
◆第95回選抜高校野球大会1回戦 大垣日大3ー4沖縄尚学(18日、甲子園球場)
打った瞬間「行った」と思える当たりだった。3回2死満塁。沖縄尚学の4番仲田が初球の直球をたたくと、打球は左中間スタンドへ一直線に飛び込んだ。今大会第1号弾は、沖縄県勢にとって春の甲子園初のグランドスラムというメモリアルアーチ。表情を変えず淡々とダイヤモンドを回ったが「恥ずかしくてできなかったけど、心の中でガッツポーズしていました」とシャイな心の内を明かした。
チームで一番の長打力と勝負強さを持つ頼りになる4番だ。昨秋の公式戦ではチームトップの19打点をたたき出した。「チャンスで打席に立ちたい。走者がいると気持ちの入り方も違う」と最高の場面でこれ以上ない結果を出した。「打ってほしい人がこれ以上ない形で打った。4番の働きに尽きる」と比嘉監督は仲田の活躍に目を細めた。
好きな選手はWBC準々決勝のイタリア戦で3ランを放った巨人の4番岡本和。「3ランを打った勝負強さはすごいと思います。近づきたい」。岡本和の動画を見ながらフォームを研究し「一番しっくりくるので」と似た構えになった。
日が落ちて気温が下がった甲子園で、声出し応援が解禁されスタンドの指笛が選手たちを後押しした。「応援の力は大きかった。次もチャンスで打ちたい」。186センチのビッグな主砲は次戦の活躍を誓った。
(前田泰子)
西日本スポーツ