小島慶子「居場所はここだよ セサミストリートのエルモが伝える多様性」

小島慶子「居場所はここだよ セサミストリートのエルモが伝える多様性」

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  • 更新日:2021/11/25
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エッセイスト 小島慶子

タレントでエッセイストの小島慶子さんが「AERA」で連載する「幸複のススメ!」をお届けします。多くの原稿を抱え、夫と息子たちが住むオーストラリアと、仕事のある日本とを往復する小島さん。日々の暮らしの中から生まれる思いを綴ります。

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アメリカの子供向け番組「セサミストリート」に新しくアジア系のキャラクターが登場します。52年の番組史上初とのこと。新キャラクターのジヨンは7歳の韓国系アメリカ人の女の子。エレキギターの演奏とスケートボードが大好きで、夢はメンバーのほとんどがアジア系の人気ガールズバンド「リンダ・リンダズ」との共演。ジヨンの声を担当するのも韓国系アメリカ人のキャストです。ジヨンは感謝祭の特番でデビューし、ゲストの大坂なおみ選手らとも共演するそうです。

背景には、昨年来急増するアジア系住民へのヘイトクライムがあります。トランプ前大統領は新型コロナウイルスを執拗に「チャイナ・ウイルス」と呼び、露骨な差別感情を煽(あお)りました。アジア系住民が通りすがりに「自分の国に帰れ」と罵倒されたり、暴行を受ける事件が続発。在米邦人にも被害が及んでいます。今年3月のアトランタの銃撃事件では多数の韓国系女性が殺害されました。アメリカとイギリスでは、2020年のネット上のアジア人への攻撃が前年比で1662%増加という調査も。17倍近い激増です。そんな中、セサミストリートではジヨンを登場させることを決めたとのこと。周囲の人に「ここから出ていけ」と言われるジヨンを、友達のエルモやゲストたちが「あなたの居場所はここだよ」と歓迎するストーリーだそうです。

アジア系の子供たちにとっては自分と似た子供が見慣れた画面の中にいることが安心感となり、また多くの子供たちに人種差別にNOのメッセージを伝えることができます。同時に、アジア系住民にもそれぞれに固有の文化やアイデンティティーがあることにも配慮したとのこと。これまでにも自閉症をもつジュリアや里親の元で育つカーリなど社会の実態を反映した多様性を取り入れてきた同番組。ジヨンの登場は本当に心強いです。

小島慶子(こじま・けいこ)/エッセイスト。1972年生まれ。東京大学大学院情報学環客員研究員。近著に『幸せな結婚』(新潮社)。『仕事と子育てが大変すぎてリアルに泣いているママたちへ!』(日経BP社)が発売中

※AERA 2021年11月29日号

小島慶子

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