才能に溢れ磁石みたいに人が集まってくる人、みんな好きだった。

小さい組織の中で、私は年齢層の高い上司たちと後輩たちの中間ポジションとして働いていた。日々私を頼ってくれていたし、プライベートでも仲良くしてくれていた。ひとつひとつ一緒に頑張っていた。なのにそんな先輩は一言も言わずに突然辞めた。裏切ってしまった。

仕事が好きだった。辞めたくなかった。来年、再来年と経験を積んで仕事ができる格好良い自分を思い描いていたくせに、悔しくて情けなくて申し訳なかった。そして自己嫌悪する気持ちと比例して、それまで関わりのあった全員が怖くて怖くてたまらなくなった。

後輩のひとりからLINEを貰った 返信するまでひと月も経ってしまった

正月に後輩のひとりからLINEを貰った。通知を見ただけで震え上がってしまい見ることができずに返信するまでひと月も経ってしまった。ピンク色がよく似合うふわっとした見た目と肝の座った中身のギャップが素敵な彼女は、心配してくれていた。謝ることしかできない私に、すぐにまた返事を返してくれた。

「どんな病気だって、気を付けていても突然患ってしまうものなので本当に仕方のないことです。」

どこを取っても優しさに溢れていた。

例えば風邪だってコロナウィルスだって鬱病だってどんな病気だってそう。

心身が健康でいられるように気を付けてたのは分かってる。

突然どうしようもなくなってしまうものだってことも分かってる。

仕方のないことだから気にしなくていい。本当に。

返信はこの言葉を含めた長文で、きっと何て送ろうか考えてくれていたんだと思った。ひと月も既読さえ付けない私に。

弱った自分を見られたくなかった、否定されるのが嫌で突き放して逃げた

人間関係が下手な自分が心底嫌になる。どうしてこんなに難しいのだろう。こんなに優しい言葉をかけてくれる人をなぜ信じられなかったのだろう。きっと嫌われたに違いない。もう合わせる顔がない。今までの人間関係はもう自分がゼロにしてしまったんだと思い込んでひとり残らずリセットしようとした。弱った自分を見られたくなかった、否定されるのが嫌で突き放して逃げた。

自分の弱いところを見られる怖さよりも、簡単に関係を手放してしまうことの方がよっぽど怖いと気付いた。人を信じることをやめてしまったら、いつの日か周りに誰もいなくなるんじゃないか。プライベートでも仕事でも、良い思い出と一緒に頭に浮かぶ人は、本当に恐れるような人なのだろうか。今まで積み重ねてきた関係は、みんな人間で、みんな優しい人たちだったんじゃないの。

まだまだ人生は続くから、この先も沢山の出会いが待ってる。自分のことなんて分かってもらえないと怯えるのではなく、勇気を出して信じられるようになりたい。そして私も、遠慮せずに優しい言葉をかけることができる人間になりたい。人間関係が大の苦手だと暗示をかけてる自分から変われるのかもしれないと少しだけ楽しみになった。

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