
ニューヨークで公共トイレを探すのに苦労したことをきっかけに、観光客や地元市民のための利用可能な「トイレマップ」を作成したテディ・シーゲルさん(24歳)。ひとえに「公共トイレ」といっても、それは市民の健康や安全など、さまざまな観点から実はとても大切な意味をもっていること。
トイレへのアクセスの大切さを訴え、TikTokなどの各種SNSで@got2gonycというアカウント名で活動し、ウェブサイトも立ち上げたシーゲルさん。そんなアクティビズムが注目を集め、改善のために市とも協力しているそう。
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世界の公共トイレ事情
日本では多くの公共の場所で、無料で使用できるトイレがあるのが一般的となっていますが、海外に行くとその数の少なさに驚いた方もいるのではないでしょうか? 欧米では防犯のため入口にロックをかけているところや、維持費のために有料にしている公共トイレも多く、国によって事情はさまざまです。
トイレ用品を取り扱うイギリス企業の「QS Supplie」は2021年、世界の公共トイレ事情を調査。そこでアメリカ合衆国の平均的な公共トイレの数は、人口10万人に対して8つしか用意がない状態で、ニューヨーク市では10万人あたり4つになることがわかりました。一方世界で最も普及しているのはアイスランドで、10万人あたり56もあるといいます。

動画に多くの反響が!
ニューヨークの公共トイレの数の少なさに、自身も困ったことがあったというテディさん。 <INSIDER>によると、タイムズスクエアで買い物中に利用できる公共のトイレがぜんぜん見つからなかったほか、お店のトイレはすべて「従業員専用だから」と断られたことがあったそう。
そしてテディさんは、同じく困っているかもしれない人に向けて、公共トイレの正確な位置をGoogle マップ上で示す動画を作るように。無料で使えるところだけでなく、地域ごとの利用可能なトイレや化粧直しができるスペースがあるところなど、細かい情報を発信しています。
これには多くの反響があり、視聴者からも使用可能なトイレの情報が送られるように。それらが集められて生まれた「トイレマップ」は、閲覧者が新しい場所を追加したり、暗証番号が変更された場合に更新したりして、常に最新の状態を保てるようになっています。
さらに<Teen Vogue>が報じたところによると、無料の生理用品があるかどうかや、ジェンダーニュートラルな設備がどうかなどの記載もあるそうです。
状況の改善に向けて…
2022年6月にはニューヨーク市庁舎の階段で、市内全域で稼働している公共トイレの数を報告する機関である「Intro 258」を支持するスピーチを行ったテディさん。今やマンハッタン区長のマーク・レヴィーン氏や、ほかの市議会議員らと一緒に活動をするようになったと<INSIDER>は報じています。
「トイレについてこれほど率直に話すことは、以前は想像もできなかった」と同メディアに語ったテディさん。
15万4000以上のTikTokフォロワー数をもつアカウントを運営する彼女は、このトピックを中心に成長したコミュニティと、彼女の使命が“トイレへのアクセスを取り巻くスティグマを打破する”ことに発展したことをうれしく思っているそうです。
ニューヨーク市議会員のサンディ・ナース氏は 今年8月、2035年までに住民2000人あたり1つのトイレを提供することを目標に、公共トイレの環境改善を目指すさらなる法案を提出したとのこと。状況の発展を見届けたい。