
行方不明になっている隼都さん。身長約175センチで痩せ型。白と紺色のボーダー柄のセーターと、紺色のズボンを身につけていた
《隼都、帰っておいで》──長崎県警は3月17日、壱岐市の高校2年生、椎名隼都さん(17才)が行方不明になっていることを発表した。捜索のポスターの写真に写る男性は、まだあどけない少年の面影を残していた。隼都さんは茨城県出身で、中学2年生のときに長崎県の「離島留学制度」で島に来て、里親Aさんに月8万円(自己負担は4万円)を支払い、Aさん家族4人と、ほかの留学生6人と共同生活をおくっていた。3月1日の午後4時半ごろに里親宅で姿を確認されたのを最後に行方がわからなくなっている。行方不明となって16日、事件は公開捜査となり、切迫した状況のなか、 NEWSポストセブンの取材に里親Aさんが今の心境、そして“虐待疑惑”について語った──。
報じられていた虐待疑惑
『週刊文春』は15日、隼都さんの面倒を見ていた里親Aさんの虐待疑惑を報じ、隼都くんの知人による「普段からAさん夫妻に叩かれたり、大声で罵倒されていた」という証言などを取り上げていた。地元住民が、Aさんについて語る。
「Aさんは、地元のイベントやメディア事業に関わる、ちょっとした有名人です。以前から島で里親をやっていて、今も小中学生の里子たちがAさんのところに身を寄せています。もしも虐待が事実だとしたら残念でなりません……」
Aさん宅に今も暮らしている里子たちについて、管轄する壱岐市に問い合わせたところ、「里親の虐待疑惑については、教育長自ら当該里親への聴き取りを実施し、そのような事実は確認しておりません」との回答だった。
「実親さんからも『今回の(虐待疑惑の)記事は事実と異なり、不愉快に思っている。実親みんなで当該里親さんを支えていこう』という言葉を頂き、当該里親に厚い信頼を寄せていることを確信しています。
当該里親のもとに現在いる留学生たちは、制度を継続している方々で、もし虐待を受けているなら市教委や学校に相談しているはずです。留学生や実親から虐待の訴えは何もありません」(壱岐市教育委員会の担当者)
NEWSポストセブンが、里親Aさん本人に話を聞いたところ、日常的に体罰を与えていたようなことは「ありません」と断言。ただ、隼都さんに手を上げたことや、“台風の中で外で子どもたちを正座させた”という報道については認める部分もあった。
「隼都くんは中3のときに不安定な状態になり、『自殺したい』とまで言い出したので、『そんなことを言うな』と両肩をつかみビンタしたことが一度だけあります。
台風の中で子どもたちを叱ったのも事実ですが、正座ではなく、あぐらをかいて輪になって話したというか……。スマホの使い方に関することで、うちの実子も一緒に叱りました。こういった日頃の様子や、叱ったという話は実親さんたちにも報告しています」
里親Aさんは現在、警察や児童相談所から聞き取りを受けているという。
「子ども(里子)たちは『僕たちが守るから』と言ってくれています。ただ、周りの人たちが理解してくれても、どんどんニュースが拡散され、学校や教育委員会や壱岐市長、ほかの里親さん、里親制度自体にも問題が広がっていて申し訳ないです。『こんなふうに話題になってしまった自分が里親を続けることは、もう世間が許さないよな』と、妻とも話をしていました」
中学2年生のときから預かっている隼都さんについて、「わが子同然」と語る。
「私のことを『お父さん』と呼んでくれていた、うちの里子では一番長くいる子です。よく家事の手伝いをしてくれて、自分が手がけているイベントの手伝いもしてくれたりして、たくさんの時間を過ごしてきました。うちでは一番長い子だからわが子同然。彼ならばわかってくれるというところに慢心していたのかもしれません。
隼都くんのお父さんと一緒に、相談しながら探しています。1日でも早く見つけたい。なんとか生きて帰ってきてほしいです」
隼都さんは身長約175センチで痩せ型。白と紺色のボーダー柄のセーターと、紺色のズボンを身につけていた。情報提供は壱岐署、0920-47-0110まで。1日も早い発見が待たれる。
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