お洒落な「防弾服」で急成長、米Aspettoを生んだ30歳起業家たち

お洒落な「防弾服」で急成長、米Aspettoを生んだ30歳起業家たち

  • Forbes JAPAN
  • 更新日:2020/10/18
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米国の防弾服メーカー「Aspetto」の共同創業者兼CEOであるAbbas Haiderは、コロナ禍で事業が打撃を受けることを懸念していた。バージニア州フレデリックスバーグに本拠を置く同社の主な顧客は連邦政府機関だ。

「防衛関連の契約の多くが個人用の防護具(PPE)に流れ、売上が低迷すると思っていた」とHaiderは話す。

しかし、Haiderの予想に反してAspettoの事業は急成長している。売上高は、2019年の200万ドルから1250万ドル(約13億円)に拡大する見込みだ。Haiderともう1人の共同創業者であるRobert Davisは、いずれも30歳だ。

同社の今年の受注額は既に1400万ドルに達し、来年の売上高は2500万ドルを超える見通しだという。Aspettoは、年初から米空軍の女性兵士用の装備や、国土安全保障省向けの防弾ベスト、国税庁向けの防弾盾、連邦刑務局向けの防刃ベストなど、数百万ドルの受注を獲得している。

「成功の秘訣はイノベーションだ。他社より優れたソリューションを軍に提供できたのは、我々がファッションという、これまでと異なる視点で製品開発を行ったからだ」とHaiderは話す。

従来の防弾ベストは実用性が重視されていたが、Haiderはファッション性に優れた製品の開発を思い立った。彼は、メアリー・ワシントン大学に在学中にクラスメートだったDavisとチームを組み、2008年にAspettoを設立した。2人は、連邦政府機関が治安の悪い地域に滞在する職員向けに、見栄えの良い防弾服を購入すると予想した。

政府機関の男性用スーツはスタイリッシュだったが、防弾性能を備えたものは3500ドルも追加でコストがかかっていたのだ。彼らの読みは当たり、会社は急成長を遂げた。2人は、フォーブスが発表する製造業分野における「30アンダー30」に選出された。

Aspettoの従業員数はわずか12人だが、現在ではファッション以外の軍用製品にも手を広げている。大手の軍事請負企業との入札で勝利するケースもあるという。「我々は業界の異端児だ」とDavisは話す。

Aspettoは、6月に米空軍から女性兵士専用ギアの納入業者に選定された。「我々は、複数の業者の1社に過ぎないと思っていた。空軍の担当者に電話をし、他に何社が選ばれたか聞いてみると、我々だけであることがわかった」とHaiderは述べた。

Haiderによると、他国の政府も米空軍のサプライヤーを採用するケースが多く、空軍の入札を獲得できたことは非常に大きな意味を持つという。実際、米空軍がAspettoとの契約を発表した直後に、オランダやオーストラリアの軍から問い合わせを受けたという。

Haiderによると、政府請負業者の中で異端児でいることは簡単ではないという。Aspettoは、これまでに何度も著作権侵害で訴えられたり、他社を訴えたことがあるという。「成功すると、他社から標的にされる。新参者であればなおさらだ。ある展示会でエレベーターに乗り合わせた人から、他社が追いかけてくるぞと警告された。もちろん、意に介さなかったが」とHaiderは話す。

Aspettoは現在、小規模なサイバーセキュリティ企業の買収を進めており、近くこの分野に参入する予定だ。サイバーセキュリティにおいても新参者だが、軍との契約を獲得する上では、既存の契約が役に立つという。

「我々は防弾服業界に参入したときも、製品に関する知識はあまりなく、事業を通じて学びたいと考えていた。我々は、防弾服の分野で革新的な製品を開発し続けると同時に、事業の多角化を進めていきたい」とHaiderは話す。

事業が拡大する中、Aspettoは過去2年間で大手企業2社から防弾服事業の買収を打診されたという。Aspettoは、これまでに外部から資金調達をしたことがなく、HaiderもDavisも自社の価値がわからないという。他にも何度か買収提案を受けたが、全て断っている。

「我々はビジネススクールを卒業したエリートではないが、事業を通じて多くのことを学習している」とHaiderは語った。

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