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「東京オリンピック開会式」の裏番組は、お笑い、爆買い、大食い、警察...「民放特番」が迷走する背景

「東京オリンピック開会式」の裏番組は、お笑い、爆買い、大食い、警察...「民放特番」が迷走する背景

  • 現代ビジネス
  • 更新日:2021/07/22
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裏番組としてどのジャンルで勝負するか

7月23日20時、関係者の辞任が相次いだほか、コロナ禍に翻弄され続けている東京オリンピックの開会式がいよいよ行われる。

国立競技場からの中継を手がけるのはNHK。開催賛成派だけでなく開催反対派も含めて、「聖火ランナーの最終走者は誰で、聖火はどのように点火するのか」などの演出に注目が集まるだろう。

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7月23日に東京五輪の開会式が行われる/photo by gettyimages

今回はオリンピックを放送すること自体、「批判を受けかねない」などのリスクがあるが、裏番組に回ったとしても「どんなジャンルの番組を放送すればいいのか」という判断が難しい。とりわけ開会式の日は、民放各局が編成に頭を悩ませた様子がうかがえる。

まずTBSは19時からお笑いネタ番組の『ザ・ベストワン』を「4時間生放送」という付加価値をつけて編成。TBSは『キングオブコント』『お笑いの日』『史上空前!! 笑いの祭典 ザ・ドリームマッチ』『歌ネタゴングSHOW 爆笑!ターンテーブル』など、ネタ番組の多さは民放トップだけに自信のほどがうかがえる。

次にフジテレビは20時から『ウワサのお客さま』を放送。「コストコ・業務スーパー・ドンキで最強!爆買いスペシャル」と題した2時間特番で勝負する。

このところフジテレビは1日に『ピッタリお買い物!100万円カート』、11日に『ジャンクSPORTS 3時間SP』(メイン企画でアスリートが爆買い)、17日に『爆買いスター恩返し』と、爆買い特番を連発。視聴者に爆買いが得意コンテンツであることを印象づけている。

「視聴率40%超」の可能性アリ

テレビ朝日は、18時45分から3時間特番で『列島警察捜査網THE追跡』を放送。この特番はかつて人気を博した『警察24時』の後継番組であり、警察の密着ドキュメントはテレビ朝日の得意ジャンルと言える。ドラマにも『相棒』『刑事7人』『特捜9』『遺留捜査』などの刑事モノが多いだけに、最も自信のあるジャンルだろう。

テレビ東京は19時55分から『最強大食い女王決定戦2021~現女王やレジェンド、新世代が頂上決戦SP』を放送。大食いと言えば『TVチャンピオン』時代から、テレビ東京のキラーコンテンツとして知られているだけに、「準備できる最高級の特番をぶつけてきた」という感がある。

最後に日本テレビは19時から『クイズ!あなたは小学5年生より賢いの?』、20時から『沸騰ワード10』、21時から金曜ロードショー『劇場アニメ 君の膵臓をたべたい』を放送。「他局が特番に走る中、通常通りの編成で勝負できる」という日本テレビ最大の強みを生かそうとしている。

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開会式を放送するNHKはよいが…/photo by gettyimages

ちなみに過去の開会式視聴率を挙げていくと、2016年のリオデジャネイロオリンピックは23.6%、2012年のロンドンオリンピックが24.9%、時差の少ない2008年の北京オリンピックは37.3%を記録(ビデオリサーチ、関東地区)。地元開催で時差がなく、さまざまな意味で注目を集める今回は、「40%を超えるかもしれない」という予想の声もある。

ただ、「自局の得意な番組で勝負しなければ太刀打ちできないだろう」という民放各局の戦略は理解できるものの、疑問を感じざるを得ないところがあるのも事実だ。

本音は「オリンピックに関わりたくない」

相手はオリンピック開会式という超特大のビッグイベントであり、しかもライブコンテンツだけに、同じ特番という土俵で勝負することを疑問視したくなる。

とりわけコロナ禍でのオリンピック開催に不安や不信感を抱く人々がいる現状では、「通常のレギュラー番組を落ち着いて見たい」という人が多いのではないか。

少なくとも開催反対派は、「オリンピックの影響を受けて放送される特番より、通常のレギュラー番組を見たい」という人のほうが多いだろう。

その意味で日本テレビの編成は、視聴率トップらしい選択に見える。一方でテレビ朝日は、同局バラエティトップの視聴率を叩き出す『ザワつく!金曜日』の放送を控えたのは疑問。また、特番にするなら金曜日なのだから『ミュージックステーション』の3~4時間特番を生放送してもよかったはずだ。

TBSは生放送のお笑いネタ番組という思い切った編成だが、スタートしたばかりのドラマ『#家族募集します』を分断してまで4時間にする必要はあるのか。

フジテレビとテレビ東京は得意とはいえニッチなジャンルの特番だけに、本気で勝てるとは思っていない控えめな編成だろう。

実際、お笑い番組と情報バラエティを手がける某民放プロデューサーとディレクターに尋ねてみたところ、前者は「こういうときの特番はかえって数字が獲れないことが多い」、後者は「反対派の多い今回のオリンピック期間は、できるだけふだん通り放送したほうが支持されそう」と言っていた。

特にバラエティのスタッフや出演者の中には、情報番組がこれまでさんざんオリンピック開催を疑問視し続けてきたことによる「テレビはダブルスタンダード」という批判の被害者であり、「オリンピックには関わりたくない」「早く終わってほしい」という人が少なくない。

いまだ残る「無事放送できるか」の不安

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photo by iStock

各局のテレビマンと話していて、もう1つ気になったのは、裏番組にまわったときではなく、自局のオリンピック中継に不安を抱えていること。しかも、その不安は「視聴率が獲れるか」ではなく、「無事に放送できるか」だった。

たとえば選手間でコロナ感染が広がったら競技ができず、放送枠が空いてしまう。別の競技中継に差し替えることも簡単ではなく、それまでのハイライトを見せてしのぐにも限界がある。

引いては、選手村や競技中の感染拡大で「大会そのものが打ち切られる」という不安も消えていない。まったくの別番組に差し替えることも含めて、さまざまな備えが求められているようなのだ。

開会式前から人気競技のサッカーがはじまり、序盤から柔道や水泳などのメダル獲得濃厚な競技が続くだけに、一時的にコロナ禍を忘れて盛り上がる可能性は十分ありうるだろう。

しかし、テレビマンの心境としては「一寸先は闇」であり、最後まで祈るような気持ちでいる人が少なくないはずだ。

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