9月は世界小児がん啓発月間です。小児がんは15歳未満の子どもたちが罹患するがんの総称で、日本では年間2000人から2500人、富山県内にも患者がいます。いま、その子どもや家族を支援する取り組みが広がりをみせています。
【写真を見る】「レモネードの意味」は小児がん支援 理解を深め子どもたちの居場所・治療の研究費づくり 富山
射水市で行われたイベントの一角でみんなが手にしているのは冷たいレモネードです。そこには小児がん患者や家族の思いが込められているのです。
およそ20年前、アメリカで始まった「レモネードスタンド」。小児がんと闘っていた少女がレモネードを販売したことが始まりとされ、その活動は海を越え日本でも注目を集めています。
企画したのは、竹内ますみさん。小学校低学年になる長男は4歳のときに小児がんになりました。
竹内ますみさん:「半年くらい前からおう吐とか高熱が続いて、いろんな病院にも行ったし保育園にも相談しましたたが、『お母さんの心配しすぎかな』とかって言われ続けて…」
見えないところでたくさんの障害が残った…
その後たまたま行った眼科で、医師から告げられた言葉…。
竹内ますみさん:「この子は片方の目が見えていませんよって言われて、その時にすぐに腫瘍があるってわかって、それが小児がんだった…」
小児がんは進行が早く県内では治療が難しかったため、すぐに東京の病院で手術を受けました。
2回にわたる手術で腫瘍は取り除きましたが左目は失明、そして、今後ずっと投薬が必要な体になりました。
竹内ますみさん:「大きくなれないから毎日おうちで成長の注射を打たなきゃいけないとか、おしっこのコントロールもできないから、それも薬でコントロール。目に見えないところでたくさんの障害が残ってしまって…」
治療を終え、少しずつ前の生活を取り戻そうと保育園への復園を希望しますが…。
小児がんへの偏見が家族を苦しめる…
竹内ますみさん:「病気もあるしお薬もあるし、でも病気は治療してきました。お薬は私が調合します。それでも目は見えないでしょう、障害があるよねってなるとすごく頑張っていたが『戻っちゃダメ』みたいに、それは市町村の判断で前例がないから」
「知らないことで受け入れてもらえない。」
そう痛感した竹内さんは、普通の子どもたちと同じように生活できることを知ってもらおうと、息子の動画を行政側に見てもらうなどしてなんとか復園が認められました。
しかし、今度は小児がんに対する偏見が竹内さん家族を苦しめます。
子どもたちの居場所を一つでも多く…
竹内ますみさん:「うつるんじゃないのとか、同じトイレ使って大丈夫とか、息子はそのときわからなかったから『うつらないよ』とか『おしっこも一緒にできるよ』って言っていたけど、悪意のない言葉でも、根拠のない偏見で傷つくことは多々ありました」
正しく小児がんを理解してもらい、子どもたちの居場所を一つでも多く作りたい。
闘病中の子どもたちが生きやすい社会を
同じ病気の悩みを持つ仲間に出会い家族会を結成しました。県内各地でレモネードスタンドを開催し、集めたお金は治療研究費のために病院に寄付する予定です。
レモネードスタンドに寄付した親子:
「おいしい」
「気軽だし普通の募金と違ってすごく関わりがあって楽しい。」
小児がんについて理解を深め、闘病中の子どもたちが少しでも生きやすい社会を作るため。竹内さんは未来をつなぐ甘酸っぱいレモネードにその思いを込めます。
竹内ますみさん:「私たちが発信をすることで、どなたでも自由にいきたいとこにいって、安心して楽しめるようになってくれたらいいです」
このレモネードスタンドは富山県内の飲食店でも広がりを見せています。射水市のカフェしえるでは手作りのレモネードとシフォンケーキ、クッキーを販売し、売り上げの10パーセントが家族会へ寄付されます。